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詩「夜の空気」

作者: 有原野分

空気のことを考える

眠りにつく前の空間

水の中にいるように

空気の中にいるということを

考える

噛みしめるように


粘着性を帯びた夜からは逃げられない

まとわりつく回転

落ちていくメカニズムから外れて

空気は体の自由を奪っていく

夜型の自由はまだ眠らない

眠れない

犬の遠吠えを小さく真似して


布団をかぶる

隙間のないように

空気が潜り込んでこないように

顔だけでじゅうぶんだった

遠くにいるあなたの空気を感じるのは

感覚は鈍いほうがいい

ときに笑う


息を吸うたびに膨らむ肺

息を吐くたびに流れる空気

命は包まれている

吸いたいときに吸える幸せ

水の中

溶けた空間は魚

先祖だ

空気はようやく横になる


鼻先から鼻腔にかけて

流れていく空間

重たくてねばねばしている夜

からだの中に溶けていくそれらの中に

死を通りこして

ひとかけらの空がありますように

おやすみなさい空気

わがままに


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