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God Bless You !!  作者: 灰色狼
第一章 嵐の港町 ~ストームポート~
18/90

16:真相 ≪トゥルース≫

25/02/18 誤字脱字の修正ならびに表現の一部見直しを行いました。



 <気まぐれロブスター>まで戻ってきた。一息入れるためだ。

 傷は完治しておらず、3人ともそれなりのダメージは残っている。

 分け前を決めて、ハイさよなら、とはいかない。そうしたくても、出来ないのだ。


 テーブルに3人で座り、思いきり脱力する。

 宿屋とはいえ、公共の場に準ずる場所だ。気を抜き過ぎなのは、指摘されるまでもない。

 だが、戦場とかダンジョンの中ではない。

 エールを3つ頼み、運ばれてくると無言で乾杯。

 喉に沁みる。

 この一杯のために生きていると言っても過言ではない。

 なんて言うのは言い過ぎだろうと思っていたが、だけど世間に出てからはその意味が分かる気がする。

 こうして一杯の酒を飲む瞬間に感じる解放感と安堵感。そう言ったものが生きている実感として得られているのは間違いないと思う。


 そんな感じで脱力感を楽しんでいると「おったおった」と聞き覚えのある声が近くで聞こえ振り返る。

 そこには声の主、いつ見ても『偉大な魔法使い風』なガイアさんが立っていた。


 「実にいいタイミングだと思いますよ、ガイアさん。お一人なんですか?」


 「あやつらはまだ『取り込み中』じゃ。ワシはそのなんだ。お前さんたちに事情を説明せねばならんと思うたから、ここに来た訳じゃ」


 「最初に確認させてください。倉庫の後始末は必要ですか?必要ならシティーガードに話を通さねばなりませんが?」


 「必要ない。今頃は片づけの手が入っとるだろう」


 「そうですか。では早速ですけどお話を聞かせていただけますか?」


 「勿論じゃ。他に聞かれてもさほど問題は無いが、大きな声でべらべらする話でもない。近う寄れ」


 そう言うと僕らはテーブルに大きく身を乗り出して、ガイアさんの方に顔を寄せる。

 客観的に見て…なにか悪だくみでも話してるようじゃないのかな。


 話の内容は僕の想像していたのと大筋で合っていた。

 シティーのお偉いさんから、ハーバーエリアで冒険者の失踪が続いていて、どうも胡散臭いので、調査を依頼されたそうだ。

 それでハーバーに来ており、その調査の最中に、最初に僕と会ったらしい。

 ローグ二人組を追いかけて、関係者を洗い、潜伏先を急襲したが…肝心の奴らがいなかった。それで倉庫街を調べていて、僕らの戦闘に気がついた。というのが流れだった。

 説明に破綻は無いし、彼らの実力ならその手の依頼もあるだろう。話自体には納得できるが、いくつか腑に落ちない点もある。


「冒険者の連続失踪、ある意味、珍しい話ではないですよね?早い段階でなぜ気が付けたんですか?」


「それは依頼主に確認せんとわしにもわからん。ただ、依頼主はかなりハーバーの事情を詳しく知っている人物じゃ。何か別の情報を持っておったんじゃろうよ」


 ガイアさんの言葉は、僕にとってはとてもリアルな話だ。あの人なら全然不思議ではない。お偉いさん、という表現も適合するし。


「あと付け加えておくが、おぬしを誘ったのも、おぬしが奴らの罠にはまったのも、意図せぬ事。偶然じゃからな」


 話し終わって前のめりの姿勢を解くと、いつの間にか手にしている薬湯のカップを、ずずずずっとすすって、ガイアさんが続ける。


「さて。これが今回の現状分かっている事じゃ。ちなみにここにおらぬ二人は、背後関係を追っかけておる。文字通り走り回っておるかもしれんのう」


 ちょっとした沈黙がテーブルにのしかかる。


「理解して貰えたようじゃし、この話はここで仕舞いじゃ。どれ一つサービスに、戦利品の鑑定でもしてやろうか。どうせまだ売り払っておらんのじゃろ?」


「それは助かりますが、商売の邪魔するなとか怒られません?」


「なになに。冒険者が自ら鑑定するのに異を唱える者はおらんじゃろう。売り買いする訳じゃなし法にも触れん」


 確かに、と僕は一つ頷き、早速鑑定してもらう事にする。

 先ほどの戦利品をテーブルに並べる。

 この段で、周囲からの視線が少し集まる。冒険者の戦利品がどんなものか、興味のある人は多いらしい。

 周囲はほぼ冒険者だったりするわけなんだけど。

 おばさんにワインを一杯注文してガイアさんは受け取ると、何か粉末をそこに入れてから、腰のポーチから取り出した鳥の羽らしいもので2、3回混ぜると一口飲んだ。最初に置かれたショートソードの上で複雑な文字で何かの一文を宙に書きながら呪文を唱える。


「世の真理に照らし、与えられた権能を示せ」


 魔法が効果を発揮したようだ。ガイアさんは言った。羊皮紙に品物とその効果を書きながら言った。


防御(+2)のローブじゃな」


 次じゃ。そう言って自分のポーチから巻物(スクロール)を取り出すと込められた呪文を発動させる。


短剣(ショートソード)はこれも魔法の込められた(+2)、追加の効果は無いのう。残念」


 そうやって少し楽し気に鑑定を続けていく。


 皮鎧(レザーアーマー)魔法の込められた(+2)とか|防御の指輪《リングオブプロテクション+1》とか魔法の込められた短刀(ダガー+2)。などなど。

 ここで活動する人たちからすると、まずまずの装備と言えるだろうけど、僕が欲しいと思うものは無かった。


「今使ってるの、+1だけど、炎の剣(フレイミング)なんだよね…」


 マクゲインが口にした言葉だ。炎の剣と文字通り刀身が炎に包まれる武器で、火による追加のダメージが期待できる。その昔は<フレイム・オン・コマンド>なんて呼ばれたこともあったらしい。一方で、今回手に入れた方が少し切れ味鋭く扱いやすい。

 悩んだ結果、今の剣を使うことにしたようだ。

 短剣に関して少し悩んだが、結局すべて換金で、という話になった。


 ちょっとした悶着となったのが、杖である。

 鑑定の結果は魔力の込められた杖(スタッフ+2)で力術の効果上昇エヴォケーションマキシマイザー・マイナーの追加効果を持つ物らしい。

 結構珍しいもので、ガイアさんが興味を示した。

 具体的には力術(エヴォケーション)に類する魔法の威力を少し上昇させるものだそうだ。実際に使うには微妙であるが、珍しいものには間違いないらしい。

 それを見ながら悩むガイアさん。目が少し怖いです。


「制約の都合上、わしが直接買い取ることは出来んからな。そこで相談なんじゃが、値段に関してはワシにもわからんので、

 売りの見積もりを出してもらって、この杖は売らない。そんでもって同等の価値くらいのアイテムと交換、と言うのはどうじゃろうか?」


 なるほど、物々交換を禁止してはいないから、か。少々姑息な気もするけど。

 僕に異存は無いので「それで構いませんよ」と言うとあとの二人も同意してくれた。

 それを受けてガイアさんは書いていた目録の最後に彼の署名と彼のシンボルを魔法で刻み、目録は出来上がった。


「これは鑑定書として認めてもらえるはずじゃから、売りに行くときにこれも持っていけ」


「それでは僕が一回りしてきます。皆さんは暫くここで待っていてくださいね」


 交渉が必要な場合、僕が一番有利に立ち回れるだろうから、自ら行商人役を引き受けた。

 そして何軒か回って、20分ほどで戻ってきた。


「お待たせしました」


 テーブルに座り、各店舗の買取証明書を並べてざっくりと説明する。

 買取金額の合計が金貨28200枚と、その他回収した現金類が金貨3500枚相当。合計で31700枚相当、という事で、

 一人当たりの取り分は金貨10557枚。

 計算が合わないとガイアさんに突っ込まれる。

 なので、誰も損をしないので、これでいいと思います。僕は押し切った。

 あとの二人も異存はないそうだ。

 早速二人に金貨10000枚相当の宝石(鑑定書付きダイヤ)、55枚の白金貨、7枚の金貨を渡す。


「で、問題の杖なんですが、正確な値段は分からないので、金貨40000枚で買い取るが、と言われました」


「思ったよりも安いな」


 反射的に口にする。この人、やっぱり根は善人なのね。と思う。

 僕も含めて3人とも、その価格で不満は無いことを伝える。


「一人当たり金貨14000枚相当の品物を用意しよう。当然ながら手元には無いので、明日の朝、ここで交換。それで良いかのう?」


 反対する者はなく、杖は僕が預かる形で今日は解散となった。




 その後部屋に戻り、鎧類を外してリラックスムード。

 下でお願いしてワインをピッチャーでもらってのんびり中だ。

 傷が完全に塞がっておらずチリチリするのを感じて、治療のワンドを2回振って、傷を完治させる。

 あの二人にも治療しておくべきだったけど…まあ、明日治ってなかったらで良いか。彼らも決して少なくない報酬を得ている訳だし、必要なら薬を買う事だって出来る訳だから。

 しかし…もう一週間だよ。あっという間だった。なんか立て続けに巻き込まれた感があるし。

 でも充実していたのも確かだ。

 もともと時間の感覚には自信が無いのだが、それでもこの一週間はあっという間に過ぎて行った気がする。

 明日はシティに入って、宿を確保しよう。

 いつでも来れるけども、ハーバーともはしばしお別れだな、なんて思うと少し寂しい気もする。

 これは普通のエルフが持たない感覚だよな……。

 あーでもない、こーでもない。

 いろんな事を取り留めもなく考えて、夜は更けていった。

 

 結果良ければそれでいいじゃないか。

 この楽天的な部分は、間違いなくエルフ由来だと思う。





 中盤までお読みいただきましてありがとうございます。

この物語を書き始めてしばらくになりますが、日中も展開とか細かいセリフとか考えている影響だと思いますが、時折自分では使わなかった”僕”という一人称を口走ってしまう事があり、少し困っています。


1章の1/3がここで終わることになります。当初はもう少し早く進むのではないかと思っていたのですが、このペースだと40話前後で1章が終わることになりそうです。実際に書いてみないと分からないのですが。。。


 そんなわけで今後とも彼等との旅を楽しんでくだされば幸いです。

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