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エルフの里は焼かれがち  作者: 北川やしろ
2. ラグナシティ編
54/58

2-25. ラグナシティの人々

 エヴァンとルーニーは私達の姿を見て驚きはしたが、ユリウスや救助された人達からの説明を聞くとあっさり納得したようだった。


 「仲間を、そして町の人を助けてくれてありがとう」

 そう言って二人とも頭を下げた。



 どうもこの町の人達は少し変わっている。

 エルフは災いをもたらす存在であり、根絶させなくてはいけない。というのがこの国の共通認識だと思っていた。

 しかしすべての国民がそのような認識と行動を行っているというわけではないようだった。



 エヴァン達が避難させた人達と合流するため私達は移動を開始した。

 「あの、私達がエルフだということを皆さんは問題にしないんですか?」

 移動途中、私は思い切って近くにいた男性に声をかけてみた。

 男性は最初、驚いたようにこちらを見たがすぐににこやかな表情に変わった。


 「この町にいる人の多くが中部や南部から集まった人達です。中部や南部は異種族との交流を盛んに行っていた過去がありますので、エルフ族の方が悪い種族だなんて思っている人はほとんどいませんよ。まぁ、そういう考えだからこの町に移らされたと言った方がいいのかもしれませんけどね」

 何やら意味深なことを男性は口にした。


 「移らされたとは?」

 「そういう考えの私達は、政府や教会にとって信仰心や愛国心がないとみなされているんですよ。だから豊かな北部に行くことすら許されてはいないんです。そういう人間達を一箇所に集めて監視するのを目的に、この町は作られたと言われているんですよ」

 「刑務所みたいなもんだよ」

 近くにいた別の男性が話に加わった。


 「俺のいた村は教会の指示で川を整備したんだ。収量を上げるためとしてね。でも、それが原因で氾濫が起きてな。教会に抗議したら何故か全員逮捕されたよ。教会に対して事実無根の悪口を言ったというのが理由らしいが、どう見ても教会の落ち度しかないんだよ。で、俺達は森の開墾をすることを条件に村を奪われこの町へ強制移住させられたんだ」

 男性は憤っていた。

 まぁまぁ落ち着いてと、最初に話しかけた男性は憤る男性をなだめた。


 「私の家も代々中部の町で商人をしてましてね。この町の発展にあわせて拠点を移すように言われて移ってきたんです。ご先祖様達はエルフの皆さんとも交流し、色々助けていただいたと聞いたことがあります。多種族と交流を持ち利益を上げていた。おそらくそれが気に食わなかったんでしょう。この町の更なる発展に寄与してほしいとのことでしたが、本当のところは私達を潰したかったんでしょうね」

 男性はため息をついた。

 なんだかこの町の本当の姿が見えてきた気がした。


 最初は新天地を求めて国中の人々が集まってきていたのかと思っていたが、そうではなかったようだ。

 思えばサハラン族もこの町に逃げてきたなんて言われていた。

 つまり、この町は迫害を受けた人たちの収容所のような役割として作られたということになる。


 「私達はエルフの皆さんとは同じ境遇だと勝手に親近感を持っている者も多いんですよ。だからお二人のことを悪く言う人間はほとんどいないと思いますよ」

 「むしろ命の恩人。この町に住むってんなら俺達は大歓迎だぜ!」

 二人の男性はそう言って笑った。


 生粋のエルフではない私はそれもありだなと心の中で思った。

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