2-7. ○○のある生活
「ありがとうございました」
私は串焼きを食べ終えると、今まさに5本目の串にかぶりついた軍人の男に感謝を伝えた。
黙ってこの場を後にしてもよかったのだが、どこか気が引け声をかけることにした。
「いいのいいの。本当に気にしないで」
男は少し照れながら頭を掻いた。
「俺はユリウス。そんでこっちがエヴァン、あっちがルーニー。この町のしがない軍人だ。よろしくな!」
男は自己紹介した。
「こちらこそ。リーナです」
一瞬名乗るのをどうすべきかと躊躇したがすぐに戻るし、問題ないだろう。
串焼きをくれたのがユリウス、冷やかし男がエヴァン、その傍らにいたのがルーニー。
一応覚えておこう。
「しかしリーナもここまで大変だっただろ?」
「えっ!?」
ユリウスの言葉に頭にはてなが浮かんだ。
「ほら、王都ではサハラン族の立ち入りが禁止され始めただろ?今後は王都周辺の北部にも同じ措置が取られるらしいって話だが、近いうちにこの国から追い出されるんじゃないかって。だから王都周辺からここまで逃げて来たんだろ?」
「あぁ…、それは…」
サハラン?追い出される?
何のことだろう?話がさっぱり読めない。
とりあえずどうとでも話が続きそうな返事でお茶を濁した。
「この辺りはまだ教会の支配がきつくないからな。でも正直時間の問題じゃないか?」
串焼きを頬張りながらエヴァンが口にした。
「教会が何考えてるのかは俺らの知ったことではないけどさ、確実にこの町にも影響を強め始めてるよな?」
今までしゃべらなかったルーニーも続いた。
「っていうか、どうして政府の機関より先に教会に電気が点くんだよ?おかしくね?」
エヴァンが口をもぐもぐ動かしながら不満を口にした。
「えっ!?電気?」
思わず反応してしまった。
その反応に対して何も突っ込まれないことを願った。
「あれは便利だからな。一度経験するとない生活が不便で堪らないよ」
「だな。俺も電気がある生活が恋しいよ」
「昔はないのが当たり前だったんだし。寄宿学校でも自由には使えなかったんだから、今とそう変わらないだろ?」
ユリウス達は私の反応を気に留めることはなかった。
助かった…。
「まだこの町で使えるのは教会だけだしな。俺らの家なんかにくるのはいつになることやら」
エヴァンはなおも愚痴をこぼした。




