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エルフの里は焼かれがち  作者: 北川やしろ
2. ラグナシティ編
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2-5. 外出許可

 「外へ行こうと思います」

 「何だと?」

 里長・レノンは面食らった表情で私達を見つめた。


 アイリスの快諾を得、私はすぐにレノンの元を訪れると外への偵察の許可を求めた。


 「一度ちゃんと人間達の国を見てみたいと思っていたんです。機械のこともそうですが、私達はまだ人間のことについて知らないことが多すぎると思うんです」

 「何故今なんだ?人間の脅威はしばらくは来ないと言ったのは君だろう?」

 レノンは私に問うた。


 「はい。人間達のことはしばらくは心配いりません。ただ単純に私が知りたいと思っているからです。かねてから行かなくてはいけないと考えてはいました。人間側もエルフはいなくなったとして警戒を緩めているでしょう。実行するとしたら今がちょうどいいタイミングだと思うんです。それに今私が置かれている状況を里長は知らないわけではないですよね?」

 私の置かれている状況という言葉にレノンは苦虫を噛み潰したかのような渋い表情をした。


 「それについては私からも謝らなくてはならん。当事者同士でことは解決しているにも関わらず事実無根の嫌な噂が広まってしまった。申し訳ない」

 レノンは謝罪した。

 ことの真相と成り行きは正確に理解しているようで一安心した。


 「謝罪はいりません。元はと言えば私の不注意でしたから」

 「そうか。本来であればリーナには里作りの中心にいてもらいたかったんだが、今の状態ではそれは難しい。本当に愚かなことが起こってしまったものだよ…」

 意外な事実の発覚に私は驚かされた。私が里作りの中心に?


 「実はリーナのことを信用しておらん勢力というのあってな。功績は言うまでもない。しかしあまりも高度な戦術すぎて理解が追いつかない者が多くてな。訳がわからないうちに長年の懸案が終わっていたとなるとどこか納得出来ないと感じたようだ。どこぞのものかもわからない新入りに主要ポジションを奪われてしまうという危機感を持つものがいるのも残念ながら事実だ」

 レノンは眉間を押さえて苦悶の表情をしたあと話を続けた。


 「リーナを中心に据えるという提案を出したところあっけなく否決されてしまったよ。例の話はそういうヤツらにとって好材料を与えてしまったようだ。今彼らは勢いづいている。このままでは里がバラバラになる日もそう遠くはないかもしれん」

 私の知らないところでとんでもない思惑が動いていたようだ。


 あの陰口が広まった理由とその後のエルフ達の態度の正体は、ひそかに繰り広げられていた権力争いが関係していたということになる。

 知らず知らずのうちに私はその争いに巻き込まれていたのだ。


 「そんなことはどうでもいいです。今はリーナと私が外に出ることを許可していただけるのかということをお答えいただきたいのです!」

 私とレノンの会話に痺れを切らしたのかアイリスが割って入った。


 「おぉ、そうだったな。しかしイリスよ、お前が同行するのは何故だ?」

 レノンは静かに理由を聞いた。

 「リーナから頼まれたからです」

 アイリスはすぐさま答えた。

 ほかにも何か理由付けすることは出来ただろうが一番シンプルな理由をアイリスは答えた。


 「なるほど、わかった。許可しよう」

 「えっ!?」

 「何か問題でも?」

 「いえ、ありません。ありがとうございます」

 意外なほどあっさりと許可が下り、私は面食らってしまう。

 普通に断られるかと思っていたのだが…。


 「今イリスに抜けられるのは正直困る。しかしリーナの言う通り今が絶好の機会。この機を逃すわけにはいかなだろう。そして同行するのにはイリスは最適だ。多少強引でも行くのなら同行してもらいたい。今のリーナの評判は最悪だからな。リーナの我侭で連れて行ったと聞いても、それほど大きな問題にはならないだろう」

 何だろう。ひどい言われような気がする。

 出来れば高感度は高いままの方がよいのだが…。

 

 しかし反対派を押しのけてまで実行するにはこの手が一番手っ取り早いのは確かだ。


 こうして私達は新生エルフの里から人間達の国へ行くこととなった。

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