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エルフの里は焼かれがち  作者: 北川やしろ
2. ラグナシティ編
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2-1. 新たな里、新たな危機

 私の名前は加藤李衣奈(かとうりいな)

 不幸体質でありとあらゆる災いに巻き込まれる人生を送ってきた。

 そんな私はスーパーで転倒したところ、なんと異世界のダークエルフに転生してしまったのだ。


 右も左もわからない私はエルフ達に助けてもらうのだが、なんとそのエルフ達は人間によって里を焼き討ちに遭い、逃げ隠れているのだという。

 まったく、エルフの里は焼かれがちだぜ…!


 人間のころの知識を使い、私はエルフ達とともに人間の策略を搔い潜り、エルフ存亡の危機を脱することに成功した。

 最大の危機を脱した私達はついに新しいエルフの里作りに着手することになった。

 それは私、ダークエルフ・カトリーナとしての新たな人生の始まりでもあった。



 ◇◇◇



  学生時代を思い出せば、世界四大文明は大河の(ほとり)で発展したと習った。

 エジプトではナイル川に、メソポタミアではチグリス・ユーフラテス川に、インドではガンジス川に、中国では黄河に。

 そう考えるとエルフ達が新たに作る里の場所を河川沿いの場所にしたのは当然のことだったのかもしれない。


 人間によるエルフ壊滅作戦の実行に伴い、私はその対策の責任者として忙しい毎日を送っていた。

 そのため、洞窟から抜け出した後の避難先のことは別のエルフ達に任せることになった。


 と言うのも、私はまだエルフについてよく知らないからだ。

 小説などではエルフはツリーハウスのような家に住んでいるなどとされているが、それもどこまでが本当のことなのかわからない。

 なのでここは本物のエルフ達に任せるのが一番だと考えたからだ。


 作戦実行中はエルフ達から少し離れた場所で生活していた私だったが、作戦終了に伴い人間達が去って行くのを見届けると、ついに新しく出来た里へ足を踏み入れることになった。




 「ここが新しい里ですか」

 案内役に先導されたどり着き見えた光景に私は一人呟いた。


 人間達の支配がまだ及んでいない未開の地。

 ドラゴニア山の裾野に広がる深い森林地帯、通称『炎竜の棲み家』。

 入った者は生きては帰れないと恐れられている森の中を流れる小川沿いにエルフ達の姿があった。


 長年隠れ住んだ洞窟から約10分。

 以前から水の確保に使われていた幅2メートルほどの小さな河川の両岸の河川敷に見覚えのあるテントが立ち並んでいた。


 「どうだい、いい場所だろう」

 私の姿を見つけて一人のエルフが声をかけてきた。

 ウエストの里のまとめ役・ミーシャだ。


 「そうですね。でも天井と壁がないのがちょっと落ち着かない感じです」

 私は周囲を見渡して答えた。


 なんせ広がるのは大自然だ。

 雨や風、陽の光、朝晩の気温の変化。

 大自然を直接肌で感じる。

 洞窟内のように外壁で守られているという安心感がないのは、現代人の私にとって慣れない感覚だった。

 もしも私がモンゴルの遊牧民だったらまた違ったのかもしれない。


 「ははは。私達にとってはこれが普通だったからね。やっとこれまでの生活が戻ってきたって感じだよ」

 ミーシャはそう言って笑った。


 「これから家が建ってくるとまた違ってくるからね。そうなれば君もきっと気に入ってくれるだろう」

 「家ですか?テントでぎっしり埋め尽くされてますけど、どこに建てるんですか?」

 新たに家を建てるスペースは見当たらない。


 森でも伐採するのだろうか、などと考えながら私はミーシャに訊ねた。

 「どこって、木の上だよ。エルフの家って言ったら樹上ハウスに決まっているだろ」

 何を言っているんだと呆れたような表情でミーシャは私を見た。


 「あぁ、なるほど。そういうことですか」

 私は大いに納得した。

 確かにこれぞエルフといった感じになってきた。


 「これから森の中に行って倒木探しだ。忙しくなるぞ」

 ミーシャはウキウキした様子で饒舌にしゃべった。


 「倒木ですか?周りの木を伐採して使った方が楽じゃないですか?」

 かつて先人達は森を開墾した際、開墾のために伐採した木を使って住居を作ったと言われている。

 当然そうしたほうが効率的だ。私は何気なくそう言った。

 しかしこの発言が私を窮地に陥れることとなるのだった。



 「伐採だと!?そんなことするわけがないだろう!」



 何故かミーシャは激怒した。


 「えっ?どうしたんですか?」

 あまりの変わりように私は困惑した。


 「貴様、エルフとしての心がないのか!」

 なおも罵倒されてしまう。

 何か悪いことでも言っただろうか?


 案内役のエルフがミーシャを宥めるが、私は何が起こったのか理解出来ずにその場に立ち尽くしたままだった。

大変おまたせしました。

本日より連載を再開させていただきます。

引き続きよろしくお願いします。

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