1-22. 断罪その1
「皆の者、よく集まってくれた」
一ヶ月が経ったある日、レノンは里のエルフ全員を広場に集めた。
「今日はとても重要なことを皆に伝えないとならない」
レノンの神妙な表情と静かな声色にその場にいた全員がただ事ではないということを理解した。
「この中に人間達に里の情報を伝えている裏切り者がいる」
レノンの言葉に広場がシンと静まり返った。
「どういうことだ!」
「裏切り者だと!けしからん!すぐに捕まえろ!
「あああああああああああああ」
「そんなやつ殺してしまえ!」
絶句する者、泣き崩れる者、悪態をつっく者、過激なことを言う者。
エルフ達は口々に様々なことを叫んだ。
「落ち着きなさい!」
その喧騒を上回る大音量でレノンは叫んだ。
その迫力に騒いでいたエルフ達は口を閉ざした。
「このことを私が知ったのは今から数ヶ月前のことになる」
「す、数ヶ月前!?どうして今までそれを言ってくれなかったんですか!」
一人のエルフが勢いよく立ち上がると声を荒らげた。
「私はレノン殿と同じく里のために尽力してきました。なのにどうしてそんな大切なことを知らせてもらえなかったのですか!」
彼はウエストの里のまとめ役、ミーシャだ。
レノンと同じく里の運営に携わる要職に就いているエルフだ。
そんな地位にいながら自らに知らされなかったことが彼には我慢ならなかったのだろう。
「そなたの言うことは十分に理解している」
レノンは掌を見せてミーシャを制止する。
「私がこのことを知ったとき、誰がどうやって情報を持ち出し伝えているのかわからなかったのだ。つまり里の者全員が容疑者だったのだよ」
レノンの言葉にエルフ達がざわつく。
そりゃ疑われいたのだから気分がいいわけがない。
「そこで裏切り者の捜索とその後の対処について、ある者達に依頼することにした」
「ある者達?」
ざわざわとした喧騒が再び静まり返った。
「リーナ、イリス、エライザ。あとの説明はまかせていいかな?」
「はい、お任せください」
代表して私が返事をし、その場に立ち上がった。
レノンの隣、つまりはこの場にいる全員の正面になる位置に移動する。
アイリスとエライザも私に続いて移動した。
「皆様、今から『裏切り者の正体』と『どのようにして情報を持ち出したのか』についてお伝えします」
私の発言にその場のエルフ全員の視線が集まった。




