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エルフの里は焼かれがち  作者: 北川やしろ
1. エルフと私
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1-11. 私の決意

 「ということだ。信じられん者もいると思うが、彼女はきっと我々にとって希望となるだろう」


 里の入り口付近にある広場に集まったエルフ達を前にレノンは私のことを説明した。


 「私もまだよくわからないことが多くあります。しかし行く当てもない私に救いの手を差し伸べてくれたエルフの里の皆様に少しでも恩返ししたいと思っています。お力になれるようがんばりたい思いますので、よろしくお願いします」

 大勢のエルフ達を前に私は言葉を発した。

 エルフ達は黙ってレノンと私の話を聞いていた。


 話終えても特にざわつくようなことはなかった。

 おそらくアイリスとエライザのやり取りを見ていたからだろう。

 「何か言いたいこと。聞きたいことがあるものはいるか?」

 レノンが質問の有無を確認する。

 誰も意見をする者はいなかった。

 「では、これにて緊急集会を終了する」

 レノンの解散の号令とともに一斉にエルフ達は広場から散って行く。




 「病み上がりのところ、すまなかったね」

 レノンは私に労いの声をかけた。 

 「とんでもないです。それより、私の話を信じてくださりありがとうございます」

 私はただ感謝の言葉を伝え頭を下げた。

 「いや。正直なところ私もまだ上手く整理出来ていない。また話を聞かせてもらうことになるが構わないね」

 「はい、もちろんです」

 私の返事にレノンは「うむ」とだけ言い残すと広場から立ち去った。


 「お疲れ様。体調大丈夫?」

 去って行くレノンを眺め、ふぅと息を吐くと同時に背後から声がかけられた。

 「心配かけちゃってごめんね、イリス。もう大丈夫だから」

 「無理しちゃダメだよ。里長(さとおさ)ももうちょっと後にしてくれてもよかったのにね」

 アイリスは少し頬を膨らませて抗議する。

 「十分休ませてもらったから大丈夫だよ。それに本当なら私が直接言わなきゃいけなところをほとんど変わりに言ってくれたし」

 「リーナがいいならそれでいいけど」

 アイリスはポツリそうと呟いた。


 


 倒れた私はタマラ達に担がれ医療テントへと運び込まれた。

 「あれ?ここは…?」

 気が付くと目の前にアイリスの泣き顔があった。

 「リーナ!私のことわかる?」

 「えっ?イリスだよね?どうしたの?」

 「よかった…」

 アイリスはヘナヘナと地面に崩れ落ちるように座り込んだ。

 アイリスは強く私の手を握っていたため、私の体も引っ張られてベッドの外に転がり落ちそうになる。

 「あっ、ごめん」

 アイリスは手を解いた。


 「そんなことないよ。ずっと握っていてくれたの?」

 「当たり前じゃない!本当にびっくりしたんだから。死んじゃうんじゃないかって思ったら、もう私…」

 アイリスは大粒の涙を流した。


 私に良く似た特徴を持つ姉を失った。

 エライザの言葉を思い出す。


 アイリスが私に姉の面影を重ねているのかは定かではない。

 しかしそれが本当ならば、彼女にとってかけがえのない大切な人を失ってしまっただと実感させられた。

 昨夜の「これ以上仲間を失いたくない」発言もお姉さんのことを思い出してのことだったのだろうか。


 「大丈夫かい?急にぶっ倒れたから本当にびっくりしたんだよ」

 タマラが心配そうなに私の顔を覗き込んだ。

 「会話も問題ないようだし、大丈夫そうだね」

 タマラの傍らにいたエルフがそう言った。

 初めてみる顔だった。

 「これは医者のマルク。腕はピカイチだから安心しな」

 私の視線に気付いたのかタマラが説明してくれた。

 「はじめまして。僕はマルク。医療スキルの使い手で医者をしてるんだ。よろしくね」 

 マルクは丁寧な自己紹介をしてくれた。

 「助けていだいてありがとうございます。タマラさんもイリスも心配かけちゃったね。もう大丈夫だから」

 感謝の言葉を述べるとベッドから体を起こした。

 「私もいるんだけど…。まぁいいけどさ。まだ寝ていた方がいいんじゃない?」

 私の背後から声がすると優しく背中を擦られた。

 「エライザさんもごめんなさい。ありがとう」

 エライザも心配そうにしていた。


 「一体何が起こったんだい?」

 タマラが訊ねてきた。

 「いや…、その…」

 上手く答えられない。

 真実を伝えたら彼女達は一体どうするだろう。


 「おそらく精神的なものだろう。相当疲れが溜まっていたんじゃないかな」

 黙りこむ私を見てマルクが口を開いた。

 「精神的?」

 「すごく気を使っていたとか。あるいは何か衝撃を受けるようなことを言われたとか?」

 「衝撃って。そんなこと言ったっけ?」

 「さぁ。覚えてないけど、何かあったっけ?」

 マルクの説明にエライザとタマラは私が倒れたときのことを思い返そうとしていた。

 真実に近づくのも時間の問題だろう。そんな気がした。


 「あ、あの!」

 私は声を上げた。

 「どうしたんだい?」

 タマラが心配そうに私を見る。

 「実は…、みなさんにお話しなくはいけないことがあるんです」

 「話さなくてはいけないこと?」

 その場にいた全員の視線が私に集まった。

 「実は…」

 そう口にしたときだった。


 「その話、私にも聞かせてはくれないかな?」


 医療用テントの外から男性の声がした。

 「さ、里長(さとおさ)!?どうしてここに?」

 「リーナ殿が倒れたと聞いてね。心配で様子を見に来たんだよ」

 里長レノンの登場に場が騒然とする。

 「私も聞いてもいいかな、リーナ殿?」

 レノンは私に訊ねた。彼は真実がわかっているのだろうか?

 「嫌なら私は出て行くよ。君達だけの秘密話やつもる話もあるだろうしね」

 レノンは優しげに言った。

 どうやら真実には気が付いていないようだ。ならは伝えなければいけない。

 「いえ、里長にも聞いていただきたいことですので」

 「うむ」

 みんなに真実を話した後、レノンにもこのことは話さなくてはいけないと思っていた。だから手間が省けたというものだ。


 「実は、私は……異世界から来た転生者なんです」

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