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エルフの里は焼かれがち  作者: 北川やしろ
1. エルフと私
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1-1. 私の人生

 人生は波乱万丈だと言われるが、平凡であることが望ましい。

 この私がそう言うのだから間違いない。

 自慢ではないが私、加藤李衣奈(かとうりいな)の人生は波乱に満ち溢れていた。


 小学生の頃自宅に大型トラックが突っ込んできた。

 原因は整備不良とサイドブレーキのかけ忘れだった。

 両親が買い物に出かけ、一人留守番をしているときの出来事だ。

 何故かいつもいるリビングを離れたときだったので怪我もなく奇跡的に無事だった。


 その後、トラックに家が壊されたため住んだ借家のアパートが火事にあった。

 原因は隣室の住人の寝タバコだった。

 真夜中に目が覚めた。何やらおかしいと胸騒ぎがして両親を起こした。

 夜中に起こされた両親は最初は不機嫌そうに私の話を聞いていたが、異臭を感じて窓から外を覗いたところ隣室から炎が噴出しているのを見て急いで避難した。

 借家は全焼したが、早々に避難したため私達は無事だった。


 中学生のときには隕石が降ってきた。

 自室で勉強をしていたところ、ドン、バリバリというものすごい音と衝撃に見舞われた。

 驚いて後ろを振り返ると、ついさっきまで怠けて横になっていたベッドが真っ二つに粉砕されていた。

 天井を見ると大穴が開いており、穴は一階まで到達していた。

 専門機関の人がやってきて調査が行われた結果、隕石の直撃であるということが判明する。

 あと1分ベッドで怠けていたら、体に大穴が開いていたかもしれないと思うとゾッとした。


 高校生のときには水害で自宅が水没した。

 接近した大型台風と発達した前線に伴う前日から降り続いた大雨により河川が氾濫。

 逃げる暇もなく、見る見るうちに二階まで浸水し、屋根の上に避難し救助された。


 一人暮らしを始めた大学生のときには大きな地震に見舞われた。

 アパートは崩壊し下敷きになり身動きが取れなくなる。

 さらに津波警報が発令される。

 潰されたまま身動きが取れずにいるうちに津波が到達し、黒い波に飲み込まれる。

 津波は壊れた家屋を持ち上げ、私の体は津波に流される。

 気がつくと瓦礫の上に打ち上げられていた。

 体中傷だらけになってしまったが、無事に生還を果たすこととなる。


 社会人1年目のときには落雷が直撃する。

 営業の外回り中通り雨に遭遇する。

 近くにあった公園の木の下で雨宿りをしていると、雷が木に落ちた。

 スマホを地面に落としてしまい拾おうとしゃがんでいるときのことだった。

 身を低くかがめていたこと、地面にスマホが接地していたことにより、電流はすべて地面に流れたようで、やけどは負ったものの、これまた無事だった。


 社会人5年目のときには強盗に遭い人質にされた。

 突如やって来た目差し帽の男に刃物を突きつけられ、約12時間にわたって監禁される。

 警察が突入によるが犯人の確保に失敗し銃撃戦となる。

 犯人側に捕らわれたまま犯人の肉壁とされてしまう。

 銃弾が飛び交い数発被弾する。

 しかし急所には当たらず再び軌跡の生還を果たす。


 その後も交通事故には数え切れないほど遭った。

 通り魔にも何度か襲われた。

 これらは誰にでも起こり得ることだが、そんな馬鹿なと思うような特殊なものに遭うのが私である。


 コンビニで買い物中、店に恨みを持つ人物によるガソリン放火に巻き込まれ全身やけどを負う。

 自宅アパートの真下、地下で行われていたトンネル工事の崩落事故による陥没に巻き込まれ生き埋めになる。

 陥没事故後引っ越したアパートでは電気のスイッチを押した途端、窓を突き破り外まで吹き飛ばされた。原因は漏電で、駆けつけた救急隊員も数人感電したことで原因が判明した。壁の施工不良によって電線が傷ついたもののそのまま放置された結果漏電が発生した結論ずけられた。ドアが開けにくいとか、床が傾いているなど気になる点はあったが、まさか壁の中もだったとは。


 そんなこんなで私の人生は常に不幸と隣り合わせだった。

 一通りの不幸と災いを経験した。

 ここまで色んなことを経験すると災害に対する防衛策を普段から考えるようになる。

 火事にあったら、水害にあったら、強盗にあったら。

 様々な情報を集めどうしたら被害が最小限になるよう備えを整えてきた。

 その甲斐あってか、その後しばらくは私に不幸な出来事が降りかかることはなく穏やかな日々が続いた。

 しかし奇跡的で驚異的な生命力と万全な備えをした私の人生は意外な形で終焉を迎えることとなる。


 その日は雪が降っていた。

 買い物のためいつものスーパーを訪れる。

 店に一歩足を踏み入れたその時だった。

 濡れたタイル床はびっくりするほど滑りやすくなっていた。

 案の定滑り、受身も取れずそのまま後ろへ転倒する。

 ゴンという鈍い音がした。

 近くにあった商品ケースが通路の真ん中に移動しているのが視界の端に見えた。

 どうやらこの商品ケースの角に思い切り頭を打ちつけたようだ。あっという間に床に血の海が出来上がる。

 「お客様!」という店員の叫び声と「救急車!救急車!」と言う叫び声が聞こえる。

 体に力が入らず意識が無くなっていく。

 あれ、私こんなことで死ぬの?今までもっと死ぬ要素いっぱいあったよね。

 そう思っているうちに、私の意識は途切れた。

不定期更新ですが、すぐに投稿することがあります。

気長にお待ちください。

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