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嘉瀬は化け物になりました。

作者: 八百坂藍

嘉瀬は化け物になりました。

本当に唐突です。

田舎ですが普段から親に甘やかされ日々を楽しく過ごしていた中学1年生だった私ですが、野山で珍しい動物を追いかけている間に何故か身体が変わっていました。

虎とかなら良かったんですけど、キメラっぽいんですよね。

手足は熊、尻尾はよくわからない白いの、胴は亀、頭は多分、たてがみがあるので虎ですかね。

理由もわからないので本当に嫌なんですけど、こんな姿で家族のところに戻れないことだけはわかります。少しの間泣き喚きましたが、喚いてる場合ではないと切り替えました。こんな姿になったからには、こんな姿になった原因を殺さねばなりません。私は野山を駆け巡りました。

そして山頂に差し掛かるあたりで見つけました。バレないよう草むらからまじまじと見ます。腹立つのが別に相手はこんな見た目ではありません。こんな野山にいるはずのない白ウサギでした。他の白ウサギを見た事ないのでわかりませんが、おそらく他の白ウサギより目の赤も体毛の白も際立っていて、異質さが目立ちます。

油断するまで尾行するつもりでしたが、甘かったです。なんせ私の体のほうが目立つのですから草むらに隠れていようとそんなの気休めにしかなりません。白ウサギは私を見つけて跳んで逃げようとします。

だけどこれも私の計算外ですが、驚くべきことに私の足は白ウサギより速かったのです。本当になんなんだこの体はと思いながら、前足の爪で一思いに体を裂きました。

気付けば、相手は人の死体に変わっていましたし、私も元の身体に…元の身体になったら殺人じゃあありませんか!?と危機感を察知した瞬間、人間になった私の体の腕がさっきのキメラの腕のようになりました。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

大体人間に戻ったんですから私はこう叫びます。

叫んだら腕は元に戻りました。

不思議です。

キメラになったり、人になったりできるようになりました。

次々と色々なことが起こり過ぎて、私の気は動転しっぱなしでしたが、ひとまず…キメラになって私は全速力で山を駆け下り、人の姿になって家に入りました。

家族に言えるわけ、ありませんでした。

夢だと思いたかったです。

後日、殺した死体は熊に襲われたとして獣害で処理されました。人間があんな殺し方できるわけありませんから、当然と言えばそうですが、一安心…してよかったんでしょうか。

私は今でも、化け物になれます。

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