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語り継がれる詩《ウタ》  作者: アルエルア=アルファール
第一章 紡がれる詩
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墜ちる空


「離すなアルアッ!!」



「ほぉおおおおおおおおおおおッ!!!」



迫る炎の濁流から逃げる二人。


全身でがっしりと依代を掴むアルアと、

その首根っこを掴み、背から炎を吹き出して空中を突っ切るオルネア。


爆風に近い速度で(おこ)った炎に未だ呑み込まれていないのは、

オルネアの背から吹き出る炎の推力のお陰だった。



「ぃいいやっぱり背中から炎でるんですねええええ!!?」



「言ってる場合かッ!!」



まるで意思を持っているかのように迫る炎だったが……。

海を越えた段階で勢いが落ち、それ以上追ってくることは無かった。


丁度海越の魔法を使った辺りに舞い戻り、瞬く間の内に炎に包まれた灰島を見やる。


それは始源の刀が降る以前の光景――。

燃えさかる炎と降り積もる灰だけがある島。



「……亡骸の回収が出来ませんでしたね」



「必要ないだろう。

あれは此処に留まり続ける。それが本来の姿なんだと、そう思う」



「どうしてですか?」



「お前の抱えてる刀に聞いてみろ」



「――えッ!?

オルネアさんもしかして……刀剣の意思が聞こえるんですか!!?」



「……帰るぞ」



要らぬ事を口走ったと後悔し、炎の熱を確かに背に受けて帰路へとつく。


人界の守護神召喚――。

その為の依代探索の旅――。


その旅もやっと折り返しとなる。


半ば冒険の目的を果たし、考察するに有り余る事象、物体との邂逅を果たした二人。



――それは達成感だった。



アルアが辿った千年余りの編纂の旅路。

長い年月の内に得た驚きと喜びは、ここ数ヶ月で完全に塗り替えられていた。

しかもそれは道半ば――。

千年を凝縮しても得られない未知がすぐ目の前に広がっていたのだ。


オルネアの胸中にも変化があった。

たった独りきりで世界を守るという重責。

責任は枷となり、枷は心を締め付け、表に出ない心情は奥に深く埋まっていく。

その中で得た希望だった。

独りきりじゃなくなると信じて突き進み、そうして得た希望だった。


二人のそれは噛みしめるべき当然の権利であり形の無い報酬でもあったのだ。


――故に。



長耳に流れる魔力の微振動は、抱える好奇の源に掻き消され――。

普段は間違うはずも無い炎の気配は、揺れる胸中と列島を覆い尽くす熱気に紛れ――。



――大いなる者が、既に空を墜としていることに気付けなかった。



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