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語り継がれる詩《ウタ》  作者: アルエルア=アルファール
第一章 紡がれる詩
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伝わる真意


紡がれた破滅は、王の背後の空に、夥しい数の魔方陣となって顕れた。


その矛先、魔力の集中点は全てオルネアへと向けられている。



「有り難いことだ……」



険しい表情のまま言い放つ。


――(さいわ)いした。


魔方陣は街の直上には顕れなかった。

これが、街の破壊のみに専念され、広範囲に降り注いでいれば打つ手がなかった。


だが、依然としてその脅威は変わっていない。

個々の魔方陣が生み出す破壊、その威力は容易に地形を変えるだろう。


躱せば街が消し飛び、弾く方向を誤れば続く襲撃に街が保たない。


ひとつ残らず叩き落とすしか道が無い。


――身に秘めた炎、魔法への完全耐性。

それを全面に押し出し突破すれば事は直ぐにでも終わるだろう。


しかし、際限の無い力などこの世には無く。

この戦いを乗り越えたその瞬間、更に大いなる者がやってこないという保証も無い。


街か、人か、対抗手段か。

いづれかを捨て去らねば届かない。


一手足りなかった。


――先の炎で撃退にまで追い込めなかった。

――減らされた手札をこれ以上切るわけにはいかない。


しがらみだらけの力に歯がみしながら、


次いで響いた声に、


戦闘の組み立てが瞬時に仕上がる。



「――ゴホンッ!……お待たせしまッしたぁああ!!


【ティエルナ・セプ・オルドラクリーエ】!!」



背後に展開された魔法の轟き。

堅牢な城塞都市と見紛うばかりの荘厳なる光の守りに、

オルネアは守備の比重を完全に捨て去った。


瞬間――、破滅の光が瞬く。



「守りは任せたッ!!」


「お任せをッ!!」



足りない一手を補ったアルアの結界魔法は、

次々と撃ち込まれる破滅の魔法にびくともせず。

その頼もしさに、駆ける足が軽くなる。


特大の破壊が降りしきる戦場を一気に駆け抜け、両者、必殺の間合いに踏み込んだ。


発散させずに(くゆ)らせた炎を全身に漲らせ、

爪のひと薙ぎに剣を二合、爪のふた薙ぎに剣を六合、

打ち合う度に魔獣を上回り、圧倒していく。


魔獣は鮮血流しながらも地面に血は落ちず。

両者の猛撃に飛沫となって舞い上がった。


――刹那。


爪を受け止めきり、返しの剣で首を狙う一撃に。


全魔力を一括消費しての咆吼が放たれる。


回避も防御も間に合わない、至近距離の破滅の一撃。


だが――。



「――ォオオオオッ!!」



無傷――。


あらん限りの破壊を込めた決死の一撃に、剣士は動じること無く。

完璧に体勢を整えるという余裕すら見せつけて……。



――此処まで、か。



全力で放たれるオルネアの一撃。


伏した森が一斉に断たれ、雲さえ掻き乱す必殺の一撃は――。



魔獣の首にその切っ先を()えて、それ以上進むことは無かった。



「……お前が人語を解すかどうか、オレには分からん。


だが、()()()()()()()は知っている。


役目を終えたなら、その(のち)に去るがいい」



炎宿る瞳で、魔獣の瞳を真っ直ぐに見つめ返す。

死闘を越えた限界の打ち合いの果てに、両者の真意が交わる。



魔獣の王は身を伏せ……。

威圧を、魔力を、敵意を、――緩やかに解いていくのだった。


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