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始まりの詩
――青い空を濁す黒煙。
逃げ惑う人々の怒号や悲鳴が響いていたのは城塞都市が焼け落ちる前の事だった。
外敵の侵入を防ぐ壁は長らく民を守っていたが、それは地を駆ける魔物に限った話。
遥かなる空からの襲撃には何の効果もありはしなかった。
それどころか、逃げ惑う人々の殺到により門は塞がれ、高すぎる防壁を越えられず、一人また一人とじっくり炎に焼かれていく。
炎に呑まれ地獄と化した城塞都市、数刻前まで人だったものが灰になり宙を舞う。
その渦中に、一人の剣士が降り立った。
男は背に帯びる剣を抜き放ち、
人の身で立ち向かうには余りにも大いなる存在に、その切っ先を向けたのだった。




