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想いの声  作者: 友川創希
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第44話   世の誕生会へ【僕side】

 7月10日―― 

             

 もうかなりパーティー会場である世の家は豪華になっているんだろう。私は今、世の家にいるからわからないけど、そんな感じがする。


 世に朝「おめでとう」って言ったら「ありがとう、三織」と返してくれた。たぶん世はいつもの休日だと思ってるんだろう。朝からいつもと同じことをしている。誕生日だからっていつも通りでいいという風に。でも、そう思ってると世、いい意味で痛い目見るぞー。待ってろよ、世!


 午後5時頃に世に家を出てもらう予定なのでそれまであと20分くらいだ。もう3人からはOKサインが出ている。準備はできているようだ。私としても3人としてもある意味初めて行う誕生パーティー。


「あ、世、あの私、行きたいところ寄ってから行くから先に行くね。世は私の家に持ってく荷物をまとめたら来てね」


「うん、了解」


 これもなかなかいい嘘なんじゃないか。少し天才かも。自然な感じで嘘ついたし。まあ、世の家に早めに行くためだけど。もちろん3人が心配とかではなく私もクラッカーで「バーン」とかの準備があるからだ(表現の仕方がすごい雑だけど)。


「なんか、三織、少しいつもよりおしゃれしてる?」


 やばい、痛いところをつかれた感じ。そこを聞かれるとは思わなかった。たしかにいつもより少しおしゃれな高い服だけど……。


「な、何でもないよ。たまたまじゃない」


 いい嘘をつけなかった。乾いてる服がなかったっていう嘘も思いついたけど、洗濯は間に合ってるし……。なのでたまたまというかなり適当な感じで答えた。


「そうか」


 たぶん聞きたいけど、そこで止めてくれた。まさか、私が誰かとデートしてくるとか思ってないよな。別に最初に決めたルールで彼氏とか彼女を作ることはいいことになってるけど、そんなのじゃない。私は少し焦った。でも、あと少しでこの謎(?)も世がわかってくれると思い直し、家を出た。


 世の家につくとすっかり様変わりしていた。『世、誕生日おめでとう』と書かれた大きな開店したばかりの店にありそうな立てかけ看板がリビングのドアを開けると、お出ましした。


 おー。私が主役じゃないけど、自分が主役かのようにテンションがあがる。


「おまたせ、3人とも」


「お!」


「三織ちゃん、世はあとどれくらい?」


 月ちゃんがそう質問してきたのでスマホで世の位置を調べる(一応一緒に住むことになってから位置情報は共有している)。それを見ると今出発したところみたいだ。ということは世の足だとあと15分くらいかな。


「だいたい15分? くらいかな?」


「おっけー」


「そういえば月ちゃん、ケーキのチョコに何って書いてもらったの?」


 前に月ちゃんとケーキの話をしていたときに、メッセージが書けるチョコも乗せるということを言っていたので、それが少し気になったので聞いてみた。まあ、ベターだけど「世お誕生日おめでとう」とかかな。


「内緒ー」


 ということは「世お誕生日おめでとう」ではないのかな。なんか甘酸っぱくて甘いような……そんなこと書いたのかも。あの、イチゴのショートケーキに。世の好きなイチゴ。


「ふー緊張してきた」


「なんかわからないけど、緊張するなー」


 月ちゃんと頼希は手をブルブルしたりしていた。なんか、いつもと違う誕生会だもんな。


「あ、そうだ三織ちゃん、今日のバースデーミール、見る?」


「なに、ダジャレ?」


 蒼佳ちゃんはミールと見るで遊んだんだろうか。まあいいからと蒼佳ちゃんは言って私を冷蔵庫の前まで案内した。


 蒼佳ちゃんが冷蔵庫を開けるとケーキが入ってると思われる白い箱の他にお寿司や、チキンなどがあった。えっ、豪華じゃん。


「蒼佳ちゃんたちで?」


「ふふん。まあ、世にはお世話になってるし」


 蒼佳ちゃんは威張るかのように言う。


「いや、俺も出したけど」


「そんなこと、わかってるよ」


 頼希は自分も払ったことを一応私に知ってほしいのかな。それが面白くて少し笑いながらそう言う。別に大体わかってたけど。でも、いつも私たちを影で支えてくれているのに、こんなことまでしてもらって……。世は世界一の――いや、宇宙一の幸せ者なんだろう。


「じゃあ、もうそろそろやりますかー。クラッカー持って」


「はーい」


「うん」


 頼希が皆にクラッカーを配る。世は喜んでくれるかな。私たちのパーティーを。

             


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