第43話 3人からのライン【私side】
一日が今日も終わりを告げている。世は明日が誕生日だからなのかわからないけど、いつもよりも早めに「おやすみ」を私に言った。だから今はもう寝てるんだろう。
私は勉強をやめて、世の部屋を覗く。起こさないようにドアを開けると、もう寝ているようだった。なんかいい夢でもみてるのかな。顔の表情はいつもと同じだけど、なんか幸せそう。いや、幸せなんだろう。
「君は、世か」
なに言ってるんだろう。私、おかしいことを言っている気がする。君は世――。
「君が16歳にっても、私を必要としてくれるのかな?」
別に15歳から16歳になるだけで急に大きく変わることなんてない。ただ、大きくなったっていう証をもらえるだけで。でも、世はもう一人でも生きていくことはできるんだろう。じゃあ、私は一人で生いきていくことできるんだろうか?
なんで弱気になってるんだろう、私。私のほうがまだまだ料理も洗濯もできるのに。なんでだろう。
「じゃあ、おやすみ」
寝ている世に私はそう言う。
自分の部屋に戻ると私が帰るのを待っていたかのようにスマホからラインの着信音が鳴った。それを見ると偶然なのか、仕掛けているのかわからないけど、3人から――蒼佳ちゃんと月ちゃん、そして頼希からほぼ同時に来ていた。
『明日はついに世の誕生日かー。計画通りに、いや、計画以上の誕生会にしようね。自分のことみたいに世が成長してくれるのが嬉しいな』
『なんか明日ドラマが起こる予感(?) でも、なんかありそう! プレゼントも忘れずに持っていくからね! でも、三織ちゃんが今日も明日もいてくれることが世にとっては一番のプレゼントなんだろうね。素敵なことしてくれるね2人とも〜』
『俺から3ヶ月遅れて世も16歳か。なんやかんやでもう大人なんだよなー。まあ、明日は世に喜んでもらおうな! 三織の力はすごいから』
なんかラインなのに手紙みたいな内容に、世は愛されてるんだなと自分の子供のように嬉しい。
3人ともいいこと書いてくれてるじゃん。蒼佳ちゃんの『計画以上の誕生会』、月ちゃんの『三織ちゃんが今日も明日もいてくれることが世にとっての一番のプレゼント』そして頼希の『三織の力はすごいから』。そうなのかなと思う内容もある。でも、書いた人にはそう見えてるんだろう。でも、私には別に見える。
そうだな、わかってることとわからないことが人間あるからな。まあ、あの形――何かとはいえないけどそれはあの2人にあるとか。
私は今日写真を撮ったボードの写真を見る。
なにか、返信というかが書かれている。私が書いた、
『みんなはこれからの人生、何を大切にしたい?』
朝早くに学校に来て前に書いたもの。その質問の下に1つ優しい字で書かれていた。
『想うことを大切にしたい。想いを伝えたい』
誰だろう。別に誰が書いたかを突き止める気なんて一切ないけど。でも、何か……。
――あと、君は1時間で16歳の階段へ飛び乗る。




