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想いの声  作者: 友川創希
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第40話   日記【月side】

 三織ちゃんの部屋に入り電気を付ける。流石三織ちゃん! 全部がホテルのように整えられている。あまり掃除する必要もなさそうだ。


 掃除を進めていると、机にあったノートが少し気になった。


 ――漫画日記。


 あれか、三織ちゃんが毎日書いてる日記のこと。


「たぶん、もう書き終わったやつかな」


 後ろから少し覗いてみると比較的最近のことが書かれていた。この日は――世と三織ちゃんが一緒に住むと決まった日。この日はいつもの倍の8コマ分になっていた。4コマ目ではその日の午前が闇の世界とか閉ざされていた世界にいたということがうかがえる。三織ちゃん、そして世もこの日まで自分の力で耐えたんだな。5コマ目には急に天使のような光り輝いたような絵。


『何かが見えた』


 そう周りが急に明るくなったことを感じられる描写ともにもに書かれてた。


 6コマ目には三織ちゃんらしき人がこれでもかという風に手を伸ばしている。何に向かって伸ばしているんだろう。


『この手が、届くとき』


『君と――』


 映画のキャッチコピーとかにありそうな言葉が並べられている。私の頭の中にこの言葉がはいっていきなかなか離れようとしない。


「月」


「月ちゃん」


 だから誰かから呼ばれた感じがしてもすぐには振り向けなかった。


「あ、ごめん少し……」


 何してたんだろう。少し、考えてたのか、思ってたのか……。


「少し?」


 どうしたの? という感じで頼希が聞いてくる。そう……。


「いや、別に……」


 この日記漫画を見ていたのは秘密にしたほうがいいかな。でも、伝えてもいいかな。


「そういえば、漫画の本――」


 蒼佳ちゃんが手に持っていたのはさっき私の見ていた日記漫画のこと――ではなく、漫画の描き方の本だった。


「――世の部屋にあったんだ」


 世は絵を描かない――ということは三織ちゃんに? 三織ちゃんの誕生日はまだまだだからきっとそういうのとは関係なく――そういうやつなんだろうな世、は。


「世も、三織の夢、応援してるんだね」


「月ちゃんの言う通り、そうだと思う」


 この、世が……。なんか感動した。もう、怖いものは2人にはないんじゃないかな。私たちのほうが親がいるのにわからないことだらけだと思う。私たちと2人はまた別の道を歩いているんじゃないかな。


「俺も2人を押さないとな」


「でも、刺激しすぎないでよ」


「わかってるよ」


 はぁ、なんかな。好きだな。2人の想い。


 互いの想いは、いつまでも続く……そう信じている。


 きっと……。  


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