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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

画面のむこう

作者: まやま屋

パソコンの画面を開けると夫からのメールが届いていた。

『どう?ミクの様子は』

すぐに返信をする。

『風邪も治って今は元気だよ』

私達夫婦は、お互いに顔を見たことがない。


現在、日本ではネット結婚がメジャーになっている。

ネット結婚とは、その名の通り、ネット上での結婚だ。ネット結婚は政府が運営していて、ネット結婚でも、夫婦だと法律で認められている。また、精子をおくり、子供をつくる夫婦もいる。私達もネット結婚をした夫婦で、ミクという中学生の娘がいる。

夫からは毎月、養育費が振り込まれているし、ネット上でミクと夫が話すこともある。

会ったことがなくても、私達夫婦は、愛しあっている。


夜ご飯をつくっていると夫とミクがパソコンで話していたので気になって聞いてみた。

「ミク、パパにあいたい?」

「ううん、別に。なんで?」

「…私が会ってみたいから。」

ミクはどうやら父親に会うことに興味はないみたいだが、両親の顔を見てきた私にとっては少し違和感がある。

「ああ、そういえば、土曜は友達と話すからお昼ご飯は適当に食べておいてね。」

「わかった。」

ミクは夫との会話に飽きたのかスマートフォンをいじりながら気のない返事をした。


土曜日は、大学時代の友人4人とカフェで昼食をとることになった。

ふとミクとの会話を思いだしてたずねててみる。

「そういえば、旦那と会ったことある?」

「まっさかー、ないよ。会いたいとも思わない。想像してたよりブサイクだったら嫌じゃん。」

「そうだよ。それに今の関係で満足だし。」

思った通りの答えが返ってきな。

「じゃあ、子供に見せたいとはおもわないの?」

「まあ、たしかに、うちら世代は両親の顔見てるもんね。」

「片親だったから別に違和感ないわ。」

「私は子供いないしな。育休とれそうになったらつくろうかな。」

「そっかー。」

どうやら私以外は自分の夫に会いたくないみたいだ。


『会いたいなー』

そう打って夫に送信する。しばらくすると返信がきた。

『俺はそうでもないけど』

想像と全く違う応えだった。てっきり夫も私に会いたいんだと思っていた。

それでも私は夫に会いたい。ここ最近、私は夫に会いたいと強く思うようになった。

『ミクには?』

『ミクが会いたいなら』

『会いたいって』

『嘘だろ。この前会いたいと思わないって言ってたし』

『どうしてそんなに会いたくないの?』

『逆にどうしてそんなに会いたいんだ?』

『貴方の顔を見たい、声も聞きたい』

『顔には自信がないんだ』

『別にいい。いつ会いてる?会おうよ』

『どうしても会いたいのか?』

『どうしても』

それから約2日経過して夫からの返信がきた。

『わかった。東京都○○区にあるカフmoonで会おう。いつ会いてる?』

『来週の日曜なら大丈夫』

『じゃあ、日曜の12時に会おう』

『わかった』


カフェmoonに着くと、事前に伝えられた格好をした男性が座っていた。

「あの、もしかして、○○さんですか?」

そう尋ねると男性は振り返って答えた。

「そうだよ。はじめまして、かな。」

席には既に私のコーヒーもある。夫は私が想像してた通りの人だった。

コーヒーを、ひと口飲む。

目の前が真っ白になった。

身体が倒れる。

だんだんと意識が薄れていくのを感じた。

私は死ぬんだろうと、悟った。




「本当に殺して良かったんですか。」

「ああ、この女の死は交通事故に偽造されるから大丈夫だ。」

「それにしても、この国もやばいですね。平気で人を殺すんだから。」

「ネット結婚が嘘だとバレたらやばいだろ。まあ、知らない方がこの女も幸せだろう。」

「結婚相手がいないと知ったらショックですねー。」


現在、日本ではネット結婚がメジャーになっている。しかし、これは表向きの話である。


日本で少子化が問題になったため、政府は国民を騙すことにした。その手段がネット結婚である。ネット結婚は政府が運営している。そして、結婚相手がいると思わせるために、政府はAIを使い、メッセージを書いている。つまり、ネット結婚の相手はいないのである。


これにより、見事、少子化は解消された。

この試みは今、海外でも行われようとしている。


分かりにくかったらすみません

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