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愛する君へ ~SNSで失礼します~

 突然連絡してごめんなさい。


 クラスメイトの島田です。


 どうしてこのアカウントを僕が知っているのか、君は不審に思っていることでしょう。


 大丈夫です。正当な方法で入手したので安心してください。


 君の親友であるクラスメイトの鈴木さんに教えてもらいました。最近僕が彼女にちょっかいを出していたのはこのためです。断じて彼女のことが好きだったわけではないので、さらに安心してください。僕は君だけに一途な男の子です。


 さて、用件に入りますが、僕はこのたび山本さんに交際を申し込みたく連絡させていただきました。


 どうか僕と付き合ってください。彼氏と彼女の面映い関係になりましょう。


 僕は山本さんを愛しています。世界中の誰よりも。


 早急に折り返し連絡してください。


 とても急いでいます。


 悲しいことですが、僕は余命がわずかしかありません。


 あと三十秒くらいかな?


 誰かに背中を刺されたようです。流血が止まりません。君から「血の通った人間に思えない」なんて言われ続けた日々だったけど、僕にもちゃんと血が流れていました。真っ赤な血ですよ。


 僕は今アスファルトに密着してこの文章を打っています。君に会いに行くつもりだったのですが、休日の早朝からアスファルトの上でぐうたらしていますよ。雪が降り始めたのかな? とても寒い。コートの下に何か着てくればよかった。こんな時に限ってパンツも履いていないんだから笑っちゃいますよね。


 アスファルトじゃなくて君の膝に頬ずりしながら、君のぬくもりを感じて死にたかったなぁ。まさかこんな幕引きになるなんて、人生は儚いなぁ。


 そうそう、昨日君の住所へ誕生日プレゼントを送りました。


 世間はすっかりクリスマスムードですね。プレゼントの中身はミニスカサンタの衣装にしておきました。君がサンタになった姿を写真に撮って僕の墓前に供えてもらえると、天国でもはかどります。


 せっかくの誕生日プレゼントなのに、着払いになってごめんなさい。


 それだけが唯一の心残りです。


 君と出会えたおかげで僕は幸せ者でした。


 転校してきたばかりの頃、時間割も分からずオロオロしていた僕に教科書を見せてくれて、ありがとう。


 消しゴムを貸してくれて、ありがとう。


 記念の消しカスは遺骨に混ぜて埋葬するよう両親に連絡済みです。天国で、僕たちはひとつになります。


 お調子者の村田なんかになびかないでね。


 給食のグリーンピースは、残さず食べてね。


 では、また来世で。



         君だけの守護霊になる島田はじめ


才色おっぱい兼備の山本さんへ




読んでいただき、ありがとうございました。

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