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ふぃりあ  作者: ましらな
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第弐話【ヂンカクノ果テ】四 行キ着ク先 

それ以上は何も無く私達は帝都へ帰りましたとさ……

 アーニャは歳で言えば14,5か……

 小雪は20だそうだ。

 人の成長も何も解らんものだな。


 苦労しなくては池から魚を釣り上げられぬ……

 食欲は食事の時に湧く……

 どちらも露西亜の言葉だそうだが女二人国が違えばここまで違うのか……

 いや…… そこは比べるところでもなく、かな?

 数日せぬうちに、また小雪に会いに行くことになるとはな……


 『小雪ガ父上母上ヲ殺シタトノ事…… 』

 「私の仕事でもあるまい 」

 縁と言うのは不思議なものだな。

 又八郎よ? お前は死の間際まで悩み苦しみ。

 女も狂い両親を殺したそうだ。

 お前はついてない男だったよ。

 女には特に恵まれなかったな……

 なあ? お前はそれでも愛して死んだのだな。

 捕まり陵辱される恋人など見たくも無いだろうて……

 私が出向くこと、それは小雪を殺すこと……

 これもまた腐れ縁なのか…… な?

 小雪の家柄からすれば、まだ屋敷に軟禁されてるくらいか……

 「小雪の元へ向かう…… か 」

 『マイリマス 』

 「お前の心を汚したくは無いのだよ。 それでも来るのなら止めぬ 」

 『アキツグ様…… 私ハドウアッテモ貴方ノ側ニイタイノデス 』


 私も死なぬ体というだけでな弱いのさ……

 側にいる人間一人でどれだけ救われることか…… な。

 あの日のまま変わらず立派な門構え、そこを立ち守る従者と役人。

 私には話しかけることも無くか……

 その無言の一礼が勤め人である事の虚しい事よ。

 「通るぞ、中の狂人に用あるのでな…… 」

 お前の気持ちを汲むのなら、生きたままにしてやりたいのだが。

 このあと小雪は捕まり、尋問され陵辱され犯されることもあろう……

 阿片に落ちた男と、鬼の華を喰らい子を殺した女。

 行き着くところなどもう幾らも無いのでな……


 さあ、逢う魔が時

 小雪の部屋へ行こうか。


 無駄に広い屋敷を迷わず階段まで来ると聞こえた。

 何かを読む声かな……


 【あぁ…… あの日に

 夢見た……

 君と僕の幸せ。


 懐かしい、景色は色あせても……

 きっと


 大丈夫…… 】


 「又八郎…… 」

 『アキツグ様 』

 心配する顔をしないでくれ……

 この言葉はあいつの想いかと、ついな……


 【さよなら

 夢でしょう

 遠いあの頃の日々……

 信じた先が苦しくても悩んでも

 君を想ふ……

 想ふ……

 おもふ…… 】


 そうか……

 お前の選んだ道は人を辞めたのか?

 部屋を開けてみれば、答えは単純明快であったな。

 苦しむ顔に歪んだ黒い翼、蝙蝠と似ているな……

 顔に憑いているソレはなんだ?

 笑ってしまうな。

 人外になっても、人外の何かに寄生されておるのか?

 いや依存したのか?

 小雪という又八郎の愛した女はもういないのだな?

 面白い……

 私の中の霧が晴れた。

 聞こうか? お前の落ちた世界を!




 「私は小雪です。 貴方の連れている白銀の女に毒を盛られこうなったのです。 私は誰にも迷惑など掛けておりませぬ。 何故私を苦しめるのです? 」




 『私ハ毒ナド盛ッテハイナイ。 オ前…… 私ノシタ事ヲ理解シナイママ。 他ノ男ニデモ落チタノデアロウ? 激シイ痛ミニ耐エラレズソノ姿ヲ選ンダカ? 哀レナ塵蟲ダ 』


 あの日にアーニャが何かするとは思ってはいたが、縛りを入れておったのか?

 小雪よ? つまりお前はまた嘘をつき、やり直そうとしたな?

 今までを隠して……

 「小雪よ。 アーニャにどのような縛りを入れられたかは問うまい。 自身で発言したことの多く破ってはおるまいな? 」

 「…… 」

 その黙殺する行動が原因と結果の全てを語っておるではないか?

 何故? 又八郎の残した詩を読んでおる?

 「…… 」

 最早問うまい。

 お前は自身の都合の悪いこと全て無言で戦う生き物であるからな。


 「私は、母も父も殺したいなど思ってはおりませぬ 」

 又八郎様の事で家族が少し離れるような動きを見せ、私は気付いたら台所より刃物を持ち両親を貫いていました。

 「きっとその女が私に毒を盛ったのです 」

 「なるほど…… な 」

 そう思い込んで逃げる理由を作るだけで、本当は気付いておるのだろう?

 自分で望み母上、父上を殺したと言う事にな。

 「…… 」

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