第一回ウキウキアウトドアショッピング
合格を確認したあと大川と別れて家に帰宅した。
母には報告していたので、特に何も言われることなく普段通りの家の雰囲気であった。思うに多分、母からすれば道央大学には行ってほしくなかったのであろう。まぁそんなのは自分がよくわかっている。第一志望であった蝦夷大学は偏差値60ほどあったのに対し、今回合格を勝ち取った道央大学アウトドア学部の偏差値は49であるからであろう。一浪して偏差値49の大学に入るのはあまり褒められることではない。何なら現役でも行けたであろう。そいうこともあってか僕が道央大学に受かったという情報が高校の友人界隈に広まったとき多くの人の第一声は「浪人してそこなのw」であったそうだ。
もちろん大川などの仲のいい奴らは僕の苦労をよく知っているのでそんなことは言わなかったがやはりそう言っている奴がいると聞いたときやはり内心ショックであり恥ずかしい気持ちであった。
せっかく受かったのになんでこんな思いしないといけないんだろう。
だからこそ、
だからこそ
その瞬間に僕はこう誓った。僕を笑ったやつを4年後絶対見返してやる。
入学までの暇な時間で、大学の準備のために何をすればいいのかとと考えた時、アウトドアギアを買わないといけないといけないと思った。
道央大学アウトドア学部は大学のパンフレットによるとキャンプやカヌー、登山などたくさんの野外活動が行われるようであるので必然的に道具は必要であると思っていた。
そのため父に頼んで僕の地域で有名な森林荘というアウトドア用品店につれっててもらった。僕の父は子どものころからアウトドアを極めており、自作でカヌーを作ったりしていたそうだ。(その父の影響があってか僕もアウトドアの経験がないわけではない)
そのため母とは対照的に僕が道央大学に入ったのはすごくうれしかったようで、頼んだら二つ返事で快諾してくれた。ぶっちゃけ父に頼めば父が使っていたアウトドア道具を貸してくれるとは思うがやはり自分のものが欲しかった。
後日、森林荘に二人で出向いた。
そこには当たり前のことではあるがたくさんアウトドアギアがあった。お店の店員がいるカウンターの前にあるガラスケースにはナイフがおいてありキラキラと光っており。
そこから左手の棚の方に行ってみると、コッヘルと呼ばれるキャンプで使われる調理器具や水筒などが陳列されている。しかし今の僕はそれをスルーしてさらに奥にあるバックパックのコーナーに向かった。そう今日の目的の一つ目はバックパックである。大学で日常的に使う物としても、キャンプの時にも不自由ないものとして一つはしっかりしたものが欲しいところであったためだ。
いざバックパックコーナーに行ってみると様々な大きさのバックパックが並んでおり圧倒される。
大きさも25リットルから100リットルを超えるものまでさまざまあった、、、てかリットル換算なの?一体どの大きさを買えばいいのだろうか?全く分からず父に聞いてみるといろんなことが分かった。
バックパックの大きさは基本的にリットルで表されており、20リットルから30リットルは日帰りで帰ってくるような活動、いわゆるデイパックと呼ばれるものに最適な大きさであるようなのだ。当たり前のことではあるが数値が大きくなっていくごとにバックの大きさが変わっていき、80リットルや100を超えるものは長期間のアウトドア活動の時に使われる。例えば山から山へ移動していく縦走登山とか長い期間のキャンプなどがあると言われた。これまでを聞いてから自分の最適なものを選ぶ。キャンプにも持っていけるし勉強道具も持っていけそうなやつ、、とりあえず一泊二日のキャンプがあっても大丈夫なものという基準で探してみた。すると大きさは45リットルのものがちょうどよさそうだということが分かった。それ以上大きいと普段使いがしにくく、小さいと若干大きさに心配が残るのでそこからも良い大きさであった。実際に父もそれぐらいがちょうどいいと言っていた。
よし大きさも決まったし、街に出ても恥ずかしくないやつはっと、、
これだなと思い手に取った時
「おまえそれレディースだぞ」と父が笑いながら言ってきた。
値札の横には堂々と大きくレディ―スという文字が書かれていた。
「レディースとかそんなのあるんだ、なにが違うの??」
「何が違うって男と、女で体の大きさも形も違うんだから性別によって長時間背負っていても疲れないよう
にバックパックのつくりも違うだろ。」
よく見てみると、レディースよりもメンズものの方が心なしか大きく見えてくる。
「大きさだけじゃないんだね」
「そりゃそうだろ、試しにお前そのレディースのバッグの一番上のチャック開けてみろ」
僕はなんとなく丁寧にそのバックの一番上のチャックを開けてみた。そしたら小学校の時、雨の日にランドセルに着けていたランドセルカバーのようなものが出てきた。
「なんか出てきた(笑)」
「それはザックカバーといって雨が降ったときにザックにかぶせることで雨で中のものが濡れないようにするものなんだ」
他の物も確認してみると同様にザックカバーがついていたものによってはザックの上にあったり下にあったりさまざまであった。
「なるほど、サイズだけじゃないんだね」
「そりゃあそうさ、ほかにも長時間背負ってても蒸れないように背中とザックがくっつかないようになってるものや、寝袋のマットとかが入れやすものとか、チャックで締めないで紐を引っ張ってしめるやつもある。あとは自分好みだな」
そう言われてから店を見回すと全く異なるものがたくさんあった。機能だけで選ぶと簡単に3万以上のものを買うことになったり1万ぐらいで買えるけど心もとないのもあり選ぶのが困難であった。
数分後
「父さん、僕これにする」
選んだのは蛍光黄色の45Lのザックだ。値段は2万少々。安くはないが四年間使っていくのだからこれくらいがいいだろうと思う。
「よしっ、じゃあ後は寝袋と雨具だな」父さんが楽しそうに言ってくる
どうやらアウトドアは金がかかるらしい、、、