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魔女のりんご  作者: 東雲てんり
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逃げ出した果てに

魔女のりんご 第一幕


「うん?」純白なドレスを身に着けている彼女は空を見上げる。

彼女が見ている空には、何本の黒い羽根が舞い上がっている。

懐かしく感じたが、彼女はそれを思い出せないよう、首を傾けていた。


「どうしたんだい?」彼女の隣に立っている、同じ色の礼装を着ている男が彼女に声をかけた。


「いいえ、なんか羽根が飛んでいましたから、つい見ちゃいました」と、彼女は未来の夫に返事する。


「見ていただけでなく、涙も流れているではないか、こっち向きなさい」男は袖で彼女の涙を拭いた。


泣き顔が直されて、彼女は視線を前に戻し、人々の祝福を浴びながら、青い瞳で、夫との未来を見つめてる、


**************************


「このクソガキが!買い出しすらこなせねぇのかよ!お前を養ってるおれぇらをなんだと思っているんだてめぇ!飯抜きにするぞ!」と村人の男性はそう言いながら、力強く目の前にいる幼い女の子と蹴っている。


「ごめんなさい、ごめんなさいです!許してください!お願いします!もう何日間水しか飲んでないんです!おなかはもうペコペコなんです!ご飯抜きにしないでください!」と彼女は号泣しながら、男性の足をしがみついていた。


男性はマクトールという。村の中で一番力と権力を持っている人であり、村長すら彼の話に耳を傾けなければならない。ゆえに、この光景を何度も目にした村人もいるが、少女を助けようとする人は一人もいなかった。


「はぁ!?てめぇわかっていねぇな!てめぇみたいな不気味な小童に寝る場所を与えただけでもありがてぇいんだ!こんなよくしてあげてるのにまだ文句言うつもりか?はぁ?てめぇのその赤い瞳のせいで、俺らは不幸になるんだ!」と言い終わったら、拳を固く握り、少女に振り下ろした。


重い声とともに、少女の顔が地面に深くはめた。明らかに嫌悪な顔をしながら、マクトールは妻と息子とともに、屋敷に戻っていった。見物をしていた村人たはまるでショーが終わったように、それぞれの家に戻り、少女はひとりに取り残された。


何分か何時間かが経ったあと、意識が戻り、少女は顔を地面から引き出して、力なく地面に座りなおした。血まみれの顔に、年月が経ってすでにボロボロな服。それでも、彼女の眼窩に嵌められていた赤い瞳はその禍々しさを失っていない。


「農事しなきゃ......」とつぶやきながら、少女は力弱く立ち上がった。

身に着けている服で血まみれの顔を拭き、農地に足を運びだした。


マクトールの屋敷を通った途端、屋敷から和気藹々な笑い声が飛んできた。少女は気づかれないよう、屋敷内を覗いてみたが、彼女が目にしたのは、家族仲良く、じゃれあいながら食事をする光景だった。


「ぐぅ......」まるで家族の温かさに耐えられないように、少女は家族から目をそらし、己の農事をこなすために再び踏み出した。農事が終わったとき、すでに日付も変わっていて、彼女はすでに三日間何も口にしなかった。空腹のまま、彼女は自分に与えられた馬小屋に戻って眠りにつけた。


「腹......減ったなぁ」夜はまだ明けてない時間に、少女は目を覚ました。三日間ずっと与えられた仕事をこなし、何も口にしなかった。少女の体はすでに限界に至っている。彼女は体を起こし、一枚しかない服を身に着けて、外に出た。


他の屋敷にいる村人たちはみんなマクトールを怖がって、誰も少女を助けようとしなかった。裕福な村ではあるが、その中には少女みたいな恵まれない存在もいる。村を一周して、少女は残り僅かの体力を無駄に使い切った。この時の彼女にはもう絶望しか残っていない。この時、彼女が目にしたのは、村の少し離れた場所にある、真っ黒な森だった。


かの森は、古来より伝われ、入ったら出ることができないといわれている場所だ。村人も、外の人も、誰も森に入ろうとしない。が、この時の少女にとって、それを判断する理性や体力すら残っていなく、彼女は森に足を運んだ、ただただこの運命と呪われた人生から逃げたいと心から願う。


「あれ、ここ......は?つい先まで村にいるけど......」自分がどうしてこのような場所に入ったのをすら忘れた。ただ前に、逃げるように、迷宮のような森の中で彷徨う。森に潜んでいる猛獣の吠え声や不穏に流れている風の音や体が疲れ切って脳に送り出した警報など、それらすら少女に届けなかった。やがて、彼女は力が尽きて、意識はボロボロな体と共に倒れた。


**************************


「ふむ......」少女が森に入った瞬間から彼女を監視していた黒い影が動き出した。影は少女のとなりまで下りて、少女を近く測っている。


その黒い影は人に見えないが、知性を持っていようで、まるで人間のようにぶつぶつつぶやいていた。


「報告しておくか」と頷いて、黒い影は少女を連れて、森の奥に消えた。


**************************


ここまで読んでくださってありがとうございした

カタログにも書いてあった通り、

基本は気ままに書きますが、

ご意見かフィードバックを頂ければ、

投稿スピードを上げる感じで更新していくつもりです


物語の最後まで付き合っていただけたら幸いです


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