4話 女子会
5月26日
「亮ちゃんヤッホー!10分遅刻だよ!」
開口一番元気な挨拶をかますのは向日葵若葉だ。栗毛色のくせっ毛が今日も若葉の可愛さを醸し出している。そして、
「おはよー亮平ちゃん」
と、おっとり挨拶するのは野中和だ。今日もきれいに整えられているショートヘアーの少女であり、そのきれいな笑顔を見てしまい一瞬気を失いそうになる。が、
「うーす、ておい!亮ちゃんならともかく亮平ちゃんはなんか可愛い子供みたいになってるぞ」
と、一人の少女が名前の呼び方に文句をつけた。黒髪のロングヘアー姿の俺は多分だけど眠そうな顔をしている。
場所は学校の近くのショッピングモール。そして、ショッピングモールの入口に若葉、和、俺が集まった。何故俺たちがショッピングモールに集まることになったのか、それは3日前ぐらい前まで遡ることになる。
* * *
5月23日
「ねえ、ねえ!」
と、昼休み中に響き渡る大きな声。その発生源はひとつのグループの中の一人、くせっ毛少女向日葵若葉である。グループ内ではさもいつも通りの光景と認識してか誰も食いついてこない。それを無視して若葉はその大きな声で話続けた。
「次の日曜、一緒に買い物行かない?」
「俺パス。貴重な休みだから」
即行で断ったのは俺だった。土日も忙しくしている俺は貴重な休暇にゆっくりしたかった、が、
「それを知ってて私は誘ってるのよ。ねぇ、お願ぁい~」
「亮平ちゃんがいかないなら私もパスしよっかな」
「ちょ、リア充なんて滅べばいいわ」
味方を次々に失う若葉は苛立ちを募らせていた。そしてとどめに、
「俺も貴重な休みだからゆっくりしたいな」と岡島が、
「誰も行かないなら僕もいかない」と飯島が断ったので、
「うぅ~~~~~。行きたい!行きたい!!行きたい!!!」
と大声で喚き散らした。俺は耳を押さえて、
「わかった、わかった!行くから。ほら、これでいいだろ!てか、他の人に迷惑かけすぎ!」
周りの目は既に俺のいるグループに向けられていた。が、
「あ、ありがとう!ここに奇跡が舞い降りた!」
大袈裟な若葉を見て、周りの目は各々の所に戻っていった。
「亮平ちゃんが行くなら私も行く」
「ありがとう!なら、次の日曜は女子会ね」
「女子会、だと!」
初めて聞いた。女子会宣言。その言葉に一瞬感動し、
「まあ、こういう休みも悪くないっか」
と、ワクワクを抑えてそう言った。
* * *
「というわけで今回は亮ちゃんを女子っぽくする方法を実行するよ!」
「女子っぽくっていったい何をするんだ?」
可愛い物を身に付けたりオシャレすることだろうか?そんな疑問を抱えたが、すぐに答えが帰ってきた。
「ではまずアクセサリーショップにいきましょう!」
声高らかに宣言する若葉。オー、と和がおっとりしながら返した。まあとにかく若葉が考えていることは女子っぽくない俺(中身は男子だから仕方がない気もする)を女子っぽくしようとする算段だろう。いやでもよ、かわいく振る舞えば女子っぽくなるんじゃね。
アクセサリーショップは二階にあって、そこにはアクセサリーの他にも服等も売っていた。そして、アクセサリーショップに入るや否や、
「ねえ!ねえ!ちょっとこれ付けてみて!」
手渡されたのはひとつのネックレスだった。ペンダントの部分に星形がある。俺は言われた通りそのネックレスを付けてみた。そして、
「ど、どう?」
二人の前に見せてみた。すると一斉に二人の目が輝いた。
「キャー、可愛い!」「亮平ちゃん超かわゆす!」
ネックレスひとつでこの反応なのだから他の試着となったら大変だろうなぁと考えていた。
「ねえ、亮ちゃん、これも付けてみて」
これは、眼鏡?
「俺目は悪くないんだけど。視力両目2.0はあるぞ」
「眼鏡は眼鏡でも伊達眼鏡よ」
ああ、伊達眼鏡ね。俺は早速着けてみる。レンズが入っていないため普通の眼鏡と違い普通の視力で見ているような感触だ。そして、
「これはこれで可愛い!」「眼鏡っ娘。かわいい…!」
だろだろー。やっぱ素質があるんだよ、可愛さの。
「んじゃ、これ着けてみて」
これは前に着けたネックレスに似ているがペンダントが違う。そう、
「ど、ドクロ!?」
「ちょっと着けてみてよ~」
はいはい。別に呪われるわけじゃないしいいですよ別に。俺はそのネックレスを着けた。
「な、なんか、意外とぴったりね。性格とマッチしてる」「か、カッコいい」
「俺の性格がなんだって?」
「何でもないわよ、で、何か気に入ったものとかはない?」
気に入ったものねぇ。俺はアクセサリーショップをぐるりと回った。そして、ひとつの、俺の目に輝いてみたものを手に取った。それは、
「ん?何それ?カチューシャー?」
横で若葉が解説する。カチューシャーと呼ばれるそれは、Cの形をしていて、色はレモン色で濃い黄色のアクセサリーも付いていた。俺はそれを身に付けてみて、鏡の前までやって来た。そして、
「こ、これだ!」
俺は目を輝かせながら鏡の中にいる俺の姿を称賛した。
「うんうん、これもまたかわいい」「亮平が また一段と かわゆいな!」
「俺の姿で歌うなよ、ちょっと恥ずかしいだろ…」
「へぇ、亮ちゃんもツンデレなんだ」
「どこがツンデレだ!」
そのやり取りに和が笑いをこらえきれずに笑い始めた。それにつられ俺と若葉も笑ってしまう。ひときしり笑った後俺は、
「んじゃこれ気に入ったからちょっと買ってくるわ」
「「いってらっしゃーい」」
と、俺はレジに足を運ぶのだった。
※
「で、次は何かするのか?」
カチューシャーを買い終え質問する俺に若葉は胸を張って答えた。
「ちょっと疲れちゃったじゃん。だからカフェに行こうかなって」
「さんせー。私ちょっと疲れちゃった」「うん。良いんじゃないか。俺も色々と疲れたから」
と、二人は若葉の提案に賛成した。
一階に移動し、モール内のカフェに足を運んだ。レジにはそこそこの人が並んでおり、コーヒーのいい匂いがカフェ内を包んだ。
「さて、何頼もうかな」
メニューボードにはさまざまなドリンク(主にコーヒー)、そしてサイドメニューまで豊富で何を頼もうか迷ってしまう。と、その時、
「んじゃ私カフェモカとマカロンのセットにしようかな。私のおすすめだよー」
と、若葉が既に決めたらしくレジに並ぶ。そして、
「んじゃ私もそれにしようかな」
と、和も同じのを頼むようだ。ここまで来たらさ、
「んじゃ、俺も同じのにしましょうかな」
おんなじのを頼まずにはいられないじゃないか。
三人とも同じものを頼み前払いを済ませカフェモカとマカロンのセットを持ってカフェのテーブルに座った。
「これぞ女子会の醍醐味ね。亮ちゃんアクセサリー作戦も成功かな」
「そーだな。良いもの買ったし」
早速俺はカチューシャーを身に付けている。俺はそのカチューシャーに触れ、そして俺の口元が緩む。
「亮平ちゃん、笑顔可愛い~」
そう和に言われ少し顔を赤く染めた。そして、
「ほら、照れてないで早く食べよ。カフェモカが冷めちゃう」
そして俺達はカフェモカとマカロンを食べ始めた。
ふむ、マカロンはベリー風味で、カフェモカとの相性が抜群!これはつまり、
「「超美味しい!!」」
俺と和がこのセットを称賛した。
「でしょ、でしょ!美味しいでしょ( =^ω^)」
「「うん!」」
元気よく俺と和が返事した。
「でもこうやって3人で遊ぶなんて、やっぱり遊んでよかったわね!」
「もちろんです!」
「俺もだ!」
女子会を開いてくれた若葉に感謝!
「さてと、カフェモカも飲み終わったことだし亮ちゃんを女子っぽくする第二弾を始めようか」
「なんじゃそれ?」
「亮ちゃんを女子っぽくする第二弾は、亮ちゃんの言葉遣いを矯正することだよ」
「え?」
このあと、女子トーク(言葉を汚くする言語禁止)をめっちゃしたことは言うまでもない
次回予告
ども、モグポクです!今回の話は何て言うか未完成な話みたいな感じですね。超絶短い話なので早く読めると思います。何て言うかこの話のあとがきみたいになりましたね
次回 「銭湯」
次回は逆に少し長いです!