2話 絶望と復活
親が亡くなったというのは結構辛い話である。思い出したくもないし考えたくもない、が、詳細を説明すると、出張先で交通事故に巻き込まれたのだそうだ。会社の人によると、単独事故ではあったもののかなりスピードを出していたことから大きな事故になったと言う。だがしかしニュースには載ってはいなかった。乗っていた人は全員死亡し、当然ながら親が巻き込まれたと言うことだ。もっと言えば、俺は絶望と後悔が混じったどん底に叩き落とされた。両親の棺桶が家に来たときは号泣したのをうるおぼえではあるが覚えている。それから一週間は早く過ぎていった。葬式は次の日にとりおこなわれた。そのときに親戚に女体化がバレてしまった。そのあといろんな話がぐるぐるとあった。その話が一息つくまで金曜日までかかったけれど、これからもあるだろうと思うと心が痛む。土曜日は学校に行く予定だったが休んだ。先生もこの事は気に咎めないだろう。最悪な展開だ。親にばれないようにしたら親戚全員に知れ渡り、親は天国に旅立つし、もう一人だと思うと泣きたくなる。
そんな俺を救ってくれたのは友達というかけがいのない存在である。土曜日、俺は絶望のどん底に叩き落とされていた。何をしているかさえ今となっては思い出させずにいるのだけれども、だらか訪問に来たのは覚えている。家の鍵を開け、中に招き入れたのだが周りが暗黒に包まれていて誰かさえ把握できない。いや把握なんてしようとしていなかったのだが、しかし、
「ちゃんとしなさいよ。今日は買い物に付き合ってって言ったのあんたじゃない」
と声が聞こえた。まるで水の中で話しているようにぼんやりとしか聞こえなかったが言わんとしていることや誰の声かを即座に理解できた。向日葵若葉、彼女はこんな俺を叱咤するような感じに言った。そんな約束した覚えないけど、俺をどうにかしようということを感じ取れた。これが最初のひかりの一筋。また、
「元気出せ!なんかおごってやるから!」
と言ってくれた。この声はおそらく岡島だろう。場違いの爽快な声が部屋中を響かせる。そんなので元気が出ればどんだけよかったことだろう。この二人は両親を失った悲しみを理解できるわけがない。場違いの言葉過ぎて言葉も出ない。でも、少し楽にはなれた気がする。この二人はそんな場違いな態度をとることでこの気持ちを晴らさせる、その思いが伝わった。それと同時に両親はおそらく俺のこんな姿を見たいだろうか?つまり、俺はこの思いを背負って友達の期待に応えなければならない。ちゃんとしたところを見せつけなければならない。亡くなった両親やここにいる友達に微笑まさなければならない。どんなに復活が早すぎても、俺はこうしたい、そんな気がした。
「よし、ありがとな!若葉、岡島!よっしゃいくぞー!」
とまあ、こんな具合である。目頭には涙がうっすらと出ていることを感じる、しかし俺はそれでも無理に笑顔を作る。やっぱり無理はたまにするもんだな!
※
5月19日
この日は何をしたか、それは先週し忘れていたことだ。まずは買い出しから始まりいろんな服を買ったりちょっといいシャンプーやリンスを買ったりした。そのあとは家の整理だ。絶望のどん底に叩き落とされた時に少し散らかったことや、部屋の掃除、遺品の整理などやることは山積みだった。遺品の整理は少し気が重かったが、俺の意見であのときのままにしておいた。そう、少し前まではこんな風だったのに、いつしか忘れていたことに怒っている俺もいる。てなわけで、日がくれる頃にはあっという間に片付いたのである。
「二人ともサンキューな!明日からは学校に行くからな!」
「その事で聞きたいんだけど。その姿で制服はどうするの?他にもほら、いろいろ問題があるんだよ」
う~ん。これが問題なんだよな。でも、少し考えがある。
「俺に任せろ!策があるから安心しろ」
「おっ!それは本当なんだな。それでこそ俺の相棒だ!」
暑苦しいやつだ!
「それならいいんだけど。でも、イメージを悪くしないようにね。例えば言葉遣いとか」
まあ、そこは気を付けよう。
というわけでとんだ災難な一週間はこれにて幕を閉じた。けれどこの悲しみの余韻が消えることは早々消えないと言いたげに漂っていた。
次回予告
ミスの連打で次回予告take3に心が折れそうな、どもモグポクです!いやー、次回予告をたくさんした一日でした。もうネタが尽きそうです。(take1、take2は春のはなしをしました)
次回 「混乱状態」
それでは~ではまた(@^^)/~~~(3回目)