一晩寝たら幼女になっていた件 後編
「元に戻ってないんですけど!」
「戻ってないですって?あんなに性癖全開にしていたのに?」
「それは和だけだから安心しろ。にしてもマジか」
溜息をつきながら亮平(幼女バージョン)はそう言いました。昨日あれだけ変態姿を露にした和さんは今はもう落ち着いています。
「ねえ、亮くん。亮くんは幼女をどう思ってる?」
「どうって言われても。可愛くて、ちっちゃくて、生意気、いだ!」
ムカつきましたので、私、会原まこはお兄ちゃんの脛を蹴りました。普段なら効かなそうな攻撃も今では通じます。お兄ちゃんが痛みに悶々としている間に、和さんは、
「う~ん。これは参ったな。飯山君に頼るとかは?」
と問いかけました。お兄ちゃんは受話器を持ち直しその問いかけに答えます。
「彼奴、電話に出ねーんだよ」
あの後から彼、飯山一は電話に出ません。今まで飯山が電話をかけ直さないことがありませんでしたので、少し心配です。
「じゃあ守は?」
「あいつはあいつで別件を抱えてるらしい。何かは知らんけど」
数秒の沈黙が辺りを包み込みました。そして、和さんが、
「じゃあそのお母さんに頼ったら?」
と提案しました。
「?どういうこ…まさか!」
そして、和さんは自信満々に答えるのです。
「そう、沖根未知子さんに頼るんだよ」
電話を切ったあと、お兄ちゃんは再び電話を掛けました。掛ける先は沖根未知子さんです。
「あ、もしもし、会原亮平です。訳あって…あれ?沖根!」
どうやら電話に出たのは沖根さんのようです。未知子さんの方ではなく守さんの方です。普段の流れとさっきの流れからして未知子さんに替わることを促そうとしました。けれど一更にそんな光景が見られることはありませんでした。何故なら、
「俺だよ、俺!、何?オレオレ詐欺に用はありません、だと。前にもこんなことがあったような気がするぜ。俺が女体化したときのように」
このように話が全くと言って良いほど噛み合っていませんでしたから。
「それに、昨日沖根に電話しただろうが。えっ、してない?したよ!な、まこ」
私は大きく顔を縦に振りました。昨日守さんと話したことを忘れたわけではありませんでしたので。
「それよりも未知子さんに替わってくれ」
その後は約十秒ほどの沈黙の後、
「もしもし、未知子さん」
やっと話が進みそうですね。
「まあ、つまり幼女化したからそれを治す方法を考えてほしいと」
「まあ、はい。すみません」
自宅にやって来た未知子さんは話をまとめると、
「うん。これは流石に私を頼って正解だ。て言うかここら辺だと治せるのは私しかいないかもしれない」
「沖根さんしか?え、でもこれって」
「気持ちの問題じゃないよ、これは」
未知子さんははっきり言う。そして続ける。
「でも言っても難しい話だから実際に君自身が見てからのお楽しみにしようか」
「実際に見る?」
実際に見る?
未知子さんは気持ちの問題ではないと言いました。というのもこれは聞いたお話ですが5月にお兄ちゃんが女体化したとき、それは女の子になってみたいという純粋な気持ちにより身体不規則症候群にかかり女体化したのだが、実際に見てみたかったなあ。
しかし残念ながらあれから全然沖根さんから連絡が来ることもなく、数日がたってしまいました。
ある日の夜、私はお兄ちゃん、亮ちゃんと一緒にお風呂に入っていました。いつもは男子高校生と幼女なのだが、最近はどちらともロリと化しています。残念ながら中身は男子高校生と女子高生ですが。
「ねえ、亮ちゃん、この姿にもなれた?」
「うう、亮ちゃん…亮ちゃんと呼ばれるのは正直前に若葉から呼ばれてたけど、まだ恥ずかしい…」
可愛くてよろしい。
「呼び方はともかく、このロリ姿になれたのって聞いているのだけど」
「周りが大きくてちょっと怖い。まこもそんな気持ちだったのか?」
「いや、私はロリ歴10年だからそんなでもないけど」
私は10年このロリ姿でありそれで中身は女子高生です。なのでこれから大きくなるかは神のみぞ知るところでしょう。
「あ、あとなんかまこの目線になってちょっとまこと仲良くなれた気がする。こんな気持ちなんだって」
「そう、かな?」
「うん。例えば、えい!」
えい???!!
「ちょ、くすぐり!?それは前から変わら、アハハハハハハハハwwww、えい!やったなー」
「えっ、ちょ、やめろ、アハハ、きゃ、ハハハwww」
しばらく二人はくすぐり合い、そして疲れてたと思ったら
「うわー、こんな感じにやり返されるって、アハハハハハハハハwwww」
「そこまで笑われるとこっちも、アハハハハハハハハハハハwwwww」
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
「うるせー!」
亮ちゃんは急に来たピンポンに叫びつつも全裸でインターホンに向かいました。そして数秒がたった後、ドタドタと足音が近づいたかと思えば、
「まこ!今すぐ着替えてリビングに集合!」
と言われ、私は、
「亮ちゃん!それは君も言えないよ!」
と大きな声と笑顔でそう伝えるのでした。
7月26日
私は目の前の光景をみて絶句しました。それは亮ちゃんも同じなようです。目の前にいたのは沖根未知子さんと和尚一之助さんとお兄ちゃんがいました。お兄ちゃんがいました、それは亮ちゃんからみたらどう写っているのでしょうか、流石の私もわかりませんでした。
「じゃあ、ここにいる状況を一から説明すると、亮ちゃん。君は入れ替わりにあっていたのだよ。身体のね。前のように魂が入れ替わるのではなくて、肉体が入れ替わったの」
「入れ替わった!?」
「そう。そして前にいるのは普通の人じゃないんだ。まこちゃんのように実体を持たない存在。けれどまこちゃんとはちょっと違って、身体不規則症候群にかからないで実体を持たない存在」
それは私もすぐにわかりました。わかった上で私は続きの言葉を待ちました。
「つまり、君たちがわかる言葉で言うと、幽霊って言えば良いかな?」
幽霊。けれど目の前にいるのは幽霊には見えませんでした。
「君達には亮平くんの姿が見えるだろ?私も見えるし和尚も見えている。おそらく和ちゃんや守くらいももしかしたらみれるかもしれない。でもね、他の人から、第三者の人からは姿形も見えないのだよ」
亮平くんをよく知る人物しか見えないんだよね、と未知子さんは言いました。なるほど、そういうことでしたか。
「でもね、これは私が決めることではないのだけど、この子とお話しする?」
「勿論です」
亮ちゃんは即答すると、お兄ちゃんの姿をした人に話しかけました。
「君は何がしたいんですか?何が望みですか?」
「……………」
この雰囲気は昔、私とお兄ちゃんとの会話にどことなく似ていました。
「俺はそれを聞いてから、元の姿に戻りたいです。まこのように力になれるかどうかわからないですけど、話すだけでも楽になる気がするんです」
「………生きたい」
「………そうか」
それ以上はなにも言いませんでした。けれど亮ちゃんは急に立つと、冷蔵庫に行き、アイスを取り出すと、お兄ちゃんに渡して、そしてこう言いました。
「これで解決するなんて馬鹿馬鹿しいけどさ、これ食べて元気だしてくれたら私、嬉しいかな(o´∀`o)」
これを聞いた途端、私は亮ちゃんのかわいさに心を奪われました。どんどん心臓がバクバクし初めて顔が赤くなっていきます。しかし、それはすぐに覚めることとなりました。お兄ちゃんの姿をした人が泣き初めてアイスを食べ始めました。そして食べ終わるまでなにも言いませんでした。食べ終わったとき急に部屋が眩しく光って、私は目を閉じました。光が収まり目を開けると、身体が入れ替わっていることはありませんでしたが、お兄ちゃんの姿をした人が腕を動かすと、
「も、戻ってる!!」
「お疲れさま。亮平くん」
お兄ちゃんは数日を経て元の姿に戻ったのでした。
「じゃあ、私はおいとまするとして、本当に置いていっていいの?」
「いいですよ。どうせ、身寄りのない子ですし」
「生きてないんだけどね。しかも他の人には見えないし」
「俺の友達なら根性で見ますよ」
「じゃあ、またね。亮平くん。あ、あと、」
そして未知子さんは私の耳に顔を近づけると
「途中顔赤くなってたけど、恋しちゃったでしょ」
「し、し、してませんよ!!」
「あはは、じゃね、可愛いまこちゃん」
そしてこの二人は家から出たのでした。お兄ちゃんは、
「また家族増えたなぁ」
「お兄ちゃんのロリコン」
「う、うるせー!」
私はさっきの風呂の勢い以上に笑い始めるとお兄ちゃんと女の子もつられて笑いました。ひとっきしり笑った後、
「あ、ちょっと聞きたいんだけど」
お兄ちゃんは女の子にそう尋ねますと、こう続けました。
「君のお名前は?」
次回予告
ども!内容よりも次回予告の方が人気がある気がするモグポクです!ってこれ次回予告と言って良いのかな?いいんですよ!というわけで皆様、実はモグポク、、、Twitterをやっておるのですよ。作者マイページにリンクを貼っているはずなので是非とも飛んで見てくださいませ。ちょっと寂しいアカウントですが、よろしくお願いします。フォロバは気分次第かな。
ブクマ、感想、評価等よろしくお願いします!次回予告!
次回 「一晩寝たら透明少女になってて生活が不便過ぎる件 前編」
続きは次回!?それでは~ではまた(@^^)/~~~




