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一晩寝たら奇想天外なことが起きていていつの間にか青春していた件  作者: モグポク
第四章 一晩寝たら身体が入れ替わっていた件
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一晩寝たら身体が入れ替わっていた件 その5

7月5日

 「というわけなんだよ~どうればいい?飯山?」


 「全く、お前はどれだけ身体不規則症候群に関われば気がすむんだ?」


 次の日、会原亮平に戻った俺は昼休みに昨日会ったことを伝えた。勿論7月2日に起きたことも踏まえてだ。


 「つまり、亮くんは木藤咲っていう女の子と一日ごとに入れ替わっているってこと?」


 「ま、そういうことだ。だから早急にその状況から打破した方がいいと思ってみんなに聞いているんだけど、どうすればいいか?」


 「前にも言ったが、なにも考えずに僕たちを頼っていたら、お前は最低中の最低だな」


 なにも考えていないのではなく、答えがでないのだ。全く、本当に面倒なことに巻き込まれたもんだ、それに、


 「今までの身体不規則症候群はだいたい個人的な理由だったろ。俺は他のやつになろうなんて考えてもないぜ。もっと言えば今の状態を楽しんでいるのにさ」


 「確かにあいあいの言うことも理解はできるけど、身体不規則症候群が個人的な理由だけとは限らないよね。あれはあれこれはこれの理論。ここ、テストに出るよ」


 どんなテストで出すんだよ、その沖根理論。


 「同感だ。身体不規則症候群はまだ解明されていない病気だ。未発見なんて当然だろう」


 と飯山は沖根の沖根理論に賛成し、そして勝手に自分で理解した。和はお弁当の中に入っていたタコさんウインナーを一口で食べて、飲み込んでから口を開いた。


 「それにしても、亮くんは木藤咲っていう女の子のことは知らなかったの?」


 「知らねーよ。会ったこともないし」


 今までに木藤咲という人間に出会った記憶など残念ながらなかった。しかし謎の違和感は俺の頭に残っていた。


 「とにかく考えられるのは身体不規則症候群であるということぐらいか」


 と飯山は言った。何故俺はまた身体不規則症候群に関わらなければならないのだろう。いつしかの会話が脳内を掠め、そして消えた。


 「じゃあ、明日は亮くんは木藤咲ちゃんになっているってことかな」


 「まあ、そうなるな」


 「へぇ~楽しみだなぁ~」


 と和は言った。何が楽しみなんだ?そう思ったが言わなかった。そんなことより、


 「木藤にはこの事は話すのか?」


 「当たらずとも遠からず、だね。ボクたちはその事を知っているってことだけじゃないかな。もしかしたら君自身が問題なのかもしれない。その場合、無関係である人を巻き込んでしまっているのだから、必要最低限なだけを伝えて安心させることが第一かもしれないね」


 と守は言った。そして、一拍おいて付け加える。


 「あと、念のために忠告だけど、この事は誰にも口外禁止だよ。例外もあるけどね」


 「例外?」


 「例外その1、まずこの事に関して知っていると言う人。例外その2、その事に気づいた人。だけど例外2はその人自身で気づいた場合による、わかった?」


 「ほいほい」


 というわけで明日の対策ぐらいはできたが、入れ替わりという状態から打破する方法は何一つでなかった。


           ※


 と思っていたが話はまだ終わらなかった。


 「入れ替わりを止めされるためには、いくつかの方法があると僕は思う」


 と飯山は持論を展開し始めた。俺はもちろん食い付き続きを促した。


 「まず1つ目、今まで通りの方法で治す。ただ、これに関してはお前及び咲のどちらかに問題があるわけでお前は聞いたところによるとない。つまり咲に問題があるのかもしれない」


 「その場合は私たちで頑張るからね!亮ちゃん!」


 何故亮ちゃんと呼ばれたのかを後で聞く必要がありそうだな。


 「2つ目、強制的に入れ替わりを断ち切る。ただ、これは絶対にしたくない。断ち切るというのはどちらか一方が消えると言うことだ。つまりどちらかが死ねば強制的に入れ替わりが終わるのだが」


 「それはダメだよ、飯山くん」


 と、和は顔色を変え、そして声のトーンを落として言う。彼氏が死ぬということは考えただけで最悪きわまりない。それは俺が一番わかっていることであった。


 「安心しろ、こいつを死なせるわけにはいかない。ちなみにその3は前にも言ったように時間がたてばというのもあるが、信用ならん。だからもう一度聞く、木藤咲という女の子を本当に知らないのか?」


 「だから知らねーって」


 しかし、やはり違和感が俺の頭に再び蘇る。しかし、これが解決できるわけもなく、そして打開策が思い付く前に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。


          ◇


 「ということなんだよ~もしかして私、夢を見てるのかな?」


 「やはりそうだったか!オカルト研究部部長の目に狂いはなかった!!」


 「だからあのとき変な感じだったのねぇ」


 目の前には塩見夏々ちゃんと喜久井紗菜部長がいる。私は昨日あったことを信用できる人(喜久井部長はオカルト研究部ということで)に伝えたのだ。


 「会原亮平くんねぇ、それにまこちゃんねぇ~」


 と、呟くようにななちゃんは言った。


 「そういえば、会原といえばこのクラスにもいるぞ。ただ、亮ではなく亮平となると話が変わってくるよぉ」


 と、喜久井部長は言う。確かにこのクラスには会原亮(あいはらりょう)っていうやつはいる。ななちゃんは「なるほど、昨日「会原」と呼ばれて返事した理由がよくわかったわ」と言った。


 「でねぇ~咲君、この事を向こうの世界には伝えたかい?」


 咲君?急に呼び名が変わってビックリしたがそれを流して答える。


 「向こうのって、いや、伝えてないよ」


 「ということは会原亮平君は急に入れ替わって焦っているってわけだね~」


 と喜久井部長はニヤリと笑ってそう言った。


 「わがオカルト研究部初にして最大なる仕事、この私が解決しようじゃないの~」


 と目をきらきらと輝かせながら大声で言った。私とななちゃんが焦り、周りが怪訝そうな顔をした。


 「でもおかしいわね、昨日のあなたは確かにおかしかったけど、気になる程度のものじゃなかったよ」


 と、ななちゃんは言う。それに付け加え、


 「確かに、まるで今までに似たようなことを体験しているような感じかもしれない、いや、まさかな」


 と喜久井部長は言い、そして二人は勝手に納得してしまったようだ。それを見て私は完全に話に置いていかれるのを感じ、しびれを切らして、叫んだ。


 「ねえ、昨日の私に何があったってのよ!」

次回予告

亮平「ども、第四章一晩寝たら身体が入れ替わっていた件の次回予告担当の会原亮平と!」

咲「木藤咲でーす」

亮平「前回の話が第二十部記念でそれをいい忘れたから一応お伝えしときまーす」

咲「今回は第二十一部記念と平成最後の日だよー」

亮平「ついに平成が終わるから最後は派手に終わろうぜ」

咲「イエーイ!次回予告!」

次回 「一晩寝たら身体が入れ替わっていた件 その6」

亮平「平成最後の、そして、第四章最後の話、ぶっ飛ばしていくぜ!」

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