一晩寝たら身体が入れ替わっていた件 その3
7月4日
7月4日、おそらくこの日は人生で忘れることとのない日になるだろう。まこを救ってから約一週間もしていないのにここまで忘れることのない日になることが多いのはなぜだろう?けれどそれでも身体不規則症候群に関わってしまったのだからその代償もまた大きかった、さて、今回はいったいなんの物語なのだろう?
※
起きる瞬時に気づいた。なにかがおかしいと。女体化したり見知らぬ幽霊もどきと会っているぐらいなのでもう敏感になったのだろう。なにがおかしいか、それは身体が起きることを拒絶するかのように重い。普通なら寝起きは良い方だ。それにまこの分の朝飯を作らないといけないので力ずくで身体を起こす。そしてすぐに気付く。まず髪が長くなっている。ただ、ロングヘアーかどうかと聞かれればそうでもなく、ショートヘアーだった。ショートヘアーでもいつもの俺の髪型とは似ても似つかずさらさらしている。それだけではない。胸が膨らんでいる、しかも結構な量で。そして立ってみると目線が低い。身長が150㎝強といったところか。もっと言えば、部屋ががらりと変わっている。つまりどういうことかと言うと、
「俺はどこの誰かと入れ替わった!?」
こんな部屋の造りはないし、女物のパジャマを着ている。つまりそうとしか考えられない。となれば昨日のまこの反応もおのずと線が通ると言うわけだ。つまり入れ替わりは初めてではなく夢のようになってしまったのである。なので夢の世界を少し覚えているのだろう。ただ、その夢というなの時間は初回限定で二回目からはもれなく、勝手に動いてくださいとでもいうようになっていた。
さて、入れ替わったとしても誰に入れ替わったかを知らないため色々と調べてみる。名前は木藤咲、女子高生で住まいは俺の住んでいるところとは遠くかけ離れた、福岡というところだった。明太子で有名なところと言えばよくわかるだろう。部活は卓球部、図書委員に入っているぐらいか。そしてカレンダーを見たのだがそれを見て俺は目を剥いた。なぜなら、
1997年7月4日
だったからだ。22年前だと!そんなことがあってたまるかー!スマホ無いじゃん(ヾノ・∀・`)
という具合でちょうどトイレに行きたくなったのでトイレに向かう。女体化解除から一ヶ月も経っていないのでもう慣れているはず、、、だよな。
そして部屋から出たところでちょうど向かい側のドアも開いた。
「あら、咲!こんな朝に起きるなんて珍し!今日はひょうが降るね」
「ひょうは福岡では降らない…よ」
危ない危ない、言葉遣いには気を付けないと。
「と、トイレだから、ね」
「だとしても珍しいわよ、ほら前にあなたおねしょしてたじゃない。起こすときに揺らして起こそうとしたら急にお股が濡れてきちゃってねぇ」
「言わないでよ、そんな黒歴史」
てかこの子はお寝坊さんなうえにおねしょまでしてしまうらしい。まったく、なぜ俺が恥ずかしい思いをせにゃならんのだ(*/□\*)
そんな具合に俺はトイレに向かい、ズボンと下着を一気に下ろす。うん、女の子だ。そして便座に座る。そして我慢していた力を一気に脱力させると、瞬く間におしっこが噴射された。同時に溜め息も出る。
そんなことよりこの状態を打破しなくてはならない。7月2日の出来事から推測するに一日ごとに入れ替わりが起きているのかもしれない。だとすればどうすれば止められるか、ということを最優先にあいつ、飯山一に聞きたいのだが、今の俺は1997年に女子高生で爆音を放ちながらおしっこしている木藤咲という名の少女である。さて、どうしたものだろうか。
※
身体が起き上がりたがっている、私はそう感じた。普段の私は寝坊しかしない少女なのだが今日に至ってはどうもおかしい。目を開けると尚更おかしい。そうここは、
「ここはどこ、私は誰?」
ここまで聞くに記憶喪失した人ととらえる方が多いのだがそういうわけではなく、ただ、自室ではないどこかの部屋にいて、そして私は知らない男の人になっていた。身長が170㎝ぐらいある少年に。
そして私は一応部屋を出た。おそらくここは二階であり一階から光が漏れだしている。お母さんが朝御飯を作っているのだろうか、そっと覗いてみたら、いたのは幼稚園児ぐらいの小さな女の子だった。その女の子は私に気づいたのか声をかけてきた。
「おはよー、お兄ちゃん」
「おはようございます、あれ?お母さんは?」
すると女の子は首を傾げてこう言った。
「お母さん?お兄ちゃんもしかしてボケた?」
「ん?私変なこといったかな?」
すると女の子は「なるほど」と言った。どういうことかは意味が分からないが。
「そんなことよりお兄ちゃん、朝御飯とお弁当、私の昼ご飯用の料理はしなくても良いの?」
「えっ?りょ、料理?私作れないよ」
すると女の子はなにかを思い出したかのような顔をしてこういった。
「やっ、やっぱりお料理は私が作るよ、うんそうした方がいい」
「えっ、そういわれたら私が作った方がよくない?」
「断固お断りしますからテレビでも見ててくださいお願いしますからm(_ _)m」
といって、踏み台を用意して料理を作った。そのさばきはなかなかのものだった。これなら私が作らずとも女の子一人でもできるのでは、と思った。
と、急にトイレに行きたくなった。ヤバい、どうしよう、私今少年の姿、つまり、うん、男の子ってどう排泄するわけ?
結局トイレを長々と済ませ、その後朝御飯を食べた。さて、どうしたものだろうか?
次回予告
亮平「どうも~第四章一晩寝たら身体が入れ替わっていた件の次回予告担当の会原亮平と!」
咲「木藤咲でーす」
亮平「ここではどうやら次回予告をするらしいのですが、やり方が分からないんですよね」
咲「そんなことより会原。あんたなに乙女の恥ずかしいところをダイレクトにお伝えしているわけ?殺されたいの、そんなに」
亮平「おっと俺がそんなにデリカシーのないことをお伝えしたかい?」
咲「したわよ、しかもあんな恥ずかしいシーンをそのまんまお伝えするとは、お前あとでどうなるかわかっとるやろな?」
亮平「次回予告締めまーす」
次回 「一晩寝たら身体が入れ替わっていた件 その4」
亮平「次回もお楽しみに~!」
咲「こら!逃げるな~!」




