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一晩寝たら奇想天外なことが起きていていつの間にか青春していた件  作者: モグポク
第三章 一晩寝たら未確認少女に出会ってしまった件
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一晩寝たら未確認少女に出会ってしまった件 その2

 その幼女はどこか悲しげなようであった。俯いた顔は可愛い顔を台無しにしていた。


 俺は早速その幼女に声をかけた。


 「えっと、君は誰かと遊ばないの?」


 「……………」


 「そんなところに座らないでお兄さんと遊ぼ」


 「……………」


 むう、全然返答してくれない。俺はいったいどうすれば良いのだろう?


 「りょうへーせんせー、いったい誰と話してるの?」「頭打って壊れたか?」「やっぱりもらした?」


 「あ、ちょうどいいとこに来たなお前ら。この女の子とも一緒に遊んでくれるかい?あと、何故お前はいつもいつも俺を漏らしたか疑ってんだ?」


 「えっと、女の子?」「やっぱ壊れた?」「えっ、漏らしてないだと!」


 周囲がざわついた。俺は異変を察知した。なにかがおかしい。あと俺が漏らしてないことに驚くなよ。お漏らしキャラじゃないんだけど。


 「ほらここに体育座りしている女の子がいるじゃないか」


 「えっ、でもそこには」「誰もいないよ」「保健室行ってきたら」


 俺は目を剥き再び女の子の方に目を向く。体操座りしているこの子は、影は薄いがちゃんと俺の水晶体で捉えられている。


 しかしそれは長くは続かなかった。


 「はいはいみんな。ご飯の時間ですよ」


 はーい、という声がホール内を轟かせ、全員がクラスに戻っていく。何人か心配してくれる子がいたが、


 「大丈夫、大丈夫!ほら飯だぜ~!」


 と、心配させないように振る舞った。


 とりあえず俺も一旦クラスに戻ろうとして若葉と下に降りようとして、


 「やーぱり、こうなるか」


 大粒の涙を流している若葉を発見した。


 「よしよーし。愛情で満腹か?」


 軽口を言い、頭を撫でた。その瞬間、


 「う、あ、うぅ~、うわぁぁあぁぁぁーーーーーん!!」


 「どんだけ愛情に感動してるんだよ!」


 と、愛情に感無量の若葉が大声で号泣し始めた。子供って不思議な生き物だな。


           ※


 お昼を食べ終え、その後外で鬼ごっこした。鬼になって、逃げて、そしてまた捕まって。そんな繰り返しが約三十分続いて、そしてさよならの時間が来る。初日の活動だけでもう大変とやりがいを大変感じたのだが、俺の活動はこれでまだ終わっていない。


 俺はその日職場体験が終了した後に先生にお願いして先程のホールに向かった。そしてそこにはホールに体育座りしている幼女がまだいた。


 「おーい、子供はもうお帰りの時間だ」


 「……………」


 「少しは返事ぐらいしろよ」


 「……………」


 「黙ってたって話は進まねーよ。大丈夫!俺にどんなことを言われようと気にせんよ」


 「じゃあ、黙ってくれないかな?」


 少しムカつく言葉だが紳士である俺はこんなことで気にするやつではない。


 「そんなこと言うなよ、で、お前はいったい何者なんだ?」


 「馬鹿に教える筋合いはない」


 はい、そうですか(^-^)


 「なんだとー!てめぇそんな物言いはひどすぎるだろうが!さっさと答えろ!」


 えっ、俺がいつ紳士だと言った?ひとまず俺は知らないなぁ。


 「怒鳴られた、先生に言いつけてやる」


 「それだけは後々面倒なことになるからやめてー!」


 て言うかやけに小声で話すなぁ。聞き取るのもやっとという感じだ。


 「で、どういうことなんだ?今日お前の姿が見えていないということだったのだけど」


 「……………わ、」


 わ?


 「私には、私には」


 私には?


 「存在が、」


 存在が?


 「ない」


           ※


 「私の名前は、鶴巻都(つるまきみやこ)。けれど、私には存在がない」


 「存在がないって、いったいどういうことなんだ?」


 「私は六歳ぐらいから誰にも見えなくなっていた。とっても、寂しかった。誰を、呼んでも、振り返らない。答えてくれない。気づいてくれない。怖かったよ」


 「そりゃ六歳ぐらいの時、いや、六歳じゃなくたってそんなことを味わったら誰でもそうなるよ」


 「そうか。私そのとき少し泣いた。最終的に夜になっても気づかれずここに閉じ込められた時に勝手に涙が出てきた」


 「そうか、辛かったな、それは」


 「号泣して、嗚咽が鳴り響いて、寝て、そして出ようかと思った」


 「ん?出ようかと思う?でもなんでここにいるんだ?」


 「でも出れなかった。結界みたいなのが張っていて出れなかったんだ」


 「それからどうしたんだ?」


 「どうすることもできなかった。そして私はここで()()という時を経た」


 「じゅ、十年!」


 どれだけこの幼稚園で過ごしているんだよ!つまり鶴巻と俺は同年代又は先輩!?!?


 そして俺は、鶴巻がいつのまにか涙声になっていることに気付いた。目には涙がたまっていて、いつ崩壊してもいいぐらいだ。


 「それは辛かったというか、よく頑張ったよ、本当に。俺なんて絶対に耐えきれないよ。だから、絶対に君を救ってみせるよ」


 と、言い、鶴巻の頭を撫でた。


 絶対なんて言いきれない、けれども、この幼女は、俺が救う!


 それよりも、なんだろう。これ前にも似たようなシーンなかったっけ?


 「馬鹿……うっ、ウワーーン(泣)」


 うわぁ、泣き出しちゃったよ!二人の女子泣かすって俺最低過ぎないか!?


 その後、鶴巻は約十分間、今までの悲しさをすべて叩き出すような大号泣をした。けれどこの悲しみは俺以外の人に伝わることはなかった。

次回予告

若葉「ども、第三章次回予告担当の向日葵若葉と!」

和「野中和!二人合わせて!」

若葉「いやいや、そんなのないから」

和「和若コンビとか良くない?」

若葉「いやいや、そんなのただ頭文字入れただけじゃん」

和「じゃあ、Twitterで募集しましょっか」

若葉「え!それは怒られ…」

和「次回予告!」

若葉「話してる途中だし!」

次回 「一晩寝たら未確認少女に出会ってしまった件 その3」

和「みんな!よろしく!」

若葉「……………」

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