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一晩寝たら奇想天外なことが起きていていつの間にか青春していた件  作者: モグポク
第三章 一晩寝たら未確認少女に出会ってしまった件
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一晩寝たら未確認少女に出会ってしまった件 その1

この章には地名入りの施設がありますが、一切関係ございません by モグポク

6月24日

 女体化が解けて約二週間という時が経った。あれ以降身体不規則症候群とは無縁の日々を送っている。もちろん今日起きて俺の姿が変わったり、謎の少女が添い寝していたりとか、そんな事件は起きていなかった。ただ、今日は高校生活での最初のイベント、職場体験初日がある以外は。


 職場体験。実際に職場に行ってどういうことをするのかその身を持って体験するという年に2回ある行事だ。そして俺がいくところは、「水納幼稚園(みんなようちえん)」である。駅から10分の場所である。


 俺はいつも通りに起床し、誰もいない一軒家で一人寂しくトースト、スクランブルエッグにウインナーを添え、そして牛乳200mlというごく普通な朝食を食べ、職場体験の準備をして、そしていつもよりかは少し早い時間に家を出る。


 最寄り駅について少し電車に揺られ、そして乗り換えてまた再び電車に揺られた。


 目的地の最寄り駅に着いたのは午前八時前くらい。そして俺は駅前のベンチに座った。理由は簡単で、職場体験といっても一人ではない。ではどういうことかというと、


 「亮くん、おっは~!」


 「うっす、若葉。おはよ」


 そう、この職場体験は向日葵若葉と一緒なのである。午前八時ぴったりに登場した若葉は笑顔で挨拶。ボブヘアーにくせっ毛。そんな若葉の笑顔は向日葵のように明るかった。そんな挨拶に俺は自動的に挨拶を返した。


 わからない人に説明すると、向日葵若葉(ひまわりわかば)は、同じ学校のクラスメートで、俺の友達である。以前、若葉にラブレターの事がバレ、若葉が他の人に噂として伝播してくれたお陰で公開告白事件を引き起こすきっかけとなった、いわば主犯格である。以上説明終了。


 「亮くん、最近は何か身体不規則症候群みたいなことは起きてないの?」


 上目遣いで聞いてくる彼女は笑顔を聞いてくる。そんな若葉に俺は、


 「ん?、最近はないなぁ。女体化で終わりじゃないのか?」


 楽観的に返した。まあ、こんな感じに会話は続くわけであって、


 「また、そんな呑気で。飯山君が言ってたように、何かに巻き込まれるかもじゃん」


 「そこまで気にしない方がいい気がするぞ」


 「もう、何か起きても知らないからね私」


 笑顔は去り頬を膨らませる若葉。そんな彼女を前に俺は、


 「す、すみませんでした!少しは気にします!気にします!」


 見事なチキンばりを発揮していた。俺はなに言ってるんだろ。


 「そんなことより、和ちゃんとは仲良くしてるんでしょうね」


 「当たり前だろ。言ってねーけど、この前デートしたんだぞ」


 「えっ!初耳なんだけど!」


 「初めて言ったからな」


 という感じで若葉の表情がコロコロ変わるのを楽しみながら話し、そして水納幼稚園に着いた。


          ※


 幼稚園に到着し出迎えてくれたのは二十代後半位の女性の先生だった。挨拶し、説明を受け、職員室でしばらく待機。そして、俺達はやっと園児のいるクラス、『バラ組』へと足を運んだ。


 クラスに入ると和気藹々とした声に包まれる。とりあえず挨拶に続き俺達が何者か聞く者が(ほとん)どだった。


 「はい皆さん!おはようございます!さて、今日から5日間、この水納幼稚園で職場体験をすることになった向日葵若葉さんと会原亮平君です。皆さん仲良くしてくださいね」


 「はーい!」


 「よろしくね」 「よろしくな!」


 「じゃあ紹介も終わったことだし、お仕事のお時間ですよー!」


 その後『お仕事』という名の勉強をした後『お遊び』という名の運動をした。『お仕事』に関してはただひらがなや算数を教えるだけという楽なお仕事だったのだけれども、室内ホールでの『お遊び』はというと、


 「りょうへーせんせー、あそぼーぜー」「そうそう、ドッジボールであそぼーぜー」「せんせーはわたしといっしょにおままごとやるんだよ!」「せんせー、もらした」


 「順番な!順番。とりあえずこういうときはじゃんけんで公平に決めよーぜ。みんなじゃんけんくらい知ってるだろ?とりま決めといてくれ。あと、それよりも順番関係なく漏らした子は一回星本先生に預けるぜ!」


 星本先生はさっきの二十代半ばの女性の先生である。


 とりあえずお漏らしした幼女を星本先生に預け、じゃんけんを見守った。結果はおままごとをしたがっていた女の子が勝利した。


 「んじゃとりまこっち行ってるから、ボール遊びは若葉先生と楽しんでくれ。終わったら交代な」


 「なっ、なんで私なのよ!!」


 とりあえず俺は女の子のおままごとに付き合うこととなった。


        *  *  *


 「ねえ、りょうへー先生って何て呼べばいいかしら」


 「うーん。とりあえずそのままでいいんじゃない?」


 「んじゃあ、今だけ亮くんって呼ぶね、先生。今すぐ料理作りますから待っててねー」


 とりま、何故か和とキャラが被っているのは気のせいだろうか?うん、気のせいだ。


 「じゅー、じゅー。亮くんのために美味しくなーれ」


 和もあの時の弁当作ったときはこんな風に作っていたのだろうか。俺の顔から笑みが溢れた。


 「はいできましたよー、亮くん。たくさん作ったから食べてねー」


 出てきたのはハンバーグ、ハンバーガー、目玉焼きといった焼き物からホットドックやカレーなど沢山の料理がならんだ。くっ、俺のために…俺のために…


 「それじゃ、いただきます」


 当然レプリカのため食べれるわけないのだがたっぷりの愛情をお腹一杯に食べて、


 「あれ、亮くん、泣いてる!?」


         *  *  *


 感動のおままごとを終了し若葉と役を交代した。その時に、


 「あれ、亮平くん、なんで泣いてるの!?」「りょうへーせんせー、なんで泣いてるの?」「怖かったの?」「大丈夫?もらしてない?」


 「愛情が尊かった。あと俺は漏らしてねー」


 という会話を挟んで次は男子どもと本気のドッジボールである。勿論手加減抜きにいくと泣かす確定なので適当にプレイしようと手を抜いていた俺が、


 超馬鹿でした!


 「ちょ、お前ら強すぎんだろ!!!」


 「あれ?りょうへーせんせー弱くね?」「ザコいな」「もらした?」


 「だから事あることに俺が漏らしたかを疑うなよ!」


 も、漏らしてねーからな!


 ボールが足にヒットしたため外野に移り、白熱した戦いを端から傍観しようとしたら急に顔面にクリティカルヒットした。そのままボールは後ろに飛んでいってしまった。


 「大丈夫かりょうへーせんせー!」「いたそー」「もら」


 「してねーよ!」


 園児の笑いを背後に俺はボールを取りに行ってボールが止まっているところに着いた。そこで俺は、

 


 室内ホールの隅で座っている女の子を見つけた。

次回予告

若葉「どーも!件シリーズ第三章次回予告担当の向日葵若葉と!」

和「野中和です!」

若葉「私たち二人は次回予告を盛り上げるため、作者に抜擢されました!」

和「私たちに何をしろと!?」

若葉「ノリ悪いな~、楽しもうぜ!次回予告を」

和「作者から丸投げされて楽しめるかー!」

若葉「でも、いつもより次回予告の尺が長いんだよね~」

和「へぇ、そうな…」

若葉「次回予告!」

和「まだ話してる途中!」

次回 「一晩寝たら未確認少女に出会ってしまった件 その2」

和「大丈夫かなぁ~」

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