第5話 アキヒロの本気
第1章 5話 アキヒロの本気
---アキヒロ---
「はぁ~」
なんてこった。
まさか、2人がよりにもよって、あのリンネに遭遇するとは・・・・
しかも、この2人を探索庁にスカウトするだ?
まぁ仕方ないか。あいつに逆らうと市民権を剥奪されかねないからな・・・
「で、なんて言われたんだっけ?」
「あ、えと、その為にここで何をして、自分に何が必要なのかあなたに聞いて来いって言われました。」
はぁ~面倒しか感じね~
「まず、お前らは一体何処にスカウトされたのか分かってんのか?」
「え、探索庁って所じゃね~のか?」
ケットシーの少年が言ったあとエルフの方も頷いていた。
「ったく探索庁ってのはな、言わばこの街を重要機関だ。探索庁の中でも仕事は色々あるが、
就職の確率は良く見積もって百分の一だ。」
「じゃあ私達はすごい所に就けるって事ですか?」
「いや、リンネの事だ薦められたってだけで入団試験はしっかり受けさせられると思うぞ。」
その時ずっと聞くだけだったケットシーの少年が声を出した。
「あ~もう説明は良いからさ、どうすりゃそこで働けんだよ!」
「るっせ~な~それを今から説明すんだろがよ!」
仕方ない、あれ使うか。
「ステータス・オン」
「ん、どしたんだよ?」
「おい、二人ともこっち来い。」
「だからなんだよ。」
「は、はい。」
そう言って近寄ってきた2人の目を覗き込んだ。
さっき俺自身にかけた「ステータス・オン」というのは目を見た相手の能力、すなわちステータスを知ることが出来る魔法だが、正直、ケットシーの方はどうって事ないが、エルフの方には驚いた
なんせその身に宿る魔力の量が常人のレベルでは無かったからだ。
「あ、あのステータス・オンって相手の能力を知る魔法ですよね。」
「あぁそうだ、お前らの能力を見させてもらった。」
「で、どうだった?」
「いや、お前は大した事ないが、そっちのお嬢さんにゃ驚いたぜ。」
そう言うとエルフの方は嬉しそうにしたが、
ケットシーの方が明らかにキレながら聞いてきた。
「で、俺達は探索庁に就けるのか?」
「今のままでは二人とも落ちるだろうが、
次の試験、4ヶ月間でそこまで鍛える事は出来る。特にエルフの嬢ちゃんの方はあとすこしって感じだな。」
「じゃじゃあ俺達を鍛えてくれよ!!!」
「わ、私からもよろしくお願いします。」
その時俺は辺りがもう暗くなっている事に気が付いた。
「所でお前らもう宿は決まってんのか?」
「いえ、まだですが・・・」
「じゃ、ウチに決まりだな!」
「え、でもココ宿じゃないですよ。」
「何言ってんだ、これから俺の弟子になるんだろ
それなら家事ももちろんやってくれるよな?」
「いいんですか!?」
「いいのか!?」
2人の声が聞こえた。
しゃ~ないしっかり鍛えてやろうじゃねーか。
・・・朝・・・
---ビト---
朝起きてみると、外が騒々しくなっていた。
まだ寝ていたセンを起こし、外に出るとそこには
リンネさんがいた。
「あら、ビトくんじゃない?」
「あ、あのこの騒ぎって・・・」
「いや~違う街の奴らがこの街を取り込もうと、
攻めて来てるんだよね・・・」
「じゃあやばいじゃないですか!」
「まあまあ、大丈夫だって、丁度良いからさ見てかない?アキヒロの強さを見るいい機会じゃない?」
リンネさんがそう言うと、いつの間にかこの街の入口まで来ていた。
武装した人や、怪物が右から左に広がっていた。
「あ、あの怪物達は何故大人しいのですか?」
センが聞くとリンネが答えた。
「あれは怪物を飼い慣らしているのよ。」
そう言うとリンネは正面の方を指さした。
その先を見るとなんとアキヒロがいた。
「アキヒロが人前で剣を抜く事は滅多にないから
かなりレアな場面よ。」
そうリンネさんが言うと、向こうのリーダーらしき人が声を荒立てた。
「我が名はロンション・アルドレアス。
この街の所有権を頂きに交渉に参った。」
次の瞬間今までのアキヒロとは思えない、声を上げた。
「お前らぁぁぁぁ!!!何勝手に人ん家に上がり込んどいて交渉も何もねぇだろうがよぉぉぉ!」
「何を申すか!!!無礼も・・の・・」
相手が言い返して、アキヒロが剣を抜いた瞬間、
その場にいた全ての生物がとてつもない恐怖と殺気に見舞われた。
その瞬間、怪物達はひれ伏し、叫び出す人や
嘔吐している人もいた。
相手のリーダーは半泣きになっているものの、
流石リーダーと言うべきか、素早く立ち直り、
「なんなのハッタリだ!突っ込めー」
と指示していたが、その願い叶わず、アキヒロがもう一振しただけで敵の勢力の半分が首を切られ絶命した。
次回、アキヒロの鬼レッスンが始まる!