はじまり
その日、何があったかは覚えていない。ただはっきりしていることは、俺は死んだということだ。
「ようこそ、死後の世界へ。」
この何だかよくわからない、天使みたいなやつが俺にそう言ってくるのが何よりの証拠だ。うわー、もっと生きたかったなあー。この俺、中野稔は今年で18歳になる高校生であった。するとまた天使が。
「私の名前はガブリエルと申します。それでは、今から転生についての説明をさせて頂きます。」
「転生?」
「はい、死んだ人は違う世界に転生される決まりとなっています。また、この世には様々な世界が存在し、それぞれの世界で生きている人の人数は保存されています。」
天使の説明を聞き、やっと自分がさっきまで生きていた世界で死に、これから生きる世界に転生されようとしているこの状況を理解した。
「それでは、中野稔さんが次に生きる予定の世界の説明です。その世界では人間と悪魔の戦いが絶えず行われている世界です。そして、あなたが生まれる理由は、この戦いに終止符を打つことです。」
はい!?そんな大事がおれの使命なのか?いや、無理無理無理無理、無理ーーーっ!
「無理ですよ!そんなの!」 俺は言ったが、「決まったことなので」と即答され、次の瞬間、ピカッと閃光が走り、それによってつむっていた目をあけると、俺は新生児の姿で全く見覚えのない場所にいたのだった。
「よしよし。」この俺を軽々しく抱え、あやしているのが母親だと分かった。というか、周りを見渡すかぎり、凄く高級そうな壺や絵画が飾ってあったり、窓の外を見るとこの家の庭があほみたいにでかかったりと、かなり金持ちの家系に生まれたみたいだな。
それから俺は幼児としての生活を謳歌し、俺が前世で死んだ18歳にまで成長した。ここまで生きてきてわかったこと。まず、この国はかなり発展していて、人口も多い。また、天使の言われた通り、悪魔が人間を襲いにくる。どうやら彼らは人間を捕食対象としているようだ。ニュースでよく訃報が流れるのもそのためだ。人間側としては、いろんな方法で悪魔を撃退しようとしている。例えば、この世界の人にはそれぞれ特殊な能力が備わっていることがわかったのだが、そのなかでも特に戦闘に特化した能力を持つ人を集め、悪魔たちを退治する、といった具合だ。で、重要なのは俺のステータスなんだけれど…
どうやら俺の生まれた家系はこの国の王族だったみたいだ。なんでだよお。。。これじゃあの天使が俺にいったように、俺がこの国を治め、悪魔との戦いをおわらせないといけなくなっちゃうじゃん。はい、オワタ。あと、一つ言いたいことがある。
「何で俺の特殊能力は治癒能力なんだよ!」
一話終