Act.2
家から最寄りの駅まで歩いて15分ほどかかるのだが、裏路地を通れば5分短縮できる。
そんな俺達は裏路地を巧みに通り、見事10分で最寄り駅に着いた。
「家から駅が近いってのは便利でいいよな。」
「本当ですね。遠出するのにも便利ですし。…って兄様は毎日電車使ってるじゃないですか。何を今更…」
「いや、改めて便利だなって思ってさ。」
「まあ、便利なのは良いですけどね」
そんな会話をしながら俺達は駅のホームへと向かっていく。
「…兄様。私少しお腹が痛いのでお手洗いに…」
「大丈夫か?待ってるから行ってきな。」
「あっ、待って楓ちゃん、私も行く!」
「あんた達2人じゃ不安だから私もついてってやるわよ」
3人がトイレに行った直後に、背後から聞き覚えのある声がした。
「あれ?もしかして拓也?拓也じゃん?」
手を振りながら駆け寄ってくるそいつは同じ大学のクラスメイトでありながら俺の幼馴染でもある友原琴音だ。
才色兼備とはまさにこいつのためにあるような言葉だろう。よく天然で小悪魔と言われることがあるそうだ。
「おっはよ〜拓也。こんなとこで会うなんて奇遇だねぇ。こんな朝早くからどうしたの?」
こいつは昔からテンションが高い。こいつのテンションが低い時など見たことない。
いや、多分これからも見ることはないだろう
「お前こそどうした。普段絶対着ないようなそんな露出の高い服なんか着て」
「へへーん。いいでしょ〜」
「はっはーん。さては男だな?お前もついに彼氏ができたか」
「そ〜なのよ〜。いやぁ、いい男捕まえるのに苦労した…って違う!!あたしは生まれてこのかた彼氏なんていたことないから!…ってゆーか知っててワザと聞いたよね!?」
「まあ、な。…というかお前はただでさえ成長が著しいんだからそんな露出の高い服はやめとけ。特に胸の辺りとか…」
「うわ、どこ見てんの。変態。」
「それだけ強調されてたら嫌でも目に入るっつーの。あとそのあからさまな紐はやめとけ。色々と危ない。」
「うーわ、やめてよ変態。」
「だ・か・ら!そんだけ強調されてたら嫌でも目にはい———」
「…兄様、誰ですかこの露出狂は」
「うわあ!?なんだビックリした。楓か。
…もう大丈夫なのか?」
「はい大丈夫です。それより、この露出狂は誰なんですか?さっきから聞いていれば兄様の事を変態呼ばわりして…」
「楓ちゃ〜ん、先行かないでよ〜。…ん?お兄ちゃん、その人誰?」
「ちょっと待ちなさいって…。ん?…兄ぃ!その女誰!?」
「やっほ〜。楓ちゃんに彩ちゃんに恵ちゃん!久しぶり!元気してた?」
「…兄様、この女、何だか凄く馴れ馴れしい気がするのですが」
「楓、落ち着け」
「ねえ楓ちゃん。この人誰なの?お兄ちゃんの知り合い?何だか出るとこ出ちゃってて凄く大きいんだけど…。」
「アンタバカァ?見てわからない?どう見ても兄ぃが逆ナンされてるようにしか見えないじゃない!」
「え!?逆ナン!?お兄ちゃんが!?朝起きられなくていっつも私達に起こしてもらわないと起きないようお兄ちゃんが逆ナン!?」
「ちょ…彩…大声で言うなよ恥ずかしい」
「拓也…あんたその年でまだ妹達に起こしてもらってんの…?っていうか、3人とも私の事覚えてない?…友原琴音だよ?。ほら、昔一緒に遊んだでしょ?」
「友原…琴音?…琴音…。琴音…ちゃん?あ、なんだ琴音ちゃんか!誰かと思ったよ!いや〜、久しぶりだね!」
「友原琴音?…あぁ、思い出しました。あれは確か兄様が中学生の時で、私達がまだ小学生の時でしたっけ…」
「あぁ…なるほど通りで。なんかどこかで見たことあるなーと思ったら、あの生意気な友原だったのね。」
「なっ、生意気…。い、今は違うし!」
「お前らすげえな…コロッと性格変わるんだな…」
「……。」
「どうかしたか琴音?」
「ん?いやぁ、なんでもないよ。あ、ほら電車来たよ!始発だから早く乗らないと席無くなっちゃうよ!さあ乗った乗った!」
「ちょ、おい」
半ば強引に琴音に押される形で俺達は電車に乗った。
何だか嫌な予感がするのは俺だけなのだろうか…
ミ・ツ・ド・モ・エ
第2話
end




