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飛べずと火を眺める夏の者

メモ書き小説10へ

物事にはそれ相応の意味がある。


大交差点で信号を待ち、

合図と共に一斉に進む人々は、

誰しもが意味のない行動ではない。


目的なき行動ではないのだ。


信号を待つのは、

向こう側に進むという、

明確な目的があるのだから。


人の集まる場所には、

そうあるだけの理由があるのだ。


それは誰かの求める目的で。

それは彼らの求める目標で。

それは私達の求めた場所で。


どこかで望まれたことなのだ。


しかし

誰かがどこで望んだとして、

集まり集められた誰もが、

それを求めているわけではない。


そう。知ったことではない。


学校での近くの夏祭りなど、

一体どこの誰が始めたのか。


喧騒の中に入れば、

自らもまた喧騒となり、

騒がしさがさらに鬱陶しい。


串焼きが美味いことは評価するが。


見知った顔といくつかすれ違うが、

気にかけられることはほとんどない。


元来から俺は、

アウトドア派ではない。

そこまでインドア派でもないが。


近くで夏祭りがあるからと、

はしゃいで家を飛び出すような、

そういう人種は別の種類だ。


今日は、なんというか、そうだ。

少しだけ、気が向いたのだ。


もしかすると

淡い熱に浮かされたのかも知れない。


「来てたんだ」

「まぁな」


偶然の装いなんてのは、

唐突に意図しないもので。

図れるものでもない。


そうだからといって、

運命の導きなどでは決してないが。


導かれたのは、

意識された無意識であるが故に。



これは望まれた必然。

偶然に必然となった望み。


彼はその意味をどう考えるのか。


それはまだ、

少し暑い青春の思い出の中で、

燻るだけの時間を過ごすのだろう。


飛んで火に入る夏の彼には、

まだその勇気と覚悟を踏みしめる。


そんな力は備わっていないのだから。


メモ書き小説11へ続く。

挿絵(By みてみん)

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