冒険者ケイト・アリシア
オーガとの戦闘を終了後カインとジムの死体とオーガの死体の片付けを終えて……
「今回は助かったわ、あの二人も生きて帰したかったけど、冒険者はいつ何が起こるか分からない仕事だからしょうがないか。自己紹介がまだだったわね、私はケイト、ケイト=アリシアこの近くの町アリシアで活動している、Cランク冒険者よ」
「フウカです、放浪の旅をしています」
私は取り敢えずそう言う
「うん、今どき旅人なんて珍しいことしてるわね。あなたこれから何処に行くの?良かったら私と一緒にアリシアに来ない?」
「いいんですか?」
「いいのよ、私も一人だと何かと心細いから」
「よろしくお願いします。ケイトさん」
「こちらこそよろしくね、フウカ」
こうしてフウカとケイトは臨時パーティーを組むことになった。
フウカとケイトの臨時パーティーが正式なパーティーになってアリシアでは名の知れたパーティーになるのはまだ先の話。
「で、フウカはどこから来たの?」
「実は記憶が無いんです」
フウカは適当に嘘をついた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
フウカ:「嘘ではありません」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「旅人で見知らぬ地で記憶喪失。絶望的な状況じゃない」
「そんなに悲観することもないと思いますけどね。記憶なんて物はこれからまた作れば良いし、見知らぬ地なら見知った地にすれば良いただそれだけのことです」
と強がってはいるものの・・・
「そういう考え方が出来るのは良いことだと思うわよ。でもちょっと行き当たりばったり過ぎない?」
「旅人なんてそんなもんですよ」
「まあ、なってしまった物はどうしようもないですよ」
「そうね、そうよね」
「まあ、どうにかなるでしょ(ヤバイよヤバイよ)」
「とりあえず早くここから離れましょ、ゴブリンとかコボルトとかオーガとかが血の臭いに惹かれて来るかもしれないし」
私達は急いで移動する
「この世界では何処もこんな感じなんですか?」
「森は大体そうね、ここはこの辺りでも一番の危険地帯だけどね」
「そうなんですか」
「でも盗賊は少ないからその辺はあまり気にしないでいいから気楽と言えば気楽よね」
◇◆◇◆◇◆◇◆
フウ:「盗賊なんているの?あっちじゃありえない」
レン:「こっちの世界じゃ普通に居るよ。地球にも数百年前までは居たでしょ?」
作者:「居たね、今も時々居るよ?銃とか牛刀とか持って銀行に押し入る人でしょ?」
レン:「それは強盗だね、間違っては居ないけど微妙だよ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
そして、ケイトと私は3時間かけて森を出た。
日は沈みかけている
「ケイトさん、アリシアまであとどれぐらいかかりますか?それによりけり夜営の準備をしないと…」
私は普通の顔をしてケイトに声をかける
「そうね確かにこのまま歩いて行くとあと2時間はかかるわ」
「そうなると夜になりますね、閉門の時間はいつ頃ですか?」
「日暮れ頃ね」
「なら今日は、夜営にしましょう」
「そうね」
会話をしつつ夜営の準備をする。
やることは2つ周辺の魔物の掃討と火の準備だ
私は火の準備が出来ないため魔物の掃討をする。
私は魔法を使用して周辺の魔物を片っ端から片付けた
ついでに派手に地面を爆破して魔物を脅した。
そうして準備を終えて……
「先ほどから気になってましたがケイトさんの名字のアリシアと町の名前のアリシアは何か関係があるんですか?」
「名字は住んでる町の名前か産まれの町の名前が入るの、覚えてないの?」
「へぇ、そうなんですか。私はもともと山奥で暮らしていたので」
また嘘をついた。
「そうなの、私は産まれも育ちもアリシアよ途中別の所に居たときもあったけど」
「そうなんですか」
私は続ける
「アリシアってどんな町ですか?」
「アリシアはアリシア家が統治する辺境の町、今の領主はヴィンス=アリシア辺境領主、一代で地方貴族から辺境を統括する辺境領主まで登った方よ。辺境領主が統治する町だからけっこう大きい町よ」
一瞬、ケイトの顔がひきつった気がした。
「そうなんですか、では見張り交代の時間になったら起こしてください。ではおやすみなさい。」
私は眠りについた。
「おやすみ~」
私は夢を見た。
何処までも続く闇の夢を。
「ーーーーー」
闇から聞こえる囁き声
闇から抜けるために走った
何処までも走ったが、闇が終わることはなく何処までも続いていた。
どんなに走っても
いっこうに囁き声は遠くも近くもならなかった。
「ーーーーーーーーーーーー」
「ーーーーーーーーーーーー」
「ーーーーーーーーーーーー」
何を言っているのかさっぱりわからない
私は走り続ける。
「ーーかーーきー」
囁きの言っていることが少しわかった
「ふーかおきー」
「フウカ、起きて」
私は瞼を上げると全面にケイトの顔があった。
「時間ですか?」
「いいえ、敵襲よ」
「魔物ですか?」
「またオーガよ」
「ふぁ~~あ、さっさと片付けましょう」
目を擦りながら槍を構え、オーガの腹に突き刺した。
「眠いです・・・お引き取りください」
槍を横凪ぎに振り抜きオーガの腹部を切り裂く。
オーガの腹部は半ば断ち切られ潰された内臓の欠片と鮮血が零れ落ちる。
「ふぁ~~」
欠伸の頻度はどんどん増える
攻撃方法はドンドンえげつなくなる。
オーガの頭部を横に一閃する。
切り裂かれた頭部の上側が脳漿と鮮血を撒き散らしながら飛んでった。
オーガを浅く袈裟斬りにして露出した心臓を破く
ここからは先は記憶がない。
後でケイトに聞いた話ではあのあとあの調子でオーガを全滅させたらしい。
そしてそのあと直ぐにその場で立ったまま眠りについたらしい
▲▽▲▽▲▽▲▽
そして、翌朝9:00頃
私たちは、街道を歩いていた。
「あれがアリシアですか?」
私フウカの視線の先には20m程の城壁に囲まれた町があった
「そうよ、辺境だから特別城壁が厚くて高いの」
「けっこう大きいですね」
「辺境を統治してる人が治める町なんだから当たり前じゃない」
そんな会話をしていられるのは、今歩いている街道がきちんと整備された街道だからだ。
街道を一定間隔で警備兵が巡回しており、なおかつ冒険者が数多く往き来しているから町の城壁の外でもほとんど魔物に遭遇しないのだ。
私たちはのんびり街道を歩いてアリシアへ向かう
そして30分後
城壁に着いて今、前に入る手続きをするために列に並んでいる。
城壁は高さは約20m厚さは約10m、町を円形に囲んでいる。
門も頑丈そうな金属の格子が二枚と厚さ50cm程の木製の扉が五枚で構成されている。
「アリシアには東西南北に一つづつ門があるの、南が朱雀門、北が青龍門、東が玄武門、西が白虎門、今から私たちが通るのは玄武門」
私は、(私と同じ世界から来た人がいるかもしれない)と少し期待する。
そうしている内に順番が回ってきて
「次の方……ギルドカードを出して下さい。ない場合はこちらの用紙に記入をお願いします。」
と警備兵が言う
ケイトはギルドカードを警備兵に提出した。
私は用紙に記入して提出した
「お帰りなさいケイトさん。そちらの方は?」
「鬼人の森で会った旅人のフウカよ。カインとジムは……」
ケイトは首を横に振り二人のギルドカードを差し出す
「そうですか。惜しい人達を失いましたね。二人が安らかに眠ることを祈ります。」
と言い警備兵はそれを受け取る
「手続き終了です、どうぞお通りぐださい」
ケイトと私は礼を言って通りすぎた。
「あの二人とは友達だったんですか?」
「いいえ、そんなのじゃないの」
ケイトは目を擦る
「ごめん、湿っぽくなっちゃったね。フウカは、これからどうするの?」
「私こそこんなこと聞いてすいませんでした。取り敢えず、今日泊まる宿を探して、それが終わったら冒険者登録をしにギルドに行きます。」
「いやそう言うことじゃなくて、長期的な意味で」
「そうですね、取り敢えずこの町である程度資金を稼いで準備をしたらまた魔法を使って何処かも知らない場所に跳ぶつもりですけど」
と私は適当に答える
…あんまり迷惑は掛けられないよね
「じゃあ、また旅立つまで私と臨時パーティー組んでくれない?私、あなたとなら上手にやっていける気がするの」
「いいですけど」
「じゃあ決まりね、それなら宿は私が使ってる宿を紹介してあげるこれで宿探しは終了したから、ギルドに行きましょ」
私は半ば強引に連れていかれるのだった
そして、私は今ギルドと呼ばれる組織の建物の前にいる。
その建物は三階建てで他の建物より少し大きいと言うのも、この世界は全般的に技術が発達しておらず、建物と言ったら一階建てが普通、貴族等の財力のある建物が二~三階建て王宮が四階建てと言った感じらしい
冒険者ギルド(通称ギルド)は冒険者をまとめる民間組織で国境が関係ない(理由は非常に巨大な武力、財力、権力、その他の力を持っており各方面にコネがあるかららしい)ためどの国の支部とも連絡、連携を取っており規模も一国よりも大きいため、殆どの国家は敵対することはない。
以前敵対した国は内乱状態に陥り、そこに隣国の冒険者が追い討ちをかけ、そこに隣国が便乗したことで国家が転覆したという話を門の手続き待ちの列に並んでいる間にケイトから聞いた。
「入りましょ」
ケイトは私の手を掴み建物の中へと引っ張り込んだ。
建物の中は無骨な作りになっており、丈夫そうな太い柱がむき出しの梁を介して天井の支えており、部屋の右側1/3を酒場を占めており酒場の騒がしさがいい雰囲気を醸し出している。
私は、ケイトに連れられて正面の奥のカウンターに行く
カウンターの奥には五人受付嬢が並んでいる
ケイトと私は左から三番目の列に並んだ。
私たちの番が来る
「こんにちわ、ケイトさん本日はどういったご用件で」
「オーガの討伐依頼の終了とここにいるフウカの冒険者登録よ」
「わかりました、ではオーガの討伐証明部位を出して下さい」
ケイトは腰のウエストバックから革袋を取りだしその中から角を15本取りだしカウンターの上にのせた。
「はい、オーガ15体ですね」
受付嬢はカウンターの奥の壁に取り付けられた棚で何らかの作業をしてこっちに向き直り
「こちらオーガ15体の討伐報酬金貨750枚と依頼の報酬金貨250枚です」
と言って受付嬢は革袋をケイトに差し出すケイトはそれを受け取りウエストバックにしまった。かなりの量だったがウエストバックにすんなり入った。
きっと私のトランクと同じような効果があるのだろう
「お次にフウカさんの登録でしたね。フウカさんこちらの書類に記入を」
私は差し出された書類を記入する
「お二人はパーティーを組まれるんですか?」
「次にフウカが旅立つまで臨時でね」
「そうですか、フウカさんは旅人ですか。ケイトさんもなかなか仲間が見つかりませんね」
「私は別に独りでも大丈夫だし…」
「いいお仲間見つかるといいですね。その方がお父様も安心されますよ」
「心配させておけばいいのよ!あんなクソ親父」
私は書類を受付嬢に手渡す
「書類確かに受け取りました『カードを作成します』
受付嬢は呪文を唱える時のように言葉に魔力をのせて発しました。
書類は、受付嬢の言葉と魔力に反応して青い炎を灯しすぐに燃え尽きて塵になっていきその塵は二ヶ所に集まり2枚の金属の板になった。
受付嬢は一枚をカウンターのテーブルの引き出しにしまい、もう一枚を私に手渡した
「こちらギルドカードになります。こちらのカードはあなたの魔力を感知しなくなった後一週間で塵に戻ります。このカードは三ヶ月に一度更新が必用です。よろしくお願いします。」
「では最後に、私はこれからあなたの担当となります、アリア=エネシスです。これからよろしくお願いします。」
個別で担当者がついたのは驚きだ。
「フウカです。こちらこそよろしくお願いします。」
「さっフウカやること終わったから町を案内するよ」
ケイトはまたも私の手を引っ張り強引に連れて行こうとします。
「アリアさん、失礼します」
「お気をつけて」
私は挨拶だけして建物の外へ出た。
フウ:「ヤバイよヤバイよ、てきとうなこと言って誤魔化してみたけど、ここは何処?私は誰?」
作者:「大して問題じゃないんでしょ?wwwwww」
フウ:「この状況でどうやって計画立てて計画通り動けって言うの?」
作者:「何とかなるさ~ヽ( ̄▽ ̄)ノ」
レン:「そうそう、なんとかなるなる」
フウ:「ガクブルガクブル、ほんとにどうしようもない。どうしよう・・・」
作者:「どうしようもないことをどうにかしようとしたところで労力のムダだよ」
レン:「そうだよ、だから思いきってどうしようもないを楽しんでみようwww」