怪人オンナオトコ
作者:「はい、お久しぶりです。一ヶ月ぶりぐらいですね。今回、重大な欠陥が発覚して更新がストップしてしまいました」
レン:「その重大な欠陥って言うのは?」
作者:「ソフィアちゃん、アリアちゃん、ユリちゃん、あとエレナちゃんとレリックとアデル姉さんと…と結構な人数で容姿についての設定がないことが発覚したので、整理に時間を食いました。その辺も含めてその内全部直しまーす」
野生の怪人袖無し変態男が現れた日から二日経った。
ノアさんは変身に必要な契約獣がいないから、私が適当に考案した魔法で変身することになり、鋭意練習中だ。
昨日、ジンが訪問販売していた効果が変わるポーションのせいなのか一時的に性別が変わる人が多数現れるようになり…
今朝、私は鬼の形相のノアさんに詰問されることになっていた。
「フウカちゃん!なにあの怪人!あんなはた迷惑な怪人を無断で解き放つなんてどういうつもりかな!」
「はい?怪人からはた迷惑なとこ取ったらなんも残りませんよ?」
「いや、それはそうでもソウジ君か僕にいつ、何処に出るかを言ってくれないと困るよ!」
「困るって言われても…身に覚えがないのでなんともなんですが。今日の怪人はこのあと白虎通り広場でって事で怪人オゥボウもソウジ君も待機してますよ?」
「なにそのオゥボウって」
「横暴な冒険者に対する不満を集めて作りました。名前はいつもそのまんまなのでちょっとひねってみました」
「いや、捻れてないけどさ。なんか朱雀通りのスラム寄りの所で怪人が暴れてるんだよ。ちょうど貧民街の新人冒険者が集まってる辺りで、戦闘員が少ないんだ」
「まあ、野良怪人でしょうね。オゥボウとソウジ君を呼び戻すよりはこっちから出向いた方が楽ですか…」
私はコートを手に取りノアさんの方を見る。
「野良怪人、どの程度の物なのかお手並み拝見ですね」
「なんで僕を見るのさ」
「お手並み拝見なので!」
「フウカちゃんさ?時どき僕に失礼になるよね」
「そんなことないですよ~」
私は笑顔で簡単に話を逸らして、家を出た。
▼△▼△▼△
で、私はノアさんに連れられて例の野良怪人の出た現場に来たわけで…
「なんともまた、珍妙な」
「ソウジ君みたいな顔で、体はミーナみたいな…」
それは顔はソウジ君をふっくらさせた感じで、体はミーナの時の女性体みたいだど、服装はソウジ君と言うチグハグな状態で、かつ三頭身だった。
「ここ最近の突発的かつ同時多発的な性転換と日頃からコロコロ返信してたソウジ君のイメージが結び付いたわけですか…」
「あいつ、近づいた人をどうやってかわからないけど性転換させるの。その近づいたって言うのも一定距離じゃなくてあいつに向かって移動した人を視認したら手当たり次第みたいなの」
「じゃあ、遠距離から潰すだけですね。ノアさん、変身です!」
「う、うん。」
ノアさんは自前の短杖を天に向けて、ペラッペラな胸の上で握る
『我、理の先に奇跡を求むる者。風よ、水よ、汝らの力を我が身に宿し、我が衣装にその証を示せ』
ノアさんの詠唱に連れて周囲の魔力が共振して、魔力を帯びた風が渦巻く。それは中心のノアさんに集まって衣装に光を灯す。
『我が成すは奇跡にあらず、摂理と道理に従った宝に過ぎず。我が運命は潮と共にアリ、風の導くままに理を無秩序に示そう』
魔法の詠唱が続くほどにノアさんの魔力は高まっていき、灯った光が形をなしていく。
『海風の加護』
そして詠唱終了の一言で持って、イメージが形となって顕現してノアさんの魔法少女服となる。
その衣装は海兵をイメージにした白いセーラー服。所々のリボンやラインやフィッシュテールドレスの下のフレアスカートにあしらわれた、ノアさん自身の色であるライトグリーン。襟のリボンの赤と所々にあしらわれた錨と舵の金属装飾と貝殻のボタンが見映えする。
そして武器は衣装同様に魔力で作られたカットラスと呼ばれる曲刀と短杖だ。
「ノアさん、ノアさん、名乗りを上げないと…」
「え、ホントにやるの…」
「やるんですよ!」
「えーっと…この、怪人…怪人誰?」
ノアさんは遠くの怪人を指差す
「適当に付けてください」
「えーっと…この怪人オンナオトコ!気持ち悪い見た目して、他人の性別を勝手に入れ替える。そんな傍迷惑な怪人はこの道理の魔法少女……ノアが許さないよ!」
ノアさんはなんとか名乗りを終えました。
「なんとか決まりましたね。じゃあ、負けそうになったら手助けしますから頑張って下さい」
「負けそうになったらって……また適当な事を!」
と言いつつノアさんは杖を構える。
「ノアさん、通常の戦闘で使うような魔法はダメですよ。ホントに戦闘すると警備に兎や角言われます」
「怪人、明らかに外敵なんだから良いと思うんだけどね『風よ、道理に従い、彼の怪人に終焉をもたらす一助を私に授けよ! 海風砲塔!』
魔力の具現化により、ノアさんの足元に船に積むタイプの大砲が生える。それも何問も…
「照準、前方の変態怪人!撃ち方ヨーイ、一斉射!」
面白い事に大砲が勝手に照準し、魔力で構成された砲弾を発射。衝撃と粉塵が周囲を襲う。
で、肝心の大砲はと言うと…
怪人オンナオトコによって一刀の下に切り捨てられていた。
「んなぁ!た、大砲だよ?斬ったってどんな理屈よ!」
「やっかいですね。アレのモデルの半分はソウジ君です、ソウジ君ならただの大砲が通用するわけがない」
「あんな見た目のくせにー!」
ノアさんはやけくそに砲弾を撃ちまくるが、避けて斬っていなして前に進んでくるソウジ君には無意味だった。
そして、次の瞬間には大砲が全て両断される。
「ええぇー!時魔法まで使えるようになってるし、フウカちゃん、フウカちゃん、ヘルプー!」
私は、情けない事に助けを求める魔法少女と勇猛に迫る怪人の間に割り入る。
「確かにこれはなかなか、分かりやすくチートですね」
降り下ろされた刀を空間の境界で防ぎ、空間を選択する魔法で、時魔法の弾丸を相殺する。
「ソウジ君の偽物を騙るには、弱すぎますよ」
私は暴風掌を怪人オンナオトコの腹に押し込んで解放。
怪人オンナオトコは綺麗に放物線を描いて飛んでいき、遠くの壁に張り付いた。
「ふぅ…ノアさん、もう少し鍛えてもバチは当たりませんよ。そう言えば性転換しませんね、能力を使うのに何か媒体があるのかもしれませんね」
「最初からフウカちゃんが戦ったら良いじゃん」
「私はラスボスの役があるので、基本的には戦いませんよ」
壁から剥がれた怪人はヨロヨロと前に出る。
「まだ生きてますね。ノアさん、止めを」
「えー、僕が刺すの?仕方ないな…」
ノアさんはカットラスを提げて、歩いていき、棒立ちのまま動かない怪人の胸にカットラスを差し込み、引き抜いた。
「はい、おしまい」
ノアさんがカットラスを捨てて、手をパンパン払いながら戻ってくる途中でそれは起こった。
棒立ちだった怪人が両手を空に掲げる。
その手には膨大な魔力が集まっていて、それは蒼い輝きを放って空へと昇っていった。
「まだ生きてるのっ!」
ノアさんの驚きがこだまし、間もなく私の頬を何かが穿った。
「雨?」
「雨なんてどうでも…雨?雪じゃなくて」
雪ではなく雨が降っていた。
そこそこの勢いで降る雨を目隠しにしたのか、既に怪人オンナオトコは居なくなってた。
「とりあえず戻りますよ。大至急です、私の読みが正しければこの雨は…性転換薬ですから」
私はノアさんを抱えて、魔法陣で雨を除けながら、帰宅した。
△▼△▼△▼
私はノアさんを抱えて帰ってくるなりお風呂場に放り込んだ。
「はいノアさん。脱いでください」
「え、今?」
私は口答えする、ノアさんは羽交い締めにして服を剥く事にした。
「説明してる時間はないんですよ、急な体格の変化で服を壊したくなければ今すぐ脱いでください」
既に私も若干キツくなっている。
「ほら、早く。子供じゃないんですから!」
私はノアさんからブラウスとショートパンツを剥ぎ取った。
「フウカちゃん、寒いから!」
「はいはい、下も脱いでお湯に入ってください」
「はいはい、脱げば良いんでしょ、脱げば」
私は、渋々セクシーな下着に手をかけるノアさんを横目に、自分もさっさと服を脱ぐ。
自分の体が若干ゴツくなってきているのが触るとよくわかる。特に腕とかガッシリしてきていて、わかりやすい。
あと、ただでさえ小さめなのに更に胸が薄くなっていた。
「はぁ、早めに洗い落とせば間に合うかと思ったんですけどね…これはダメそうですね」
「フウカちゃん、知ってる?ポーションってね蓋開けて置いとくだけでも微力ながら効果があるんだよ?」
「つまり蒸発しても効果があるってことですか」
「そう言うこと」
「ノアさんなんかやけに落ち着いてますね」
「だってね?僕が男の子になったところでさほど変わんないだろうしね。悲しいことだけど!」
そう言うノアさんも若干顔立ちが男の子っぽくなってきていた。
「フウカちゃん、僕の事より先に自分の心配したら?大分進んでるよ」
見れば既に男性器が形成されつつあった。
私は急ぎ創着の術で服を纏った。
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無事と言って良いかはわからないものの、他に不調はないままに性転換を果たした私とノアさんは適当に着れるように服を着て、食堂に下りた。
で、暫く経つとぞろぞろと人がやって来た。でお互い容姿が変わりすぎてわからないって下りは程々に終えて今に至る。
「それで、全員漏れなく異性化させられたと…」
ケイトは男性化の結果、身長が185cmぐらいのマッチョになっていた。
元々、私と違って短剣とか双剣を振り回して戦うケイトは女性としてはかなりマッチョな部類だったから、男性基準のかなりマッチョになったんだと思う。
当然のことながら衣服がなかったみたいで、下は持ってたズボンを七分丈の様にして穿き、上は持ってたコートを適当に羽織っていて限りなく蛮族だった。
「お恥ずかしい限りです」
恥ずかしそうに身を屈めるソフィアさんは茶髪はそのままに髪は短めで身長は170cmぐらいの美青年になっていた。
元々筋肉は多くないソフィアさんは細身な外見になっていて、元々の巨乳がどこに行ったのかが私としては気になっている。
服は月光の竹林亭の男性用の制服……ウェイターの制服になっていた。
「皆さんは着るものあっていいですよね……家なんて女所帯だから着るものなくて」
ユリさんは線の細い男性になっていた。髪は若干長めの金髪を後で束ねている。
身長は160cmぐらいで、いつもカルム君が着ているシャツとズボンを着ているだけでなく、靴までカルム君の私物だった。
「カルム君はどうしたんですか?」
「あはは、今唯一の女の子だからツバキさんとカルミちゃんに遊ばれてますよ」
あぁ、可哀想に……
「で、カイさんそっくりの赤毛がアリアさんですね」
「カイにそんなに似てますか?」
アリアさんは元々赤毛だから分かりやすい。ただ、顔立ちが兄弟だからかカイさんにそっくりだった。髪はカイさんは短く切っていて、アリアさんはかなり長い髪をそのまま下ろしているから見分けは付く。
「似てますね」
と言ったのはいつも通りのソウジ君だ。
顔も体も普段通り男性体のソウジ君。
唯一違うのは刀が魔女っ娘ステッキになってるぐらい。
「ねぇ、ソウジ君さぁ?自分だけ元に戻ってずるいよ。この僕でさえ、甘んじて女の子してるんだよ?」
黒いスーツの出るとこ出まくったOLが言う。髪は背中まであるロングヘアー、目は疑うほどハッキリとした赤の女性、言わずもがなレンだ。
そしてその横に不機嫌そうに腕を組む清楚系で胸も控えめなOL。肩上で切り揃えられた黒髪に黒い瞳、表情が表情ならきっと惚れるほど美形なんだけど……その眉間にはくっきりと三本の皺、目つきは今にも人を殺しそうな鋭さでレンを睨み付けている。もちろんジンです。
あとはミニ体で愕然とした表情で九つある口をパクパクさせる涼さんと、バタバタ羽ばたきながら喚くエルさん。この二匹はミニ体では全く違いがわからない。
で、大問題が……
「へぇー、男の子の体はこうなってるんですね。これ、触っても大丈夫でしょうか」
ミニ体ではなくいつもの人形変身中の性転換で白髪の少年になったリンは、男の子の体に興味津々だった。
「リンちゃん、それはダメ!」
ソフィアさんが、今にもズボンに手を突っ込みそうなリンの手を掴む。
「ダメなんですか?」
「お嫁に行けなくなっちゃうからね」
「そうなんですか……男の人を知るいい機会だと思ったんですが、残念です」
リンはしゅんとしつつも、ズボンに手を突っ込むのは諦めてくれたみたいで私はホッとしている。
「仕方ないので、ソフィアさんので我慢します」
リンはソフィアさんの後ろから腰に手を回して、下腹部へと掌を滑り込ませる。
「え、ちょっと待っ」
「うわぁ、ソフィアさんおっきいですね」
リンは止まらないどころか、あっという間にソフィアさんを陥落してしまいました。
「ふぁぁ、だめぇぇ……なんか来るなんか来ちゃうよ」
「ソフィアさん、あんまりおっきな声出すと恥ずかしいですよ?」
ソフィアさんの嬌声はほっといて、私はソウジ君達と今後の対応を考えている。
「やっぱりこう言うのは怪人を倒せばいいんじゃないかな?」
レンはあっけらかんと言った。
「あ、一応効果時間は一日です。実験したらわかりました。なんで今の雨の効果は一日で切れますから従来の戦闘方針も考えられますよ?でもまた雨が降ればまたこうなりますから、短期決戦か今から殺すか。どのみち倒さない事にはこの現象は終わらないでしょうし」
ソウジ君の効果分析もあって取れる手段は絞られている。
「今って非常時ですよね?町の中での戦闘行為はどうなんですかね。今回のは脅威が過ぎるので直接叩きたいんですが」
私は槍の石突きで床を鳴らす。
「こういう非常時だからこそ警備が厳しくなってると思うわ。この混乱を治めるのも警備兵の仕事だからね。今はたぶん厳しいと思う」
ケイトの判断はさすが長く住んでるだけあった。
「なら、警備の薄くなるだろう効果解除後に、変身しても効果の薄い面々で強行突破。もしくは囮を立ててる間に背後から急襲だな」
清楚系OLのジンは自分の大鎌を取り出して少し回して見せる。首を刈ると言う意味だろう。
「でも相手はソウジ君……の模倣で時魔法も使えるんですよ?」
「あ、フウカ君。そこは訂正するよ、その怪人に時魔法は使えないよ。時魔法と空間魔法は、使うために高い概念優先度とアクセス権が必要だから、そんなぽっと出の怪人には無理。たぶんソウジ君の普段の時魔法の結果を再現してるだけだよ」
「って言うと?」
「ソウジ君の時魔法ってさ?自分が加速して何かを壊したり、時魔法で時間を止めて壊れなくしたりするでしょ?そう言うのを魔法で再現してるんだよ。例えば、瞬時に行動を完了させる魔法とか、物を絶対に破壊できなくする魔法とかね。」
「なんでもアリですね……」
「性転換がアリなんだもん、そりゃアリだよ」
レンはカラカラ笑っている。
一番のなんでもアリが何を言うかって感じだが、なんでもアリがなんでもアリだと言うのはアリなんじゃないかと思った。
「じゃあ纏めると暫くは警備兵が動きに敏感になるから戦闘は難しい。効果は一日で切れる効果が切れて警戒が緩んだところを魔法少女二人が叩く。それでダメなら背後からジンが襲撃ですね」
私は今までの会話を纏めた。
「ただ、効果は一日で切れますけど、また雨に触れれば効果が表れちゃうみたいなんで雨を降らせる魔法を使わせる前に倒さないとダメですよ」
しかしソウジ君は更に問題を提起してくる。
「そうですね、今回は魔法少女に拘らずにやりますか?それなら私が超遠距離から魔法で消し飛ばしたりしますよ?」
一堂静かになる、なぜって……それを言い出したら今までの議論が無駄になるからだ。
「非常事態ではあるしね。僕が思うにソウジ君が怪人を時魔法で捕縛して、外に連れ出して、皆で囲んで叩くのも手じゃないかな?外でならフウカちゃんの極大魔法の影響も小さく済むでしょ?」
ノアさんは軽く言ったが、以前に私は直径30kmを消滅させている。次はたぶん怒られるじゃ済まない。
「外ねぇ、陸上でまたアレを使ったらフウカ、次はたぶん怒られるわよ?」
ケイトがゴリゴリのマッチョでいつもの口調で話すと見た目のギャップが凄い。
違和感凄いけど、私は無視して移動する。
「やるなら海でしょうね、ミゼリアさんならお叱りだけで済みそうですしね」
「フウカちゃん、つい先日ミゼリア様と喧嘩したでしょ?」
ノアさんが呆れながら言う。
「プランBと言うことにしときましょうか。まずはプランAとしてノアさんとソウジ君が突撃して倒しきれなければ、ジンが襲撃。それでも死なないようならプランBです。ソウジ君が時間を止めて私の転移で海上へ、そのあとは集中砲火で消し飛ばしましょう」
まんまと性転換させられた面々が頷く。
「それで、フウカ君。あそこの乱れまくってる一角は放置でいいの?」
「まあ、お互いが良いならいいんじゃないですか?」
食堂の端でキャッキャしてるリンとソフィアさんの方を見れば、ソフィアさんは口元に手を当てて、声を出すのを堪えている。
「ここですか?ここがいいんですね?」
リンは妖艶な手つきでソフィアさんを弄り回している。
いったい誰があんな知識を教えたんだろうか……まあ、十中八九グレイさんのテキストなんだろうけどさ。
「フウカさん、見てないで助けてくださいよ~」
ソフィアが泣きそうな顔で懇願してくるのを見て、私はリンを呼び戻すことにした。




