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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
南北東で戦だそうです。
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牛歩の兆し

作者:「お待たせしましたー、なんとか書きたかった回が書けました」


レン:「足りなかった資料ってなんなのさ?」


作者:「ヒールのある靴です」


ジン:「よくわからんが、お前が変態だと言うことはなんとなくわかった気がする」


作者:「あくまでも資料用ですよー」

一方でアリシアの方ではというと…


「んぐっんぐっんぐ、この程度では海竜も赤くはならんぞよ~♪(むんずっ)ん…?」


「そう、じゃあ真っ青になるぐらい問い詰めるしかないわね」


「うぃ?け、けけけケイト!?いやいや、我は別にまだ盗み飲みはしてないで」


「その赤くなった頭は何かしら?」


「いやいや、これは元からこんな色で」


「じゃないでしょ。ほら、さっさと来なさい」


「来る来ないって言うか引き摺られてるんだが!いや、待とう!落ち着こう、ちゃんと行く、行かせて貰います、階段は勘弁して!」


帰ってきて早々にケイトは地下で樽酒の盗み飲みに興じていた涼の尻尾をひっ掴んで階段を上るのであった。


「私が聞きたいのはなぜ樽酒を盗み飲みするのかじゃないの。なんであんなことになってるのかよ!」


一階の談話室の入り口には白い毛玉と言うかリンちゃんが詰まっていた。


本来の姿のリンちゃんは割りと癖っ毛で、エルと比べてもモコモコしているから見ればどっちかはすぐわかる。


「いや、アレは主らが悪いんだぞ?」


「何よ?言ってみなさい?」


「うぅっ…いやの?主らがリンを誘わずに王都に出掛けただろ?リンはフウカ…さんと繋がっとるもんで状況とかも解るんだ。だから声を掛けて貰えなかったことで拗ねとるんだ」


「でも王都って言っても城だけよ?」


「ケイトさんは貴族だったみたいだからわからんかもしれんが、やっぱり立派な城と言うのは人の心を引き付ける物なんだ。それにリンもたまには一緒に出掛けたいと思うんだろう」


「それで、あんなことに…」


ケイトは涼をぽいっとしてふてくされる毛玉の側に寄る。


「リン、どうしたの?」


リンは返事をしない。


「これは…教育が必要ね」


「きょ、教育っ!けけケイト、お手柔らかにお手柔らかに頼む、余りにも可哀想だーまだ生後5ヶ月なんだぞ!?」


ケイトはじっと毛玉を見る。


「返事をしない悪い子にはこうだー」


ケイトは癖っ毛の塊に手を突っ込み、毛玉の脇腹を探る。


「ピャッ!」


「んー、この辺かな?」


「この辺ってどの辺の事だ?」


「このエッチめ、女の子の秘密よ」


実際は翼の付け根より少し下の皮を触っている。

それをケイトは力をこめて握る。


「ピィっ!ぴゃーーー!!」


雛鳥さながらの叫びが家中に響き渡る結果となった。


「リン、怒ってても返事はしなさい?」


「イヤァァー!痛い、痛い!イァーー」


リンは叫んで、逃れようともがくものの、そもそもドアを完全に塞ぐように入り口に嵌まり込んだ巨体では入り口から離れる事も難しく、ただの壁なら容易く破壊できたであろうが残念ながらこの家はソウジによる処理で破壊不能であり。

結論から言って痛みで集中力を乱されているリンには逃れる術はなかった。


「リン、返事は?」


ケイトは更に握る手に力を入れる。


「痛いぃー!ハァイっ!、もうしませんっ!だから離して下さい!」


ケイトは割りと怒ると無慈悲だった。

リンがヤケ糞な声量で返事をするまでに約2分。


リンは人形を取ると脇を抑えて泣き崩れる。


「痛いよう…」


「それで、なんで拗ねてたの?」


「だって、お母さんが声もかけてくれなかったんだもん…それに、リンも王都行きたかったし…」


「リン、王に謁見するのに実はちょっとした条件があるの。女性にだけある特別差別的な物なんだけど…王に謁見する時はヒールが7cm以上の靴を履いて参上するって言う古臭くても法律があるの」


リンの目が白くなる。


「リン、まだハイヒール履けない…」


「でしょ?それにそれが理由でお留守番って言われて置いてかれたらそれはそれで悔しいでしょ?」


「・・・うん」


「だからフウカは敢えてリンちゃんに声を掛けなかったよ」


「わかりました、リンはお母さんを怒りません。でも…リンはハイヒールを履けるようになります」


「別に履かなくても良いならあんなもの履かない方が良いと思うわよ?確かに見映えはするけどね。でも必要な筋肉がちゃんとついてる人が履かないと変な所に体重が掛かって足が歪む人とか居るからさ」


「リンは一流のロック鳥を志してます。ハイヒールも履けないようでは三流です。自転車に乗れないような物です!」


こうしてリンのハイヒール強化習慣が始まりました。


▲▽▲▽▲▽


俺は領主殿を引っ付かんでエリアスに戻ってきた。


「ただいま戻りましたー」


「お、お邪魔します。って小屋じゃない!どこここ?」


因みにここは俺の部屋です。

若干片付いてるのは必要な物は全部鞄に押し込めば良いから。


「なんか、あなたの部屋にしては片付いてますね」


「まあまあ、そこは置いといて。ホラホラ、ついてきてくださいね~迷子になっても知りませんよ~」


「僕は自分の屋敷でも迷子になったことはありません。あなたの家程度で迷子になんかなるわけないじゃないですか」


「正確には俺のじゃないんですけどね~」


俺は領主殿を引っ張って部屋を出て階段を下る。


「ハイハイ、さっさと下りますよ~」


「そう言えばなんで僕は連れてこられたんですか?」


「なんで…なんでかな~気まぐれゆえって所かな?まあまあ、アウラさん…の中の人に会わせてあげますから。会いたがってたでしょう?」


「それはそうですけど、そんな態々会ってするほどの事じゃ…」


「まあまあ、領主殿。男には時に諦めが肝心な時もあるんですよ」


「あなたがそれを言うんですか…」


そして俺は一階の談話室を覗く。


「あれ…いない。リンちゃん、フウカさんどこに居ますか?」


「お母さんは…ちょっと待ってね…お母さんはちょっと手が放せないって。片付けしたら戻るみたい」


「じゃあ、待っとけばいっか。リンちゃん、フウカさんに来客ですよって伝えといて下さい」


「はいです」


「で、ケイトさんは何してるんですか?」


「リンちゃんのハイヒールの特訓よ」


見ればケイトさんも普段は履かないミュールを履いていた。


「なるほどそれで、リンちゃんはさっきから小刻みに震えてたんですね」


「これでも慣れてきた方です!」


「そっかそっか、精進したまえ」


俺は扉の外の坊っちゃんに手を引かれて一度談話室から出る。


「あの、僕もう入って良いですか」


「あー、いいんじゃないかな?」


俺は領主殿をぐいっと引っ張って談話室に引き込む。


「ケイトさん、紹介します。俺の友達のゲイル君です」


「ど、どうも。ご無沙汰してます…」


領主殿も面識があったようで軽く会釈する。


「ソウジ殿!?ケイトさんと知り合いだなんて聞いてないですよ!というかこっちってそう言うことですか!」


「あー、鈍い領主でしたね。あはは、ケイトさんはここの家主で俺は仲間のよしみで居候させて貰ってる感じ」


「こちらこそご無沙汰してます」


ケイトはソファから立ち上り、挨拶する。

流石は元貴族、なんと言うか様になっていた。


「まあまあ、とりあえず掛けて楽にして下さい。あとソウジ君、ちょっとこっち来て?」


「居候の分際で友達呼んだらまずかったですか!?すいませんでした!」


俺はさっさと謝る。

これは女性の力の強いこのパーティーでお仕置きを回避するために身につけた術だ。


「まあ、それはまあ良いのよ。そもそも居候って言うけどパーティーハウスだからパーティーメンバーのソウジ君にも住む権利はあるわけだしね?」


ケイトさんは元貴族モードが抜けてないのか意図的にかわからないがニコニコしている。

故に余計に怖い。


「ただ、私を除け者にしてフウカと二人でそんな楽しそうな遊びをしてるって聞くとね?ちょっとね…腹が立ったのよ」


最後の一言が両肩にずっしりともたれ掛かって来て今にも土下座しそうな気分だ。


「ね?不公平じゃないかしら?私がフウカと二人で山に遊びに行ったらきっとソウジ君もこの気持ちが解ると思うわ」


いや、行くならどうぞ好きにして下さい!

だから俺を二人の愛の巣に巻き込まないで下さい!お願い!


「でね?私は寛容だから楽しい事は皆でやるべきだと思うし、ソウジ君もこの特訓に混ぜてあげようと思うのよ?どうかな?やってくれるよね?」


「ええ、はい。やらせていただきます…」


「じゃあ、はい!これ飲んで?」


ケイトが取り出したのは女体化薬だった。

それも恐らくときめかないと解除できないタイプのやつ。


「それ、飲むんですか?」


「飲んで?」


「このっ、男は度胸だー!」


仕方なく俺は瓶に入ったそれを飲む。

もしもときめかなきゃ解除できない仕様だったらまたセイとデートして解けばいいし


「ん?光らないし煙もでない?」


窓枠に腰かける形でレンが姿を現す。


「それは新作だよ!やっぱり変身シーンをじっくり見たいよね!さー、ショーの始りだよ!」


「おい、コレ…初期型のオマージュかよ!」


「そうだよー!」


そう言う間に俺の体はどんどん火照って、変化を始める。

まずはやはり胸と腰、ウエストが細くなる事でウエストの位置が下がり、若干出た胸がTシャツとコートで押さえつけられて苦しくなってくる。

脚の長さは変わらないものの、裾から見える足首は細く、足は小さくなる。


「ぁぁ…」


「またまた、そんな誘うような声だして良いの?ここには年頃男子も居るし、18歳未満も居るんだよ?」


レンに反抗しようと思ったが、上手く力が入らず、足から力が抜けて座り込んでしまう。


肩幅が狭まって服がずれて元々大きめのネックホールから肩が出てコートが肘辺りまでずり落ちる。

股から相棒の感覚が徐々に消えて、下腹部いや正確には膀胱にのし掛かる重みを感じる。


「あぁー、耳が!耳が生えちゃうぅ」


とんでもない違和感と共に元の人の耳が消えて新たに猫耳と尻尾が生えて、髪が青く染まり一気に伸びる。


「変身完了だね。どう?ゲイル君、元気出た?」


「いや、普通に恐怖で萎えましたよ」


俺は火照った体と性転換による急激なホルモンバランスの変化に伴う気怠さに身を任せて、男の体じゃまず無理な体勢で床に転がっている。


「じゃあ、リン見てなさい?コレが正しい、ハイヒールの歩き方よ」


ケイトはなんなく立ち上り当たり前のように爪先までスラッと伸びた脚で、よろめく事も、たたらを踏む事も、ふらつくこともなく、床に引かれた線の上を歩く。


「わかったかしら?これが美しい歩き方よ」


「はい!」


「ケイトさんのは9cmですか、バランスとるのとか難しそうですね。リンちゃんのは3cm、現代日本のマナーではフォーマルな場面で女性が着用すべきとされる最低限のヒールの高さですね」


ゲイルはフムフムと頷く


「ゲイル君も特訓参加しない?」


「え?いえ靴がないので…」


ゲイルの肩にそっと手が触れる


「靴があったら参加するんだね?」


レンはもう片方の手に新たに3cmヒールのパンプスを創り出していた。


「それを僕に履けと?」


「そうだよー!」


そしてなんだかんだ渋りつつもゲイル君は特訓に協力することになった。


▽▲▽▲▽▲


で僕もレンさんが用意したストッキングとパンプスでリンちゃん同様の練習を行うことになった。


「なんで僕はコレで、貴方は床で伸びてるんですか!」


八つ当たりにヒールでソウジを蹴飛ばしてやった。


「全然ふらつかないのね」


「当然です!」


リンちゃんは床の目地に沿って恐る恐る歩く。


「うぅっ、踵がぐらぐらするし…カパカパするし、歩きにくい…」


リンちゃんは苦戦していた。

僕は難なく目地の上を歩ききる。


「ソウジ殿、あなたの番ですよ!」


「この格好の時は霞またはミーナって呼んでね~」


ソウジ殿改めミーナはいつの間にか女性物の服に着替えていた。


白いニットのセーターにベージュのロングスカート、白っぽいショートブーツ…なんとヒール7cmの物を履いていた。


「領主殿、思い返して見てくださいよ。領主殿の屋敷のメイドの制服はヒールブーツ9cmですよ。当然、一年勤めていた自分は履けますし、走れますし、窓から落ちた子供をジャンプで捕まえられますよ」


そう言うとミーナは当たり前のようにケイトさんさながらに歩いて見せる。


「こんななにもない所で歩けても威張れませんよ」


ミーナははなんなく跳躍すると僕のすぐ目の前に着地する。もちろんスカートの内は見せない。


「こんなもんですよ」


「さすがはソウジ君、伊達に女の子してないわね」


「いや、普段は男の子してますよ~さてともっと道の悪いとこ行きましょうか」


ミーナに連れられて僕とリンちゃん、ついでにレンさんとケイトさんは部屋を出るのだった。

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