三寒四温、旅支度
レン:「今日はなんで遅れたの?」
作者:「本編シナリオ、書くの、辛辛…」
レン:「自分でそのシナリオ組み立てたんだよね?」
作者:「辛い、これから先おふざけが減ると思うと辛いよー」
ジン:「とんだ屑だ」
そんなこんなで私は旅に出ることになりました。
国中に相転移門を設置し、壁の補強工事を行う。
そのためにはまず私が国中の街を知る必要があるからだ。
「フウカ君、だからって移動手段をなんか考えろって僕に言うのはお門違いだよ」
狙って転移するためにはまず私がそこを知覚する必要があった。DQでも転移魔法で街へ移動するには一度訪れる必要があったのを参考にしてもらえるとありがたい。
「移動手段って言ってもさ?君らは翼があるから問題ないでしょ?ものの二時間ちょっとで西の端まで行けるでしょ?」
「三時間ですよ」
「どっちも同じだよ~それに下手な乗り物作るぐらいなら飛んだ方が事実速いと思うよ?」
実際そうだ、私が転生初期に編み出したこの翼の魔法は単純に速かったし、小回りも効く。
私の作った魔法の中では最も役に立っている魔法だ。
それも徐々に追加の魔法で速度も上げ下げ、移動距離も短くできるようになっている。シンプルかつ完璧に近い魔法であることは間違いなかった。
──魔力量が並外れて多いならばたが──
この魔法の説明はずいぶん前にちょっとずつしたと思うけど、翼を動かすのに魔力を使うから私達みたいな魔力量に余裕がある、加速力を補助できる能力を持っている必要がある。翼だけの推進力では普通の人はそこまで長時間の飛行は不可能なのだ。
◆◇◆◇◆◇
レン:「だからソウジ君から借りて使ったソフィアちゃんは目を回して落ちたよね」
作者:「そんな回もあったね~」
レン:「あの頃は楽しかったな~」
作者:「そうだね~」
◆◇◆◇◆◇
詰まるところ私達でも国中の街に片っ端から着陸と離陸をすれば遠からず魔力切れになるのは目に見えている訳で…
水晶球を用いて大気中の魔力を利用するようにしたとしても制御には私達の思考が影響した魔力、つまり体内保有魔力を使用する事になり結局減るのだ。
「ふーん、体内保有魔力の問題ね~まあ、意思に沿う魔法はどうしても意思を伝えるために魔力を使うからね~一回二回ならまだしも羽ばたく度にとなると大変か~」
「そう言うことです」
「ふむ、気球とかはどうなの?君たちなら気球ぐらい簡単に作れそうだよね?」
「ぐらいとか簡単に言わないで貰えます?制御も難しいって聞きますし、気球の熱源がバルーンに引火して墜落とか洒落になりませんよ?」
私はほぼ完成した趣味の主砲を制御する。
バレルの代わりのように見える連なった魔方陣が私の思念にあわせて円運動をして照準を合わせる。
「それに空からはどうせ入れないので地上から行くのが手っ取り早いかな~って」
主砲から薄い緑の魔力の塊が飛び出して、魔方陣を全て貫通して飛んでいき、岩礁を落ちる。
着水から数秒で爆発が起きて岩礁の一部が海水も含めて蒸発、球体状に消し飛んだ。
少し遅れて弾けた海水が降ってきた。
「ねえ、これ使えないの?これで空間系のバレットでバーンって撃って着弾点に転移するとかって方法でもいいんじゃないの?」
「威力次第では壁とかに埋まりそうだから却下です。それにそんなもの街に向けたら絶対怒られます」
「そかーいい手段だと思ったんだけどな~」
レンはロッキングチェアを主砲開発ドッグのコンクリートの床に作り腰を下ろした。
「そもそもなんで僕の所に来たの?」
「ソウジ君が抜け駆けしてログインしたからですが?」
「うわー、この状況下でログインしてるのか~ちょっと引くわ~」
レンはカラカラ笑いながらロッキングチェアで足を組む。
「ねぇ、認知の定義ってなんなのかな?」
「急になんですか?」
「策を練るときの基礎、条件の明確化だよ。ほらほら、認知とは?」
「知ること、そこに在る事を覚える事です」
「うんうん、じゃあどうやって知るのが一番手っ取り早いかな?」
「それは行って、見るのが一番なんじゃないんですか?」
「なるほどなるほど…ねぇ、どっちが重要なの?」
「どっちと言うと?」
「行くのか、見るのか」
「なんでそんなこと聞くんですか?」
「なんでって、それによっては僕は提案できる方法があるから」
「行けば見るは付属するので…でも見なければ行ったことを理解できないですし…見るかな?」
「うん、わかった。君にはこれを差し上げよう!テレレテッテレー、望遠鏡!」
「あ、なるほど見れば良いなら遠くから見ても同じと言うことですか…」
「そう言うこと。君は高高度から障害物なしで目視できるでしょ?なかなか名案だと自負してるよ!僕って凄いでしょ?」
レンはロッキングチェアから立上がり胸を張る。
「えへへへ、何分、自分、神な者で~」
レン、頭を掻いてくるっと回って振り向く
「信仰してもいいんだよ?」
「それがなければ私も手放しで誉めるんですけどね…」
「だって事実だもーん!」
レンは地団駄を踏む。
顔文字で言えば(`ε´ )って感じだった。
「プンプン、怒っちゃうぞー!神罰だ~メギドだー」
「いや、考えても見てくださいよ?スーツの成人男性、ギリギリ中性的な人が自分でプンプンとか言ったら」
「あ…うん。そだね、アリかナシかで言うまでもなくあり得ないね。うん、僕ちょっとカイロプラティック受けて女性的になってくる!」
「あ、ちょっと…」
私が続きを言うより早くレンは姿を消してしまった。
「カイロプラティックでそんな性転換染みた事とか無理だって言おうと思ったんですけどね」
用がなくなった主砲開発ドッグから直接一階の談話室に転移する
▲▽▲▽▲▽
一方でソウジの方はと言えば…
「まあ、そんなこんなで…暫く戦争に関与することになってさー、まともにログインできないかも知れないんですよ~」
ソウジは上質なソファーに寝そべって、部屋の奥で紙束の山に埋もれる人物に声を掛けた。
「そうですか、それは良かったですよ。僕にちょっかいをかける人が居なくなるので!と言うか、なんで僕がソウジ殿の話を聞かなきゃいけないんですか!と言うかなんでここに居るんですか!」
手元の紙束を左の山に積み、右の山から新たに束を手元に持ってきながらその人物ことゲイルは怒鳴った。
「なんでもなにも、マブダチだからかな?」
「マブダチなら招かれてもいないのに家に押し掛けるんですか?」
「家には見ず知らずの人が突然押し掛けてきますよ?」
「お宅は店舗件住宅でしょ!」
「まあまあ、あんまりがなるとメイドさんがビックリして飛び込んで来ちゃいますよ?」
「それで…何をしに来たんですか。態々、ここまで来たのは目的があるんでしょ?」
「目的…まあ、強いて言うなら気晴らしですよ。王様に会うとやっぱり疲れますよね~」
「僕だってソウジ殿から見たら十分目上の人の筈ですよね?」
「いや、領主殿は俺からみたら坊ちゃんですよ」
「いや、年齢そんなに変わんないだろって…そう言えば、今日はアウラさんは一緒じゃないんですね」
「ええ、だってここにアウラさん連れてきたら領主殿が怒りそうだし」
「なんで自分は問題ない前提なんですかね?」
「マブターチだから」
「アウラさんがここにいらしたらそれは、もう歓迎しますよ。ソウジ殿の事も目を瞑りますとも」
「・・・・あ、そうでしたね!このこの~年頃男子め~」
「いや、そう言うのじゃないですよ!僕は純粋にアウラさんにお礼をしたいだけなんですよ」
「年頃男子のお礼ね…アウラさんはお金好きだから、お金あげたら喜ぶかもよ?」
実際は何を渡しても十分に喜んで受け取ってくれる。なぜならそれが礼儀だから、フウカさんはそう言うところプロだ。
「お金だなんて…失礼では?」
ゲイルもそう言うところにうるさいタイプだった。
「冗談冗談、美味しいお菓子とか綺麗な服が好きだと思いますよ」
普段疎かにしている分ね
「ソウジ殿、近い内に連れてきて下さい。そしたら今日の不法侵入については多目に見ましょう」
「不法侵入?俺はちゃんとメイド長に挨拶して通して貰ってるんだよ?」
「僕が許さないから不法侵入です!」
ゲイルが立上がり、左側の紙束の山が崩れる。
「まあまあ、どうせならたまにはこっちに来たらどうですか?」
「あの、見てわかんないんですか?僕は超、忙しいんです!あなたのボロ小屋なんかに行くほど暇じゃないんですよ!」
・・・・・?
「あれ?通じると思ったんだけど…知らなかったのか。領主殿、鈍いっすね~」
「僕は何も間違った事は言ってませんよ?」
「その書類仕事終われば良いんですか?」
「例え最速で終わったとしても僕は、一っ風呂浴びて、一晩寝ない限りはソウジ殿には付き合いませんからね」
「それだけで良いんですか?」
「それだけ?って言うと?」
「一日にやることはそれだけで満足なんですか?」
「そりゃ三食のんびり食べるぐらいしたいですけど…なんですか?気持ち悪い」
「じゃあ、決まりですね。コンバート:リアル」
俺は魔方陣を潜ってリアルの体を呼び出す。
レンが手を入れたVRセットだからこそできる事だ。
「一つ言っておくと、例え効率が向上しても作業量は変わらないのでその辺は変な期待は持っちゃダメですからね?」
「?」
俺は魔力を通して意識を拡大していく。
意識の一端が屋敷の境界に触れる。
「普段なら範囲選択には補助が必要なんですけど…ここは細かくエリア分けが成されているから選択箇所の境界を態々作らなくて良いから楽ですね~」
俺は手を握りフウカさんの言ってた事を思い出す。
鮮明なイメージを持つ事が魔法を使う上で重要であり、イメージを伝達するのに魔力伝達の習熟が必要。
理論よりも理想が重要だ。
呪文、言葉は意思とイメージを明確にする。
そして音は波、呪文は魔力の流れ、つまり体内の魔力を操作してその流れを再現することで魔法は発動できる。
流れだけで魔法を再現できれば詠唱は省略できる。
『タイムコントロール』
手のひらの内から僅かに光る粒がキラキラと宙に浮かび、光の幕として屋敷の中を満たしていく。
「5000倍ぐらいで十分か」
「5000倍?」
俺は領主殿の後ろに行って、大きな窓を開け放つ。
外には敷地の外を飛んでいた鳥が空中で完全に静止して漂っている。
「領主殿、残念なお知らせなんですけど、俺実は高校生辞めたんですよ」
「いや、高校生辞めたからって時間止めれないでしょ!」
「ええ、今は異世界で冒険者やってるんですよ。馴染みがあるでしょう?特にこの世界は転生者は多いですから、同じですよ」
「本当に止まってるんですか?」
「正確には止まってる訳ではないですね。屋敷の中の時間が外界に比べて5000倍の速度で流れてるから止まっているように見えているだけです。さあ、別に俺は一時間でも二時間でも外の世界を眺めて時間の流れを実感して貰っても構わないんですけど、仕事が忙しいでしょう?」
「ソウジ殿、この力を持続するのに代償はないんですか?」
「なくはないですけど、俺の場合は時間の流れ、その設定を弄るその瞬間に導線として魔力を使うだけなのでそんなに重い代償ではないですよ。普通の人なら吹っ飛ぶところでも、なんかなんとかなるんですよ」
「そうですか、じゃあお言葉に甘えてこれを片付けるとしますか!」
そうしてゲイルは加速して、外界の騒音から解放され静かになった部屋で黙々と書類の山を右から左へ移していった。
その間に俺は台所を借りて領主殿の為に間食を作る。
作るのは、ラーメンだ。
夜食にはラーメンと相場が決まっているからだ。
風呂も湧かすように使用人の皆さんにお願いする。
なんだかんだ過ごす内に体感時間では結構な時間が流れて、ゲイルはソウジのサポートによって書類仕事を終え、風呂に入り、飯を食って、体感時間7時間の睡眠を摂った。




