こたつで丸まる蒼
作者:「先日は更新を忘れると言う失態をおかし申し訳ありませんでした( ノ;_ _)ノ」
ジン:「忘れた理由は?」
作者:「曜日感覚がなくなってましたね
(*^-^*)」
ジン:「それが言い訳のつもりか?」
作者:「ということで今回は顔文字多目でお送りします」
ジン:「なんだそれは!」
朝、冷えこむ部屋で俺はなんとかベッドから抜け出し、着替えを取ろうといつものトランクに手を突っ込む。
中の空間は無限に広がっているがこのトランクの枠に全てが収まるようにもなっている不思議な状態なのだ、なかに入らなくても手が届くようにっていうレンの配慮だろう。
ささっと着替えを済ませた俺は未だに眠りこける涼の尻尾を引っ付かんで部屋から出る。
「んあ?我の扱いがぞんざいすぎるぞ、お主?お主!?階段!階段があるからストップーっ!!」
ダン(アタッ)デン(いてっ)ダン(おい)デン(いい加減にイタ)ダン(放イッ)デン(ヒレぶったじゃないか!)…
「いたたた…わ、我が何をしたっていうのだぁ!ん?お主?」
「あーダルいし寒いし、ボンヤリするしなんだコレ…」
「お主、気のせいじゃなく魔力が不足してるな」
「何て言うか、凄いダルいんだよ…めちゃくちゃ疲れてる感じのダルさ…眠い…」
「うむ、他に誰か降りてくるまで談話室の暖炉の前で眠るといい。暖かいぞ?」
「涼、お前は元気そうだよな」
「・・・確かに、なんと言うかお主の魔力が場に満ちているような感じで過ごしやすいな」
涼は俺の周りをグルグル回る
「どうした?」
「いや、どっかに穴でも空いて風船人形みたいに魔力が漏れてるんじゃないかと思って…」
「そんな風船じゃあるまし…」
俺はそのまま談話室に直行した。
誰かもう起きてきてたのか薪が燃え盛っていて談話室の中は程々に暖かかった。
そして何より俺の目を引いたのは改造された机だった。
「コレは…こたつ?」
「そうだろうな、作った本人はどこ行ったのか…」
涼はこたつの中を覗きながら言う
「あ、あぁ…力が抜けるぅ…」
直後、連続して窓に衝撃が走り雪がベッタリと張り付いた。
「なんだ?我、ここに居るから悪いことしてないぞ?」
窓の外では程ほどのサイズの重雪が手から雪玉を飛ばしていた。
「魔力の消費の理由はあれか」
「重雪のやつ、雪ではしゃぎやがって…」
『防御は私に任せて、リンは攻撃を』
『ハイです』
直後なかなかの勢いの雪玉が同数重雪の方に帰っていった。
『ひっさつー、ぼーふーせつ弾!』
人一人入りそうな大きさの白い玉が窓枠の外左斜め上から落ちてきて、重雪に当たり、大量の雪と爆風を撒き散らす。
衝撃に重雪も片膝を着くがすぐまた弾を撃ち始める。
『あひっ冷たいです!やりましたねー、このー』
リンの可愛いらしい声に乗って雪玉が空を裂き、重雪の足下に落ちて雪を巻き上げた。
『相手は一人じゃないですよ?』
そして明らかに狡い事に大量に現れた藤色の魔法陣から無差別に雪玉が溢される。
おまけとばかりに追加で雪を降らせていた。
だが重雪も負けてはいない。
重雪は体を崩して二体に分裂した。
「あいつ、分裂もできるのか…」
「いや、お主重雪の主だろ?従者の能力ぐらい把握して然るべきだろうに…」
「って言ってもさ?重雪だぞ?コミュニケーション手段がお前と違って『ムぅっ!(o^-')b !』だぞ?無理だろ?」
そして重雪の反撃が始まる。
「うぅ…燃費悪い…」
「そして主はこたつで死体のごとく倒れ伏すのでした、マルっと」
涼はソウジが青い顔をして倒れたのを確認すると再び窓の外に頭を向けるのだった。
▼△▼△▼△
なんだかんだと雪合戦は苛烈さを増しつつ続いていた。
いつの間にか薄かった雪は足がとられる程度に深くなっていた。
連続かつ少しずつ軌道をずらして飛んで来る雪玉を私は後ろに飛んで一発目を紙一重で避け、二発目を魔法陣でいなして、三発目と四発目を魔法陣で転移させて跳ね返す。
リンが光学迷彩で側面に回って、風圧と雪玉を浴びせかけるが、重雪は氷を地面から早して盾にする。
風圧と盾がぶつかりあって雪が舞い上がり、視界が白くなり突風が狭い庭の中を吹き荒れる。
突風が落ち着くと、見事に丸く削られた氷の盾が露になったが、重雪は健在だった。
以前として雪が降り続けていて、空には分厚い薄灰色の雲が蓋のように太陽を隠しているせいで気温が下がる一方だった。
「冷えますね、そろそろ終わりにしましょう」
「はいお母さん!」
私のすぐ隣にリンが戻ってきた。
私は戦いながら魔力を掌に溜め込む。
『水よ、氷よ、雪よ、汝らは寄り集まりて我が前に壁となる。汝は壁なり、何れは崩れる万物である 雪壁の陣』
詠唱に呼応して、私と重雪の間に壁が立上がる。
普通の壁じゃない家と同じぐらい高い大きな壁だ。
『氷雪よ汝らは我が魔力を喰らい生まれ出でる質量、汝らは大海の生まれ変わり、汝らは我が手に集結し、混沌をもって姿を顕し、流れをなして押し寄せよ! アバランチストリーム』
掌で練り上げられていた魔力が冷たく強い光を放ち魔法陣をなす、私はそれを壁に捩じ込んだ。
詠唱の通り、破壊され秩序を失った膨大な魔法陣の魔力は、その身をそのまま氷雪の流れへと変える。
流れる力を壁にぶつけて抑圧に対して反発を膨れ上がらせていく。
それが限界を超えたとき、反発は爆発する。
流れ込んだ魔力は元々私の魔力だった壁を喰らい、食い破って膨大な質量の流れとなって庭を埋め尽くした。
重雪は氷の盾でもって流れをいなして流れの暴力にもみくちゃにされる事を逃れた。
重雪を迂回した流れは庭の塀に当たって曲がり、重雪を囲む形で溜まっていき雪と氷の塊になった。
「ふぅ…流石にこれで降参でしょ…」
「お母さん、雪合戦の勝ち負けってどうやって決めるんですか?」
『雪合戦…にルールなんてあるのか?ただ投げ合う遊びだろ?』
『スポーツ雪合戦なるものがあると言う話はニュースで聞いた気もしますけど、詳しくは知らないですね』
『私は二人とは生きてた世界が違うから論外よ』
「どうなんだろ、降参するまで雪をぶつければ良いと思ったんだけど…違うのかな?」
『そりゃスポーツじゃなくて喧嘩だな』
『あまりにも野蛮』
『そう言うのも面白いと思うけどね!』
「・・・じゃあだいたいあってそうですね!グレイさんも『なんでもね?相手を屈服させた方が強者よ』ってお祭りの時に言ってました!」
グレイさんはどんなタイミングでそれを言ったんだろう…
「ムムムムムっ…ムウゥッ!└( ゜∀゜)┘」
塊が丸ごと雪だるまよろしく立ち上がり、ガッツポーズを決めた。
「えー、うそぉー…」
「重雪さん…まだ立つんですか」
「むぅっ!(o^-')b !」
「んー…だめ、降参です」
こうして雪合戦は重雪の圧勝で幕を閉じた。
▼△▼△▼△
「あはは、雪だるまに雪合戦で勝とうとしたの?バカだねぇー。僕初めて見たよ、雪だるまと雪合戦する人も雪合戦する雪だるまも」
レンは現在主砲開発に占領されている第二談話室でてのひらサイズの大砲をクラッカーのようにぶっぱなしながら言った。
「勝てるわけないのにぃっ!(いっひひっひぃぃっお腹いたいおぉぉっ)」
レンは腹を抱えて転げ回っている。
少し腹が立ったけど、考えてみれば当たり前の事だから言い返せない。
「それで、魔法の方はどう?」
「我が意思の所在をなんと書き記すべきか、敵をなんと定義するべきかって所ですね」
「意思の所在か~魔法の原理を思い出してみてよ?先ず魔法は人間の意思が魔力に伝わって、魔力が変質して意思を叶える物だよね」
「魄を通じて、WSSに伝わった意思が、魔力のプロパティの挙動を書き換え、それが魔法として発動される…なら意思は、魂の特に魄にあるってことですね。なら、そもそも意思に従って動く魔法に『我が意思に沿いての』文言は必要ないはず…敵を認識するのに他にトリガーとなる言葉があるのかも…」
「フウカ君、フウカ君、フウカ君はここに銃があって弾が出るでしょ?なんで前に進むと思う?」
「へ?それは、後ろ側には薬莢がついてて弾丸が前にしか飛びようがないからですよ」
「じゃあ、薬莢もなければバレルもない魔法はなぜ前に飛ぶの?そもそもなんで飛ぶの?誰が魔法を弾丸だと決めたの?考えても見てよ?魔法だよ?願いを叶える奇跡だよ?それはあらゆる事が叶うと思わない?」
私はそんなお前じゃあるましそんなわけがないと思った、口から出る寸前まで来ていたが、不思議と説明がつく気がして口をつぐんだ。
「前に言ったと思うけど、今のこの世界の人間は杖なしじゃ魔法を使えない。でも君は使えた、ソウジ君もそのうち使えるようになるさ、なんでだと思う?」
「まさか、先入観が意思を縛っているからできない」
「はい、せいかーい」
「つまり私が"そう述べない"と"そう動かない"と思ってるから魔法はその通りの挙動をしていると?」
「元々はこの世界自体の存在意義が魂魄の特に魄についてを深く知るための実験場だったんだ」
「実験場?それは貴方からは想像しがたい言葉ですね」
「ん?なに言ってるのさ魂の研究なんて以下にも死神っぽいでしょ?鎌だって持ってるしね?」
レンは黒いスーツの裾を引っ張って見せる
「そうでしたね、貴方の本業は死神でしたね。てっきりニートかと思いましたよ」
「酷いな、死神よりニートのがマシだとは思ってるけどさ。まあ、とにかくここはそもそも実験場で…彼女いわくだよ?ハッキリとした結果を得るにはよりハッキリと何かを願う人がたくさん生まれる必要があるとかで…(¨)(‥)(..)(__)」
レンは両手の人差し指をいじいじしながら話す。
「その願う習慣を作るためのシステムが魔法ですか」
「ザックリ言えばそう、僕も彼女から基本思想を聞いてそれに合わせて創っただけで一から創った訳じゃないし、大昔の話だからなんとも言えないけどね。ただ僕は思うんだ、もっと自由にあっていいってさ」
レンはふと窓の外を見上げる。
空は、バッチリ曇っていた。
『唾棄すべきクソニートめ…フウカ、殺して良いですよ私が許可します』
『アイーシャさんが唾吐いたぁ!?レンさんなにやったのさ!いつも温厚なアイーシャさんがここまでお怒りってよっぽどの悪人ですよソイツ』
「強く願えば叶うのが魔法ですか…夢のような力ですね」
「まさしくそうだと思うよ」
レンは肩をすくめる
「お陰で必要な魔法がなんとか組めそうです、その点は感謝しますよ。でも、ウザいのでお仕置きです」
「え、僕なんかやったぁ?クラッカー?クラッカーがダメだったかな?」
「イチイチ、リアクションと話し方が勘に障りました」
レンは両手を挙げて悲壮な表情。
これで死なないからおちょくってるようにしか見えない。
私はレンの心臓を確りとイメージして、心臓の内から氷が突き出るように魔力に願った。
「そ、そんな理不尽n」
レンは力なく床に座り込み、胸から突き出た氷の棘を引っこ抜く。
「痛いじゃないか!僕じゃなかったら死んでるんだぞー!」
o(*`ω´*)o
レンはわかりやすくプンスカ怒っている。
やっぱりおちょくってるようにしか見えなかった。
「はぁ、もういいです。私はしばらく魔法の開発に専念します。あなたもソウジ君に回路の作成を急ぐように伝えてください」
「はーい、アイm」
レンの返事を聞くより早く私は談話室を後にした。




