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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
南北東で戦だそうです。
222/260

…and dreamy joy here.

作者:「はい、大量文字数書き上げて油断してました。書くだけ書いて、更新するの忘れてました…」


ジン:「大丈夫か?確りしろぉ!!」


作者:「ジン君、別に致命傷とかじゃないよ。単に自転車で転けただけだから!そんな大袈裟にしないで!」

ベイグル商業区の一角にあるランフォート武具店のお昼過ぎ、彼女らは入り浸ってる客人と遅めのお昼ご飯を取っていた。


「それで?最近はどうなの?」


店主であるランはお弁当のおにぎらずを食べる手を止めて口にした。


「ん?なにが?」


それに対して客人であるアオイは骨だけになった焼いた肉を指で摘まんでポリゴンに返しながら聞き返した。


「何がって…例のアオイの想い人だよ。なんか進んだ?告白したの?」


「それより私は、なんの肉かが気になる…な」


外に居るときとは売って変わって、か細い声で話すレイラッタは野菜多めのグリルチキンにフォークを突き立てながら言う。


「お、想い人って…そんなんじゃないよ!因みにこれはハイウェストフロッグの股肉ね?私は今、個別キャップ解放クエに夢中なの!それに、ソウジ君はただ前線とかその辺でよく会うだけでそんなんじゃないよ」


どうやらカエルの股肉だったようだ。


「でも気になるんでしょ?」


「まあ、気になる、気になる?のかな…」


「それは間違いなく恋だよ!恋に違いない!」


どうやらランは他人の恋愛に興味津々なようだ。


「いや、恋は違うよ。まだ気になるだけだし」


「ちゃんと、わかってるじゃん。"まだ"気になるだけで、いずれは恋でしょ」


「いや、そこに必然性とか因果関係はないよ」


アオイは若干困った顔をしながらカエル股肉の照り焼きを頬張る。30cmはある股肉いったいどんなカエルだったのだろうか…


「アオイさん、そのテリヤキフロッグ…自分で作ったんですか?」


「まさか~私、料理はスキルも技術もからっきしだよ?コレはソウジ君が『暫く個別キャップ解放の手伝いができないお詫びに』っててくれたんだよ。料理スキル完凸さんが作るとカエルも美味しく感じるよ」


「ねぇ、それだけ一緒に居てホントになんもないの?」


「だからないよ~(元男だし…」


「ほら、頬っぺたにテリヤキついてるよ?」


レイは手元のティッシュでアオイの頬を拭く。


「あはは、面目ない」


「まあ、アオイがこの調子じゃホントになんもない、もしかしたら恋愛対象とも見られてないのかも」


「そう言えば…この前の定休日にソウジさん見ましたよ?…出て直ぐの森でピンクの髪の女の子と…血だらけになってました」


「あの辺はどのエリアに行くにも通り道だし狩りの帰りだよ、たぶん」


「ピンクの人は初心者っぽかったけどなんか…ソウジさん楽しそうでした。上手く言えないけどキラキラしてたというかなんというか…説明下手でごめんなさい」


「それは恋かもしれない。いやでも私は誰でも良い訳じゃないの!アオ×ソウ(逆も可)がいいの!それ以外の可能性なんて…潰してしまおう、ホトトギス!!」


「いや、ダメでしょ…」


「潰すのはダメだけど、でも…気になるね」


「じゃあ、さっそく今度パーティープレイに誘ってみよっか」


暴走ぎみなランはさっそくウインドゥを開き文面を作成する。

こう言うのはやはり経営者だけあって早い。


そこにランの後ろから赤い髪の男性が顔をだす。


「パーティープレイ?僕も行きたいな~」


レンレンもといレンだった。


「だわぁっ!レンさん、脅かさないでくださいよ!」


「あはは、ゴメンゴメン。でもそういうタイミングだったでしょ?」


「レンさんは来ないで下さい。ややこしくなるので!」


「ナニナニ?恋の話?僕、縁結びの神様始めたから相談乗るよ?」


「実はつい一昨日ソウジ君がピンクの」


「あぁ、アウラちゃんね。悪い子ではないよ?ちょっと狂暴なセンスしてるけどさ」


「知ってるんですか?」


「だってソウジ君と仲のいい子だよ?僕が知らないわけないでしょ?」


「それは見ればわかりますよね」


「ま、そだね。うん、僕は二人の幸せを祈ってるよ?」


「邪神め、私の推しカプ構想の邪魔をするなら神と言えども、潰す他なし、ホトトギス!!」


「邪神か~、まあ死神だし似たようなもんだけどさ?」


「もうホトトギス関係ないし」


「ランさん、暴れるなら外でお願いします」


「まあ、いいや。これはこれで面白いし僕は行くのは止めとくよ!じゃあね!」


レンはそそくさと出ていった。


「あ、返信来た」


「あの人ホントにプレイヤーなのかな…なんかいつもログインしてる気がする…」


「前にずっとログインしてるからって言ってたし、レイみたいな感じじゃない?」


「お、件のアウラさんも来るって…出先で潰そうか」


「いや、だから潰しちゃダメ…」


「場所は?」


「樹海」


樹海エリア…正式には「蒼奏の樹海」というエリア名の隠しエリア、「浅蒼の森」「深蒼の森」「蒼暗の森」の三つに別れた樹海エリアとその中央に聳え立つ「神代の巨樹」を舞台にに立体的に広がる異界樹エリアとそれらの地下に広がる「枯死の降る大空洞」からなる巨大エリアだ。


「あれ?初心者じゃなかったっけ?レベル上がるの早すぎない?」


「もしかしたら樹海エリアでパワーレベリングしてるのかも…」


樹海エリアは広大な隠しエリアだ。

移動するにはフェアリーサークルというダンジョンギミックを利用しなくてはならない。

ダンジョンの最奥や近所の森や森林公園の一角とか、まあぶっちゃけ至るところにあるワープゾーンがフェアリーサークル。

そこにイベントアイテム「異界樹の梢」(樹木系mobから希にドロップ。定価1ネルロ)を持って踏み入ると樹海エリアに点在するフェアリーサークルのいずれかに転移できる。


そんな広大なエリアだから当然エリア内でも部分的にモンスターのレベルは上がったり下がったりする。

それを利用すると低いところから徐々に高い方へ行ったりできてレベリングには最適、そして広大な樹海エリアには高レベルプレイヤーも遊べるように超高難度エリアが存在する。

(「枯死の降る大空洞」の一角にある「死獄の果て」って名付けられたアンデッドの群生地がある。要求レベルが高いし死にたくないから私は行かないけどさ)


要するに、樹海ならギリギリを見極めつつ最小限の移動でレベリングを続けることができると言うことだ。


「まあ良いでしょ♪初心者支援はいずれ私達の利益よ!」


「あはは、商魂たくましいですね」


「…でも、ソウジさんの知り合いなら家じゃなくてソウジさんに頼むんじゃ…ないかな?」


「あ…」


『家の武器は高いけど相応の性能は保証しますよ♪』


全員の頭の中にソウジの接客スマイルと決まり文句が浮かぶ。


「…どうでしょうね?」


「いや、今回のパーティープレイで売り込むのよ。ソウジさんは癖武器が基本だからスタンダードなステータスの高い武器なら家も負けてないからね?」


「まあ、なにはともあれ楽しみだね」


▼△▼△▼△▼△


で更に数日後…

私達は指定された樹海エリアの一角でmobを散らせながら待っていた。


「遅いですね」


「迷ってるのかな?」


「…ソウジさんがついてるのにですか?」


「それも考えにくいよね」


『あはははは!まもなく~列車が通過しま~す』


『他人事みたいに!誰のせいでこんなトレインしてると思ってるんですか!俺でも30オーバーのトレインなんて初めてですよ!』


ソウジ君とピンクの髪の少女がゾロゾロと多種多様なmobを引き連れて走っている


『いいじゃないですか、お陰でリンク繋がりまくりで効率良いです。そ・れ・にぃ!』


彼女は振り替えると同時に手にした槍を振りかぶり投擲する。


それは、稲妻を真空中を走らせながら真っ直ぐに飛び出来上がっていた列を貫き焼き、少し離れた先で稲妻を炸裂させた。


『隊列が延びきってるので殲滅が容易です』


弱いmobなら稲妻に触れただけでポリゴンに還り槍に触れたmobは問答無用で貫通して血とポリゴンを撒き散らす。30以上並んでいた列が一瞬で粗方片付いてしまった。


「アウラさん…その槍、結構高いんですから大事に使ってくださいよ!」


文句を言いながらもソウジ君は残ったmobをチマチマ倒している。


「またレベル上がったら装備買い換えるんですからいいじゃないですか。それに投擲なら服も汚れないので、これからも使っていきますよ」


アウラと呼ばれた少女は白と赤を基調としたドレスアーマーに血がついていないか気にしつつ、ストレージから新たに槍を取り出す。


「あはは、お見苦しい所をお見せしてしまいすいません。アウラと名乗ってます、よろしくお願いします」


彼女はドレスアーマーの裾を持ち上げて頭を提げる。


「なんかさっきと印象違いますね…」


レイはランの後ろに隠れ


「…戦闘狂な人じゃなくてよかったー」


ランは胸を撫で下ろす。


「それ私への当て付け?あ、自己紹介まだだね」


「ランフォートさん、レイラッタさん、アオイさんですよね?はい、よろしくお願いしますね」


「あ、ソウジ君から聞いてるか。じゃあ、ボチボチ攻略してこっか」


「はい、足手まといになるかもしれないけどよろしくお願いします」


「皆さん、お待たせしました。今日はまあ攻略しながら集団レベリングなんですけど、俺は今日は師範システムなのでステータスが」


ソウジがウインドウを裏返すとそこには前に見た時の数字から左端の1が消えていた。


「と言うことで、アオイさん?期待してますよ」


「がんばります…」


「ヤバい…あっという間に抜き去られそう…」


「頑張ろ…」


レイとランはどうやら危機感を覚えたようだ。


『ほら行きますよー』


アウラさんは消失点ギリギリで槍を振って待っている。


私達も急いでついていく。


暫く歩くと次のエリアに入る。


「じゃあそろそろ電車ゴッコ始めますね」


「で、電車ゴッコ…?」


『響け、響け、狂騒の調』


アウラの唄が地面、木々、森を振るわせ、木々が好き好きに鳴り始める。


『呪え、呪え己が境遇』


音は更に範囲を広げ、森に存在する空気自体が鳴り始め、重奏を重ねて行きく


『唄え、歌え、戦慄の唄 レゾナンス・ヘイト』


そして低いとも高いともつかない不協和音が森に反響する。


「ふぅ、また魔力尽きました!もう少し魔力上限上がると良いんですけどね」


アウラは槍をくるくる回しながら何かを待っている。


「これがここ数日でアウラさんが編み出した新種の魔法、旋律魔法です。威力は低いんですが、効果範囲がとにかく広くて状態異常付与なのが特徴でこういうmob狩りでとんでもないアドバンテージを発揮するんです」


見れば、全方位からアウラに向けてターゲットラインが刺さっている。


「って事は…」


「森対、私達五人と言うことです、よっ!」


茂みから飛び出したゴブリンシーフをアウラさんは槍の柄でいなしながら更に勢いを付けて弾き、近場の木に叩きつける。


ゴブリンは木の幹を破壊して茂みに落ちてポリゴンとなって天に消える。


次々と魔法、矢、溶解液、理力を使った攻撃が飛び来る中でアウラさんは全てを紙一重で避けるか、槍で弾く。


「うーん、遅いかな。普段の私なら一撃で終わらせられるけど今はまだ弱いから苦しんで貰いますね」


アウラさんは出てきたゴブリンを柄で凪ぎ払う。


その後ろから出てきたトレントの幹に槍を突き刺し、それを支えにしてドロップキックで顔面を確り破壊してその反動で槍を引抜く。


ちょうど着地地点で口を開けて待ち構えていた小型のムカデ型モンスターの顔を踏みつけ、頭と首の間に槍を捩じ込んで分断頭は蹴り飛ばし、胴体はざっくり三等分にして捨てる。


そして脇から出てきたゴブリンに棍棒で殴られる。


「痛いな…そう言うものを人に向けるのは感心しないな~」


そう言っているがゴブリンの手に棍棒はなく、何故かアウラが持っている。

ついでにゴブリンは既に槍先にくっついて虫の息だった。


アウラはゴブリンをまだ虫の息で生き残ってるトレントに投げつけ仲良く弾けさせる。


背後から来たゴブリンの腹に逆手に持ち変えた棍棒を捩じ込む。


ドラゴンフライに棍棒を投げつける。


攻撃のため降りてきたドラゴンフライの背を槍で地面に縫い付け、棒高跳びの要領で確り高く飛び、もう一匹のドラゴンフライに上からゲンコツを叩き込む。


「あのー、アウラさん何者ですか?ちょっとおかしい運動神経してませんか?」


「まあ、そこはリアルな面なんでマナー違反ですけど、まあ初心者ですよ?ちょっと運動神経が体操選手だったり、槍裁きが達人染みてるね?」


アウラさんは何せダメージが少なかった。

理由は全てを槍でいなしているから。

攻撃はそれほどでもないが、とにかく堅実な戦い方をしていた。そして、槍以上に体術が光っていた。


足払い、ハイキック、ゲンコツ、投げ技もしばしば…


「私達、来る意味ありましたか?」


「まあ、ここの敵は弱いので大丈夫ですけど、そろそろエリアボスの居る辺りなので」


「クワトロリーパーだっけ」


「そうです、鎌四本のカマキリモドキです」


すると最後の一匹と思われるカブトムシを人型にしたようなmobの胸に稲妻を纏った槍が突き刺さり、半径10mの範囲を焼き焦がし槍ごと消滅した。


「ふぅ、一通りです。ソウジ君、そろそろ広域殲滅魔法使っちゃダメですか?」


「せめてカンストまでは上げてからですね」


「最近伸びが悪いんだけどね…じゃあソウジ君は次のポイント探してきて?」


「はい、見つけたらメッセージします」


「誰か一人ぐらいソウジ君の護衛した方がいいんじゃないかな?」


私が提案すると真っ先にランが手を挙げ


「じゃあアオイも連れてってあげて?体動かしたいんだって」


「良いですよ、じゃあアオイさん行きましょう」


「え、私なの!?まあ、良いけど…そっちも一応気を付けなね?」


「大丈夫、大丈夫、こっちは三人だから」


私はソウジ君と次のレベリングスポットを探すことになった。


▼△▼△▼△▼△


「それで、ソウジ君とはどういう関係なんですか?」


ランはアオイとソウジからの連絡を待つ間にアウラにそれとなく探りを入れる。


「どういう関係…そうですね~一緒にゲームして、一緒にご飯食べて、一緒にお風呂入って、一緒に戦う、友達以上の大切な仲間です」


「そうなんですか。因みに出会ったきっかけとかは…」


アウラは若干、手を顎に当てる…


「出会った切っ掛けですか?そうですね…不慮の事故で頭に丸太を落としたのがきっかけですね」


ランとレイは絶句した。


内心は…


(なにその出会い方、ソウジ君よく死ななかったね)


(頭に丸太が落ちる不慮の事故ってどんな事故だろ…)


「じゃあ…普段何してるんですか?異性同士だと、同性相手に比べて勝手が違うから、私異性の友達いなくて…」


レイは自分の事を挟みつつ質問する


「普段ですか…えー、あんまり一緒に行動することはないですよ?今はゲームに誘われたからこうしてここに来ていてって感じです。ここ最近はソウジ君、彼氏作って遊んでましたし、私は私でやることはないですけどやりたいことは程々にあるので、そんな感じです♪」


(?????!あれ?この人リアルの事語ってない?)


(ソウジ君…彼氏作ったの?)


◆◇◆◇◆◇


ソウ:「チッガァァーウ!あれは彼氏じゃない!あれはセイ・メッシー・ミツグ=アリシアだよ!」


作者:「出た~水無月 蒼次JK説w」


レン:「前にキミに来て騒いでたよね?」


作者:「あれはホントにビックリド〇キー」


ソウ:「作者はもしかしたら心のどこかで微粒子レベルで女子高生かもしれないが、俺は、完全完璧な男だよ!!」


◆◇◆◇◆◇


(でも家事万能、料理上手、手先が器用でなんでもできるし、服とかも気を使ってるみたいだし…もしかしたら口調が男っぽい女の子でカスミさんの姿がホントなのかも…)


「え、もしかしてリアルで一緒にお風呂入ったの?」


「んー、そう…ですね。一緒に入りましたよ?」


「あ、でも男性でも女性アバター作れるから!あはは、そう言う事だったんですね」


「ラン待って…アウラさんが男性だとして、ソウジ君も男性だから一緒にお風呂入っても問題ないの理屈は通るけど、ソウジ君の彼氏の問題が解決しないよ」


ランの目から生気が消えて真っ白になる。


「それは…それは…ナシぃ!アウトぉー!ダメだよソウジ君がBLだなんて…ソウジ君には普通にラブコメして欲しいよ」


でそれを聞いてアウラは


(普通にラブコメしてたけどな~)


約10日前、ソウジは女体化週間を送っていたから、実質J─K─M─Souziで間違いはなかった。


「ラン、ソウジ君もしかして女の子なんじゃない?」


「え?」


「アバターが…リアルと同性とは限らないでしょ?それに…ソウジ君がホントはカスミちゃんだとしたら…アウラさんが女の子なら一緒にお風呂入っても問題ないですし…、あれだけ一緒に居るアオイが恋愛対象にならないのも頷けるよ」


ランの中でアオ×ソウの立て看板が音を立てて崩壊した。


「──ソウジ君、普通に男性ですよ?年は私のが一歳年上ですが…」


音を立てて崩壊した立て看板が超高速で修復工事される。


「てことは…やっぱりBL…」


「アウラさん男性だったんですか!?」


「??私は女ですが」


「で一緒にお風呂入ったって…」


「入りましたね(混浴とかプライベート間欠泉とか)」


「えっと、普通男女で一緒には入りませんよね?」


「まあ、仕事柄そう言う性差の感覚が雑になってるかもしれませんね。別に見られたからって減る類いの物でもありませんし?」


(確かに…でもソウジ君は倫理的にうんにゃらって言いそうだけどな…)


「減らないにしても、そう言うはしたない行為は倫理的に…」


(あ、ランが言うんだ…)


「ただお風呂入っただけですよ?痴女も痴情もありませんよ。それよりランさんとレイさんはどうして知り合ったんですか?ランさんのお兄さんは確か領主でレイさんは一介の鍛冶師ですよね?」


「それは、話すと長くなるんですけど…」


ランはポツリ、ポツリと語り始めた。


▼△▼△▼△


「この辺でどうですか?」


「この辺、良いですね。歯応えのある感触です」


ソウジは刀から血を払う。


足下には縦に真っ二つに切られたトンボの死体が転がっている。


「相変わらず綺麗に斬りますね」


トンボの死体はちょうど中央を頭の先から尻尾の先まで切り裂かれている。

そんな芸術作品も血渋きとポリゴンになって消える。


「お、エリアボス警告表示だ」


それは森の中の僅かに開けた切れ間にそっと浮かぶ黒地に赤い斜線と赤字で書かれたウインドウで、下部に残り時間が書かれている。


普段はグリーンで残り30分を切るとイエローになり、残り3分を切ると赤くなる。


「アオイさん、皆を呼んできてもらえますか?俺は、ここに引き留めておくので」


「ソウジ君一人じゃ心もとないです、アウラさんが迷子になってたとしても私とソウジ君なら来るまで持たせられますよ」


「そうですね」


脳裏に以前ソウジ君が負けた時の光景が浮かんだがそれを振り払って走って行った


「ふぅ…さてと、アウラさん、できれば早く来てくださいよ?疲れるんで」


赤い警告表示が点滅を始める。


残り一分を切り、残り時間が刻々と減っていく。


コチッ…コチッ…コチッ…コチッ…


数字が切り替わるのに合わせて赤い斜線が明滅する。


コチッ…コチッ…コチッ…コチ……


表示が一点に集まるように消えて、青い光が溢れ出す。


硝子のように青い光が砕けて、内包された影、4m近い巨体と4本の鎌を持つカマキリの姿が露になる。


The quattuor reaper Lv83


『ギュエェェェー!!』


謎な咆哮が森に轟き、ほぼ同時に開いた口に紫電を迸らせる槍が、赤い何かと一緒に飛び込んだ。


▼△▼△▼△


ソウジがカマキリと対峙するちょっと前具体的には五分ぐらい前。


「あれは二年前です、私がまだ屋敷にいた頃です」


「へぇ~うんうん!すごいね~」


気のない生返事がすぐ近くからした。


気づくとアウラの背後に赤い髪、白を貴重に細部に赤を添えた鎧を来たプレイヤーレンレンが、腰に手を当てて立っていた。


「あ、アウラちゃん。お疲れ!」


「誰ですか?」


(え!?知らないの?)


「え!?僕ショックだよ…まあ、無理もないか僕は覗き見しただけで直接会った訳じゃないしね」


「レンレンさん、話の腰を折らないで貰えます?」


「ねぇ、アウラちゃん?一週間ぐらい前思い出してみてよ?誰が新型ヴェーラを買ってきたんだっけ?」


アウラの目が他人を見る目から排泄物を蔑む目に変わる。


「お、気付いた?僕だよボーク」


「いっそポークのが近いんじゃないですか?」


「僕だって判った途端にキレキレの毒舌だもんね」


「レンさん、来ないんじゃなかったんですか?」


「来ないつもりだったよ?少なくとも手出しはしないつもりだったんだけどソウジ君がこんなメッセを送ってきたから」


レンレンがウインドウを上向きに広げるとそこには


『アウラさん、出番ですよ』


の一言と位置情報のマップが添付されていた。


「…誤送信、とりあえず話は移動しながら…」


私達はレイを戦闘に小走りで移動しながら話す


「僕、レンレンで結構後ろの方じゃん?でアウラちゃんってアだから最初の方じゃん?たぶん僕、最後だったんだろうね。で、一個上に行って一番下にって事じゃない?」


「紛らわしいですね、服も似てますしw」


「嬉しいな~アウラちゃんが自分から合わせてくれるなんて」


『雷よ汝は矢、汝は道、我が雷槍に宿り、我に害為すそれを穿て! インドラの矢!』


「うぇ?」


レイの左側で後ろ向きに歩いていたレンレンの腹にアウラの槍は溢れんばかりの紫電を迸らせてめり込み、そのまま斜め上35°程度の傾斜でレンレンを先端につけたまま林の向こうに飛んでいった。


「ちょっと腹が立ちました。魔力尽きましたけど後悔はないです」


「なんだろう、凄く見覚えのある対応を見た気がします…」


「さ、早いとこ行きましょう。行き先は槍が飛んでった方です」


アウラ達は林を突っ切って進む


「なんで槍が行き先に飛んでったってわかるんですか?」


「自動的に次の優先ターゲットに向かって飛ぶので、今パーティーで唯一戦闘中のソウジ君の相手を狙って飛んでいきます」


『ギュエェェェ『うぎゃぁぁー!待って待って!見てないで助けて!』』


謎な咆哮に続いてレンレンの叫びが聞こえてくる


そして林を抜けると


「おっおぉぉー、ヤバイよ、カマキリの口にジャストミート寸前だよ!」


レンレンはカマキリの顎をつかみ下顎に足を掛けて槍の推進力に耐えていた。


「チッ、BOSS諸共に黒こげになれば良かったのに…」


「アウラちゃん!今舌打ちしたでしょ!MMOで仲間の不幸を祈るのは良くないと思うよ!僕だって中に人が入ったプレイヤーなんだよ、そんな横暴は許されないんだからね」


「いや、中に入ってるの人じゃないだろ!」


ソウジが若干槍の軌道を逸らす。


「あ、神だねw」


逸れた槍は僅かに右下に落ちて、左側の鎌で防がれて極光のような光と限りなく白に近い火花を炸裂させる。


「アチチチチチチッ、熱っぅ!!アウラ君!コレ、やりすぎだよ!」


「ふぅ…なかなかの威力。魔力枯らしたかいがありました。いい見世物でした」


カマキリの左側の上下の鎌を両方とも失っていた。


「さ、倒しますよ!アオイさん!」


「おっけ、先陣は任せて!レイとランは私に合わせて左右から波状攻撃」


「…MMOっぽくなってきましたね」


「りょーかい、中衛は任せて!」


「じゃあ俺とアウラさんはアオイさんに合わせてスイッチングと後方支援と言うことで…」


「僕は~観てる!」


レンレンは少し離れた所にレジャーシートを広げて座り込んだ。


「とりあえず私は…カマキリにデバフを掛けますね」


アウラは駆け出す。


「え、独断先行!?」


アオイさんが急いで駆け出し、右側の鎌を惹き付ける。


アウラは左側から回って、脚に手を掛けてカマキリに乗り、胴と胸間の括れにしがみつく。


「アオイ、スイッチ!」


「ありがとう!」


アオイは腕力に任せて鎌を押し返して下がる。



開いた脇の下にレイが潜り込み


「ふぅっ、サンダークラップ!」


鎚形態の片手剣の鍔部分が赤黒い放電エフェクトを散らせてめり込み、カマキリを仰け反らせる。


「そこっ、ピアッシングショット!」


そしてそこに、鎌と鎌の間の脇に赤い輝線を伸ばした短剣が突き刺さり、更にぐらつかせる。


『これでお前は飛べまい!』


カマキリの背後で紫電が天に昇り、アウラを振り落とそうとカマキリが尻を振り、転げ回る。


回ったときにアウラさんは、背中に槍を逆向きのハの時に槍を突き刺し、操縦レバーのように握り締めて、背中に立っていた。


『このぉ、暴れるな!』


アウラは左側の槍を深く突き刺し前に倒した、つまり腹の中の肉を抉った。血が吹き出す。


「止まらんかい!」


ソウジ君がのたうち回るカマキリの顔を刀で殴り、一番不安定な所を思いっきり殴られたカマキリは横倒しになり…


『うわうわ、ヤダヤダヤダぁ!』


ドシャァ


アウラさんは背中から放り出されて地面に転がった。


「痛い…あ、服が!?」


血でドロドロの上に、泥がついて、所々解れて破れて、もう悲惨な事になっていた。


「お気に入りの服だったのに…」


アウラの目がさっきまでレンレンを見据えていた目に変わる。


「あ、アウラさん?まさか、こんな人が多いところで広域殲滅魔法はちょっと…ダメですからね?」


「狭い範囲に限定しましょう。例え仮想だとしても、お気に入りの服をこんなにされたら私でもキレますよ」


(いや、それ殆ど自分で殺ったのが原因でしょ…)


「アウラさん、ダメですからね?アオイさんたちも居ますし、広まると厄介ですよ?」


「あそこのピクニック神諸共に消し飛ばします」


「ピクニック神って僕のこと!?!?」


「いや、やめましょ?普通にMMO的に倒して帰りましょ?すぐ終わりますから」


アウラの指が印を結び、みたこともない魔法陣を呼び出す。


「なにあの魔法陣…」


「あれは新型VRシステムのヴェーラ専用ショートカットコマンドで、無言で部分的または全体的にアバターとアカウントを変更できるんです」


「むふふ、やっときたね!僕はこう言うの待ってた!仮面が外れる瞬間ってゾクゾクするよね!」


右腕までが白い袖の手に変わり、どこからか黒白の翼を頭に掲げた杖を呼び出す。


それは更に藤色にも水色にも緑にも反射して輝く羽根を散らす。


『我は安寧を望まず、氷結を望まず、其所に光差す事を望む。我は其所を普遍の空と認めず、普遍の闇と認めず、其処の存在を許さない 絶対虚無』


それは一瞬の出来事だった。


レンレンとカマキリを藤色に反射する羽根が囲んで球体となり、次の瞬間にはカマキリとレンレン…いや、その場にあった空気の全てが炸裂し、その場にあった水の全てが失せ、地面は紫の不可侵オブジェクト表示を出した。


最後に残ったのは僅かに抉れた地面と強烈に集まる吹き替えしの風だった。


「んー、大規模魔法サイコー。肩凝りが治るんだよね~」


(フウカは魔力供給かゎによる魔力肩凝りだ)


「ホントにレンレンさんまで殺っちゃった…」


「ソウジ君!こんな凄い人だってなんで隠してたの!無駄に心配して損じゃん!!」


「そうだよ!僕が死ぬ前に種明かししてよね!!」


レンレンは何事もなかったかのようにそこに居て、腰に手を当てて怒ったジェスチャーをしている。


アオイはソウジの肩をガッシリ掴んで揺さぶる。


「そうですよ、どうせ訳知りの関係者ばっかりなんですから『リアルの事を持ち込むのはマナー違反です』とか言わずにさっさと明かせばいいんですよ」


アウラは再び印を結び肩の継ぎ目に例の白い魔法陣を展開する。


「ほら、私ですよ」


白い魔法陣がアウラを通過すると、そこに居たのは白い外套に長槍を背負い、背中まである黒髪を揺らしたフウカだった。


「どうも、ご無沙汰してます。アウラ改めフウカ・アリシアです。皆さん、これから時々来るのでよろしくお願いします」


ランの中で計算機が動き初め、あっという間に理想的な結果を叩き出す。


「イィーやったー!アオ×ソウ、ドラマ化決定ぃー!あははは、やっぱり他の可能性なぞ、存在しない、ホットトッギスー!」


ランは普通に見て、いや贔屓目に見ても狂ったように狂喜乱舞していた。

それをみたレイが(もしかして…友達選んだ方がいいかな…)とか思ったのはここだけの話。

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