There are an another reality…
作者:「今週も遅刻してすいません。お詫びに今回も8000字ちょいで長いです。そして次回もおそらくコラボ回です」
「うぇ~…、洗っても落ちない~」
それは戦闘後の銭湯での出来事。
ゲームだけど一応、男湯と女湯で別れているのだが…私とソウジ君はどちらでもなく混浴に来ていた。
で、銭湯でお湯と桶を借りて服を洗っている。
普通に考えればダメな行動だが、ここの銭湯は冒険者向けなようで浴室での洗濯が許されているのだ。許されているのだが…
「取れない…」
私の服は見事なまでに斑に紅かった。
「ステータスの低い服は汚れも落ちにくいんですよね…」
ソウジ君が赤くなった自分の白コートを絞りながら説明してくれる。
嫌みにしか聞こえなくなってきた。
「あーあ、凝固でガチガチになっちゃってるね」
ニールは服に洗剤を掛けて擦ってくれている。
「これは買い換えたが良いかもね」
レミリオは若干諦めていた。
「そう言えばアウラさんは声からしてリアルにfemaleだよね?混浴で抵抗とかないの?普通にバスタオル一枚になってるけど」
ニールが今さらな事を聞いてくる。
「別に、このアバターはそこそこ美人に作りましたから」
「あー、そう言う考え方?」
「まあ、このゲームはそこまで見られるの気にする人はいないから、安い混浴に人が殺到してるんだよ。気にする人はちょっと高めなあっちのお風呂に入るし、冷水で別に良いって人達は水をストレージに入れて持ってって向こうで開けて被るんだよ」
「なるほどー、ストレージにはそう言う使い方もあるんですね」
私はニールさんと代わってもう一度服を擦る。
「まあ、服はとりあえず替えの物を作っておきますね。後で買いに行きましょう」
「私、お金ないですよ?」
「まあまあ、俺はこの世界では程々お金あるんで立て替えときますよ。それに、アウラさんのアバター作り込まれてて可愛いから服選びも楽しそうです」
「え、ソウジ君選ぶんですか?」
驚きで手に力が入り既に耐久値ギリギリだったシャツがポリゴンに還り消える。
「ん?俺、ファッションとか結構気にしますよ?」
思い返して見るとソウジ君は女体化中結構服装に気を使っていた。
デートの時なんかは完全勝負服みたいな服来ていた。
「男の人ってそう言うの気にしないイメージでした…」
「まあまあ、どうせなら戦闘以外も楽しまなきゃですよ。せっかく美しい世界、美味しい料理、手軽なファッションを疑似体験できるんですから」
「まあ、そうなんですけどね。なんと言うか女々しいと言うか…ね?」
周りから痛い視線が向けられる
「アウラさん、ここは多様性を重んじる場なのでそう言う差別的発言は控えた方が良いですよ。無駄に敵を作りますから」
「これから控えます」
「ま、そのぐらいでどうこう思うほど柔な奴はいないと思うけどさ」
レミリオがガックリしていた。
「いや、ガサツよりは良いと思いますよ!」
周囲でちょっと沈んだ空気になる人がチラホラ居た。
「なんか地雷踏んだかもです…」
『そう言うお前はどうなんだよ?』
「ガサツですよ?部屋の片付けとか研究資料の整理とかめちゃ苦手ですし、正直自分がわかれば良いと思ってます」
「アウラさん、開き直るのはいかがなものかと…」
『お前だってガサツの癖に他人の事を女々しいとかガサツとか言うなよな。先ずは人の振り見て我が振り直せよw』
「私、悪口を言った覚えはありませんよ?ただギャップを感じただけですよ?別に女々しくても良いと思いますが?女々しいとはそもそも女のようだと言う意味ですが、別に男性が雄々しくなければならない理由はありません」
『それでもそれで傷ついた人が居るんだ、謝れ』
「まるでガサツだったり女々しい事が悪口、つまり悪い事のように言ってませんか?それこそジェンダーのバイアスのかかった偏見なんじゃないんですか?」
「アウラさん、ストップ、ストップ!これ以上は事案ですよー」
「女々しかろうとガサツだろうと、胸を張ればいい。卑屈になることはありません。適材適所、できる所で活躍できればそれで良いんですよ」
「アウラさん、ほら行きますよ!これ以上銭湯で議論すると出禁になります!」
『それでも他人に悪口を言って傷つけることは悪い事だろ?』
「ではあなたは、今までの発言で誰一人として傷つけてないんですね?さっき言いましたよね?『人の振り見て我が振り直せよ』って?と言うことはあなたは発言で他人を傷つけることは全くないと言うことですよね?」
「アウラさん!!揚げ足を取るのはやめて!それ煽ってるから!」
「少しは周りを見たらどうですか?」
見てみれば若干名、私に賛同する声が上がっていた。
「他人を貶めて傷つけてたのはホントはどっちなんでしょうね。まあ、私も自分が善人とは思ってませんので、あまりあなたを責めることはできないんですけどね。私もあなたを傷つけた訳ですし」
ソウジ君が額に左手を当て、右手に布を持って歩いてくる。
「アウラさん…残念なお知らせですが出禁になりました」
「え?マジですか?」
「マジです。とりあえずこれ着て!出ますよ」
私は上からスッポリとローブを被せられ、外に出る。
「はぁ、これで格安混浴風呂は使用不能ですね…」
「あはは…ホント、ごめんなさい…」
「まあ良いですけど…ニールさんたちにはただそこらで知り合っただけって言い張って貰ったので出禁は俺とアウラさんだけですから」
「なんか、燃えちゃって」
「燃えたって言うか燃やしてましたね」
「ホント申し訳ない…」
「まあ、次からは別々ですから、くれぐれも女湯で今日みたいな問題を起こさないようにしてくださいね」
「うぅっ善処します…」
「ま、いつまでもその格好って訳にもいきませんし、どっかで一式用意しないとショッピングもままなりませんからね」
「何から何まですいません…」
私はソウジ君に連れられて近くの雑貨屋に入る。
「ゼネル、奥の部屋借りるわ」
ソウジ君はレジ横で眠りこける男性に金の硬貨を10枚程バラバラと投げつけてカウンターの奥に入っていく。
「んっ…?おい、ソウジ。そう言うことは他所でやれ、家は何でも屋でもなければラブホでもない!」
「休憩所だろ?仕方ねぇだろ。服がダメになって銭湯出禁になったんだから」
「銭湯出禁になるのは仕方なくねぇよ。カンガザキ氏も最近遠慮がなくなってきてないか?」
「アオイさんの事は知らんけど、奥の部屋と布系素材一式くれ」
「だって今日も一緒に…じゃない!?カンガザキ氏じゃない…誰!?ソウジ、お前!次から次へと女を乗り換えるつもりか!」
「バカ、ちげぇよ。そもそもアオイさんともそう言う仲じゃない、初心者支援(布教)だよ」
「あ、理解。てお前こんなローブ一枚で女の子に外歩かせたのか?」
「別に隠れてるので問題ないですよ?若干冷えますけど、それもまあ?ゲームで風邪はひきませんしね?」
「アウラさんはこう言う人だよ」
「あ、そう言う感じか…俺はゼネル、"雑貨屋"を営んでいる。立ち寄り休憩所でも情報屋でもないから間違えないでくれよ」
「じゃあ勝手に借りるぞー」
ソウジ君はさっさと奥に入っていった。
「ソウジは気が利かないんじゃないか?あれでも悪いヤツじゃないからさ」
「知ってますよ、一緒に住んでますから」
「!?」
「一緒にお風呂入ったりしましたよ」
「あー、もしかしてリアル彼女?」
「え?いや、私はフィアンセが居ますから。ソウジ君はただの仲間ですよ、あはは」
「んーんん?フィアンセ居るのにそう言う関係なの?」
「フィアンセと仲間は別ですよ」
「そう言う物?そのフィアンセはなんか言わなかったの?」
「んー、まあ?彼女とは毎晩一緒に寝てますし、お風呂も一緒に入りますから、一回ぐらいならまあいいみたいな感じでしたよ?」
「え?彼女??あ、アウラちゃん男の子か!」
「いえ?私は歴とした女だと思いますよ。少なくとも今の体は女ですし」
「うん、複雑な関係なんだね…」
「それよりソウジ君はカンガザキさんと仲がいいんですか?」
「まあ、いいな」
「仲間として挨拶した方が良いですよね?」
「んー、いやそれはしなくていいんじゃないかな?(ややこしくなりそう…)」
「そうですか?」
ゼネルさんはなぜかは知らないが首を激しく縦にふった。
「アウラさん、何色が良いとかありますか?」
「色…とりあえず髪に合わせてピンク基調で」
「じゃあスカートピンクにしときますね、雑ですけどちょっと冷えるんでロングカーデも付けときます」
「ソウジ君はなんだかんだで、面倒見が良いんですよ」
「みたいだな」
「損する人です」
「それ言うか…アウラちゃんは得しそうだな。大物な感じだ」
「むふふ、私は大物ですよ。胸はないですが…」
「くくっ確かにな…」
「ふー、即席でスキル取って作ったんで縫製が荒いかもですが、一時凌ぎって事で」
ソウジ君に白のレースブラウスと刺繍の施されたミニタイトスカートとただ黒い布から切り抜いて表裏合わせただけのロングカーディガンを受け取る。
それを全てストレージに押し込む
「奥使って着が」
そして全てを装備欄に突っ込みローブと入れ換えると若干の発光エフェクトの後に服装が変化する。
「こんな感じですか…ソウジ君、インナーを用意しませんでしたね?」
胸がサラサラの布地と擦れて若干の違和感を覚える。
「スキル不足で…」
「まあ、仕方ないですね。それは後で買います。付き合って貰いますからね?」
「はい、じゃあゼネルまたな」
「また来ます」
私達はゼネルさんのお店を後にした。
「さてとまあ、目につく所から寄っていきましょうか」
「ソウジ君!」
「はい!なんでしょう」
「とりあえず下着屋さん教えてください。あなたもついこの前まで女だったんだからわかるでしょう?」
「は、はい。擦れますね…」
「このまま長時間歩いて買い物とか頭悪いにも程があります。別に見られようとどうでもいいですけど、ノーブラで歩くのは訳が違うんです。銭湯で全裸は普通ですけど道端でノーブラは普通じゃないんですよ」
「あ、はい。なんとなくわかりました…じゃあもう片方の姿で行きつけのお店紹介しますね」
私は胸元を手で押さえながらソウジ君についていく。
何本か辻を曲がって、ちょっと寂れた通りの真ん中にひっそりと佇む雑居ビルに入る。
「ソウジ君、ホントに合ってますか?」
「大丈夫ですよ、俺が保証します」
「ホントに大丈夫かな…」
その三階の扉の前でソウジ君はドアチャイムに手を伸ばす。
『だぁから家はレディース専門だって言ってんだろうが!』
ドアチャイムを押す前にドアが勢いよく開かれる。
それはまあ、容赦も何もなくソウジ君の顔を打った訳で…
「イテテテ、リリィ、元気そうだね」
ドアの向こうに居たのは金髪をサイドポニーに纏め、シャツを腰に巻いて上半身の大部分を露出させた女性だった。
「ここは男子禁制なんだよ!失せな!」
「あ、アウラさん、こちらはリリィ・宮嶋。ひっそりとランジェリー店を経営してるご隠居さんです」
「宮嶋じゃない!」
リリィの手刀がソウジ君のアホ毛を裂く。
「リリィ・アーネストだよ。こいつ連れてさっさと帰りな!」
「冷たいな…ちゃんとメンバーズカードも持ってるのに出禁だなんてさ」
「最初は知らなかっただけだっての!」
「それに下着屋さんが態々手ブラで来た客をそのまま帰すのか」
「手ぶら?土産持ってこんかい!」
「はい、手土産。ゼネルの所で買った布、それに今日は俺じゃなくて、こちら俺がリアルにお世話になってるアウラさんのを買いに来たんだよ」
「ソウジ君、まだ掛かりますか?だんだん手がキツイ…」
「ちょっと、そう言うことはもっと早く言えっての」
「だから言ったよ手ブラだって!」
「ごめんなさいね、ソウジのやつが気が利かないもんで…ささ入って入って」
「お邪魔します…」
私はのそのそと中に入る。
中は予想していたマネキンだらけだったりハンガーラックだらけではなく、小綺麗な居間とベッドとちょっとした台所、申し訳程度に更衣室と思われるカーテンがあるだけだった。
『おっ邪魔しまーす』
『金だけ置いてきな、この財布野郎!』
『いや、俺も新作欲しいし』
『だからここはお前の来る店じゃねぇっての!あたしゃ今から別嬪さんの相手をするんだ、帰った帰った!』
ドアが閉まる音がする。
『いや、金は?』
『金はあんたにツケとくよ!』
『あ、じゃあ月末に払いに来るからそのときに新作見るわ』
『うっせぇ、その辺散歩して出直してこい!』
今度こそドアが閉まったようだ。
「いや、ごめんね。騒がしくて」
「いいですよ、構いません。こちらこそ突然押し掛けてしまって…」
「いいよ、いいよ♪女の子はいつでもウェルカムだから」
『大丈夫よ!全員、私の嫁にするから!』
なんだかケイトの声がダブって聞こえた気がした。
「あ、ホントに手ブラで来たの!?(ソウジのやつ晒ぐらい用意できなかったのか…)じゃあとりあえず付ける下着が要るよね…まあ、金はソウジにツケるしどうせならセットよね?」
「お願いします」
「よろしい!金に糸目は付けなくて良いから、とりあえず急場凌ぎだけど三着用意するね?着てみたいデザインとかあったら言って?縫製スキルは上げてるから」
「とりあえず、わかんないので似合いそうなのお願いします」
「うんうん、アウラちゃんは可愛いからなんでも似合うよ。うん、可愛い子を見てインスピレーションが沸いてきたわ」
リリィは居間の脇に置いてあった籠から何枚か色見本を取り出す
「うーん、一着は黒で、ベージュ系のやつ?んーベージュは似合わないというか面白くないと言うか…」
なぜこう言う人種は人を見るとき、面白い
か面白くないかで判断するのだろうか
◆◇◆◇◆◇
レン:「そりゃ面白いほうが良いに決まってるじゃん」
ソウ:「印象に残るには何よりも意外性が一番重要だよ!」
作者:「面白くないとフウカ君みたいな詰まらない人ばっかりになっちゃうから、書く上でも面白さは大事」
ジン:「いやいや、もっと人間性とか社会性とか見るべき所あるだろ!」
一同:「「「そんなものは、ない!!!」」」
◆◇◆◇◆◇
「あ、マルーンだ!アウラちゃんは赤っぽい茶色が似合う!」
「そうですか?」
「自信持ちなよ、マルーンが似合う人は確りとした自分を持ってる人が多いんだよ」
「確りとした自分…」
「最後は、そうだな~アウラちゃんはピンクも似合うからピンクと黒のにしよっか」
「あの、別のアバター用にもう一着お願いできますか?」
「いいよ、どんなシチュエーションの予定なの?」
「し、シチュエーションですか?」
「だって態々作るってことは夜用しかも勝負用でしょ?ホレホレ、お姉さんになれそめを話してみ?」
「笑わないで下さいよ?」
「うんうん、大丈夫笑ったりしないよ。ニヤニヤはするけど」
「実は私には彼女が居るんです」
リリィさんからニヤつきが消えた。
「まさかの、ソウジの野郎と同じタイプか…」
「いや、私はリアルに女の子ですよ」
「でも彼女って…はっもしかしてユリユリ!?もっと詳しく!私はパッションが欲しいの!」
私はケイトとの馴れ初めを説明しにくい部分を省略して語り始めるのだった。
▼△▼△▼△
一方で追い出されたソウジは…
「こんなところで会うなんて奇遇ですね、兄が探してましたよ?」
少し離れた人通りの疎らな通りで絨毯と若干の風避けとテーブルを広げて、ケトルの中身をマグカップに注いでいた。
「お嬢様こそこんな寒々しい所で珍しいですね」
ランフォートと会っていた。
「お嬢様はやめてください。あなたは退職して、私は家を出ました」
「"つい"ですよ。二人だけになるとついそう呼びたくなっちゃうんですよ」
「ふっ、そうですね。欺瞞に満ちていましたが、確かに穏やかな日々でしたね。ソウジ君はどうしてここに?リリィさんのお店は正体バレて出禁になったんですよね?」
「そうですよ?なので自分は時間を潰す間、露店商です。今日は冷えますし何か暖かい物でもどうです?」
「意味もなく待ってる訳じゃないでしょ?」
「待ち人ですよ、まあここで会ったのも縁です。どうぞ」
ソウジは傍らで暖めていた鍋からマグカップへ中身を注ぐ。
「コーンスープ?」
「やっぱり冬はこれですよね」
「ソウジ君が飲んでるのコーヒーだよね?」
「それは言わないお約束ですよ」
俺はコーヒーをテーブルに戻す。
「でもこうして二人きりって言うのも久々ですね」
「そう…ですね。私がレイと武具店を始めてからはレイかアオイさんと常に一緒だし、そっちも忙しそうでしたし?」
「まあ、お互い様ですよ。そう言えばランさんはなぜここへ?」
「配達の帰りになんとなくですよ。この辺りには私に取って懐かしい人が居るので」
「リリィは元気そうでしたよ。相変わらずみたいです」
「でしょうね、あなた方はいつも私をからかうばっかりでしたね…」
「ちゃんとお世話もしてましたよ?」
「でもそれ以上にからかってたじゃないですか」
「そうかもしれませんね。でも楽しかったですよ。俺があのとき年相応の青春を感じれたのはお嬢様の人徳の成せた業だと思います」
「それはないよ。だってソウジ君はどこ行っても変わらなそうだし♪それと、お嬢様って呼ばないで」
「あはは、"つい"ですよ」
ランは少し湯気の治まったスープに口を付ける。
「昔と変わらない味ですねカスミ」
「今の姿の俺をカスミと呼ぶのは如何なものかと思いますよ」
「"つい"ね?じゃあ、また店にも寄ってね。ソウジ君」
ランは空になったマグカップを残して去っていった。
「さてと、俺もそろそろお迎えに上がりますか」
俺は露店を片付けて通りを戻ることにした。
▼△▼△▼△▼△
「むふふ、できたこれぞリアルアウラちゃんにピッタリのイメージのベビードールだよ!百合に感謝!そして更なる百合に祝福を!」
リリィさんは荒ぶっていた。
私、フウカとケイトのエピソードを話した結果、猛烈に興奮し始めたリリィさんは、私のリアルアバターを見るや否や作業を始めて、あっという間に今彼女がハンガーに掛けて御披露目している下着が出来上がった。
それは黒い縁取りと肌が透けるようなライトグリーンのレースが特徴的なベビードールだった。
「どうかな?私は今日の妄想だけで1ヶ月は生きられそうだよ。ニヒヒ…濡れてきちゃいそう…」
「綺麗…」
「だろ?これでケイトちゃん喜ばしてあげなよ。とりあえず、試着してみな?更衣室使っていいから」
リリィはライトグリーンのそれとその他三つが入った紙袋を私に押し付けて更衣「室」とは名ばかりのカーテンに突っ込んだ。
「は、はい!」
私は逸る気持ちを抑えて身に付ける。
流石と言うべきなレベルでピッタリだった、一度もメジャーで計ってないのに。
キツイ事もなく、ただ緩い訳でもなく完全にピッタリと肌に張り付いていた。
「凄い…」
「ふふふ、感動した?似合ってるよ」
いつの間にか更衣室カーテンの合間からリリィさんが覗いていた。
「凄いです」
「ほらほら、よく見せて?」
私はリリィさんの方を向く。
「そんなに見られるとちょっと恥ずかしい」
「うん、いいね。フウカちゃん可愛いよ。私も彼女欲しいー」
「本名は内緒ですよ?」
「大丈夫、大丈夫、その辺は心得てるよ」
『おっ邪魔しまーす』
「アウラちゃん、早く着替えて。私はあれを外に出すから」
リリィは笑みを浮かべてカーテンを閉めた
私も今着てる下着を脱いで、アバターを切り替えて、着替える。
とりあえずマルーンのやつを身に付けて他は紙袋に戻す。
『あんたはそこで待ってな!』
『何度も同じ手を食わないぞー』
ドアが勢いよく開かれる音がした。
『この、女の敵め!』
米袋を落としたような音がした。
「着替えました…よ?」
「あ、アウラさん似合ってますよダークレッドの下着」
「!?服着てるし乱れてもない…」
「こんのぉ変態野郎!」
「ぐべぇ、ただ感想言っただけなのに…」
「ただ?態々『透視』しといてどの辺がただなのか説明してもらおうか?」
ソウジ君はアホ毛を持ち上げられている。
「あはは、まあ良いじゃないですか…似合ってるんだし」
「お前が見るもんじゃねぇんだよ」
「まあ、代金は月末に払いに来るからよろしくー」
「次は自分のお金で買いに来ます!」
「あー、まあ次もソウジにツケとくよ」
「マジか~アウラさんにはお世話になってるから良いけどさ♪」
私達はリリィさんのお店をあとにした。
「それでと、あと服なんか買いますか?」
「うーん、今のままでも文句はないですけど、足下が寒いんですよ」
「ストッキングもスキル不足で…」
「じゃあ後はストッキングと靴と、防具類ですね」
「防具と槍は任せてください。俺、これでも料理人兼鍛治師なんで」
「まあ色々見てみたいのでとりあえずウインドウショッピングですね」
「だったらこのブロックの反対側の通りですね」
「行きましょう♪」
『私はドレスアーマーが良いと思います!現実じゃ着れませんしカッコいいです!』
『いや、私は邪魔な装飾は落とした動きやすいのが良いと思うね』
『フウカ、白衣にしときなさい?どこの世界でも白衣を着ておけば最強、どこに行っても賢そうに見えますよ』
『白衣なんていつものコートとほぼ一緒じゃないですか!』
『そーだそーだ!』
脳内会議は盛り上がっていた。それぞれ癖のある物を薦めてくれている。
まあ、私は色々見て決める事にするのだが…




