女体化週間終了
作者:「すいません、若干遅刻しました!」
なんだかんだとフウカさんに助けてもらいながら俺は温泉に入れて貰い、少し…ホントに多少だが痛みが和らいで温泉の中なら自分で移動できるようになった。
こうして見ると自分、ここに居てホントに良いのか不安になってくる。
だって…ねぇ?
髪はサバサバ系で未発達な肢体を晒して浅瀬で体を冷やしてるカルミと、金髪のショートヘアーと全身の鍛え上げられた筋肉が美しいツバキさんも一緒に入ってるのだ。
なんと言うかこれを自分は見てしまって大丈夫なのか不安になる。
◆◇◆◇◆◇
作者:「これは実際どうなんでしょうか」
レン:「えぇ…そうだねぇ。うん、まあ当人達が気にしていないのであればセーフだと思うよ」
作者:「専門家の方の意見をお聞きしたいと思います」
受付嬢:「そうですね、あれは女性冒険者にありがちな男性化の結果ですね。日頃から野営や移動するような仕事、他にも街中でも肉体労働系の雑用を行うと男性と全く同じ環境を余儀なくされますからね」
レン:「そうだね、アリシア周辺での男女で分けた更衣室やトイレを完備した飲食店は全体の32%、工事現場等では10%を下回ってて、実際環境の改善を領主が呼び掛けてるみたいだけど、まあ土地とか工事費用とか考えるとなかなか難しいんじゃないかな?」
受付:「それに野営なんかだと、女性も見張りはしますし初心者のパーティーだと、天幕も男女別にするのは難しかったりするので寝るときは雑魚寝ですし、体を拭くときは流石に男女別れるパーティーが多い様ですが、とは言っても他に女性が居れば良いですがいなければ男性に歩哨を行って貰うことになりますし、野外ですからね。過酷な環境が女性冒険者に男性化を強いている一面もありギルドの方でも対策を公募しているのが現状ですね」
作者:「はい、解説ありがとうございました。とまぁ、結論から言えば問題なし!」
◆◇◆◇◆◇
「ソウジ君?」
「ひゃい」
「大丈夫ですか?顔が赤いみたいですけど、のぼせてませんか?」
(フウカさん、顔が近いです…)
病人って訳でもないのにここまでして貰うのは若干気が引けている。
今まで意識した事なかったけど、フウカさんの顔って普通に整ってるよな。
肌も綺麗だし、目だったシミとか陥没毛穴もない。
少し大きめの瞳の奥に萌木色の輝きが見える。
桜色の薄い唇は何の手入れもしてない筈なのに艶やかで、触れたくなる。
フウカさんの指が空中を泳ぎ、何かを絡めてガッシリ掴む。
それと同時に胸が苦しくなる。
まるで心臓を鷲掴みにされたかのよう
「涼さん、出てきて貰いますよ」
『我はただいま…電話に出る事がでませぇぇええ!!」」
急に空間が歪んで、そこから尻尾を掴んで引きずり出される様に涼が出てくる。
出てきた涼は普段の蒼い鱗とは打って変わって赤くなっていた。
「わぇは、我は、全然、じぇんっじぇん、のぼせてなんかありませぇえん」
九本の首がぐでんぐでんになりながら弁明しているがどうみてもおかしい。
「もちろん、お酒なんてただの一滴だって飲んでないで~ありま~す」
「嘘ですね?三番目の頭の口の周りに紫のシミがあります。ケイトのワインですね?」
「いや~誰のかは知らんぞ~?誰のかは知らんが…樽酒があったんじゃ~んで…ヒックっうっかり蓋を踏み抜いて…こんな感じになっちゃっての~」
「それは私のワインですよ」
「え…」
涼が一気に青くなり、フウカさんの笑みが急に冷たさを帯始める
「申し訳ありませんでしたぁ!!」
涼は九本の頭を温泉の岩を割らんばかりの勢いで地面に叩きつけて許しを乞った。
(グレートDOGEZAブレイク!)
一瞬、なんかそんな文字が見えた気がした。
「まあ、あんまり飲まないので気にしてませんが…嘘は感心しませんね」
「えっとですね…さっきのはちょっとした気の迷いと言うか…一時の狂気と言いますか…なんでしょうね…」
「なんでしょうね~…」
なんか、フウカさんが凄く大きく見える。
いや、待て待てそれ以上大きくなるとフウカさんのサンクチュアリ的なのが見えてしまう。
気がつくと視点が涼の高さになっていた。
「あり?」
見ると隣で俺が温泉に沈んでる。
「ん!?」
「あ…ソウジ君!溺れてませんか!!」
「あれ?俺なんで涼の体に?」
「お主、体が意識を失いそうだったから無意識にスワップしたんだろうな」
「す、スワップ?」
「ああ、ゴーレム系とか無生物系の奴がよく使う術でな?意識を自分に紐づいた別の個体や眷族に移して意識の保存を図ったり、本体の延命措置を外部から行ったりするのに使う術だな。我の場合は各頭にそれぞれ人格の偏りはあるが基本的には一人だからな。頭の一つぐらい貸したところでなんともないと思ってたからな」
「って事は俺、危ないんじゃないのか?」
「んー、かもな」
「わー!早く!早く引き揚げてー!!」
「お主、無意識に自分の体の時間を止めただろ?」
「なんで俺が常に自分の体にタイムコントロール掛けてるの知ってんだよ」
「我はお主の契約獣、言わば半身じゃぞ?お主の事で我に解せぬ事はない」
「なら、さっさとこの女体化解いてくれよ」
「解せぬ事はないができるとは言ってないぞ?」
「使えねぇな…」
俺は意識を失って棒のようになった全裸の自分がフウカさんによって引き揚げられるのを見届けた。
▼△▼△▼△▼△
「あー、遅かったね」
談話室に戻ってくるとアデルさんは恐ろしく苦そうな薬湯を、ソフィアさんは麦粥を完成させて待っていた。
「なんとか戻れた…だいぶマシになったけど痛い…」
ソウジ君はなんとか涼さんの首から自分の体にリスワップし、生理痛と格闘していた。
「はい、フウカさん」
ソフィアさんはなぜか私をソファーに座らせる。
「ちょっと多めに出来ちゃって、でも戻ってくるのが以外と早かったのでまだ熱いんです。今のソウジ君は猫舌な雰囲気あるし…暖かい内に余り分をフウカさんに食べて貰いたいな~なんて…」
ソフィアさんは顔を赤らめながらそう言う
「あはは、じゃあお言葉に甘えてお先にいただきます」
ソフィアさんの作った麦粥は、粥と言うにはあまりに西洋風で、紛れもなくこれはRisottoだった。
「美味しい…流石ソフィアさん、料理もできるなんて凄いです」
「そ、そうですか!照れちゃいますぅ…あ、ソウジ君のはそっちの鍋がそうですよ」
わー、耳まで赤くなっちゃって可愛い…
ソフィアさんと結婚できる人は幸せ者だな~
◆◇◆◇◆◇
作者:「あっそ!だったらいっそソフィアちゃんと結婚すれば!!」
ジン:「なぜキレる…それに俺はどちらかと言うとアリアがオススメだぞ!」
レン:「なになに?フウカ君の嫁…婿?…嫁問題?」
ジン:「普通は婿なんじゃないか?」
レン:「僕は~ダメだ、フウカ君の結婚とか想像できないわ。作者は?」
作者:「俺は~うん、とりあえずなんだかんだの末にアオイちゃんと量産型、ノアちゃんとセイがくっつくように頑張る」
ジン:「他作品の人が混じってないか?」
レン:「セイ×ノア?意外だね!全く接点のないカップリングだ!」
◆◇◆◇◆◇
「ホレ、食べたら薬湯飲みな!そんでもってそこに寝な!本当の痛みを教えてあげる」
「アデル姐さんがなんかラスボスみたいなこと言ってる」
ソウジ君はリゾットと薬湯の組み合わせで食べて、それをツバキさんが横から盗み食いしてる。
なんだかんだとツバキさんとソウジ君は仲がいい気がする。
『うん、これなら生理じゃなくても元気になるわ』
『ちょっとツバキさん、それ俺の粥』
『この前芋あげたでしょ?こんだけあるんだからケチケチしないの、女でしょ?』
『まあ、良いですけど…ほっぺた、お弁当ついてますよ』
『え、ホントに?』
うん、楽しそうだ
それを見るカルミはちょっと複雑な面持ち…
「あの粥、私も貰って良いのかな…」
でもなかった。
「良いと思うよ」
「そうですか?じゃあ、お言葉に甘えて、ソフィアさん!私もいただきます!」
カルミはツバキの反対側からグラディウスではなくスプーン片手に突撃していった。
「もっと作れば良かったですね」
「まあ、あれはあれで楽しそうだし、良いんじゃないですか?」
「それもそうですね」
▼△▼△▼△▼△
「はぁ…アリシア、はぁ…広っ…」
セイはなんとかパーティーハウスに辿り着いた。
荷物は最初のケーキの他に幾つか増えていた。
通り様に出会ったセイの彼女"達"に事情を話ながら歩いた所、色々と貢がれていた。
結果最初の三倍近い大荷物でなんとかドアノックを打ち下ろす。
「誰も出ない…」
『───────っいぃぃっ!』
声にならない叫びと言うよりガッツリ痛がるミーナの悲鳴が聞こえてきた。
セイは大半の荷物を持ったまま家の中に駆け込み、貢ぎ物の酒瓶を片手に悲鳴のした部屋、即ち談話室の扉を開け放つ。
「ミーナ!大丈夫…か?」
「あ、セイさん。いらっしゃい、ミーナはまあ見ての通り」
ミーナことソウジはアデルさんに馬乗りにされ、踝の所を親指でグリグリされていた。
「痛いぃ…でもなんか体暖かくなってきたような…」
「あんた猫の癖に冷え性なんだねぇ。生理も辛いわけだ」
「痛い、痛いけど…ちょっと気持ちいいかも…」
脱力したセイは酒瓶を取り落とし、足下に居た涼にコルクと吹き出した発泡酒をぶっかけた。
「なんだ、勘違いして損した…あ、お土産ありますよ?ケーキとか香水とか紅茶の茶葉とか干物とか…」
「ありがとうございます」
「ケーキは私が切り分けます。こういうの得意なんです」
ソフィアさんは物を次々とキッチンに持っていった。
「ミーナにはコレだな、はい痛み止め。コレ飲んで暫く大人しくしてろ」
「セイ…ありがとー」
こういうときのソウジはとんでもなく猫被りな笑顔を見せる。
そしてこの時、セイの中で二つの心理が生まれた
『うん、マジ天使…癒しだわ』
と
『コレって僕、報酬を貰っても良いのかな?』
の二つだ。
「なぁ、いいか?」
「?」
セイは後者の心理を実行に移す
「ミーナ…」
セイの手がうつ伏せで背中を反らした状態のミーナの顎に触れる。
「ん!?どうした?」
セイの顔がミーナの顔に被さり、僅かな沈黙が訪れる。
呆然とするミーナよりそれを見ていた周りの方が驚きと恍惚が混じった顔をしている
「ミーナ、僕はミーナの事が…」
「なんか光ってませんか?」
ミーナは徐々に光り始める
「変身時発光エフェクト!?ヤバい、着替えなきゃ!」
ミーナは立ちあがりブラウスの前とスカートのジッパーとブラのフロントホックを外す。
そして光の炸裂が収まるとミーナはソウジに戻っていた。
「も、戻ったぁー!」
「見た目がちょっとアレだけどね…」
「戻れたからもう何でもいいです。セイ、ありがとう。お前のお陰で戻れたよ!」
ソウジはセイの手を確り握る。
「僕の…一生分の勇気を返せぇー!」
こうしてソウジの女体化週間は終わりを告げた。
「あはは、君たち面白すぎ…うん、楽しかった♪ドッキリ成功!どうだった?」
談話室の入り口からひょっこり顔を出しているレンは左手にドッキリ成功の看板を掲げている。
「許さん♪」
ソウジは何よりも早く銃を構え、銃身が水平を取るのと同時に発砲した。
銃弾は発砲とほぼ同時に着弾し、レンの頭部を跡形もなく吹き飛ばし、頭部を失った体は力なく床に倒れる。
「おー、ナイスショットー(パチパチパチ」
レンはいつの間にか窓際に居た
「スゴーイ、ソウジ君おめでとう。僕を殺せたね~アハハハハ」
レンは笑いながら姿を消した。
「はぁ…まあ、いいか…」
(余談だが、倒れた体はマネキンで頭部は時期外れのスイカだったので皆で美味しく食べました)




