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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
南北東で戦だそうです。
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似た者同士?

はい、遭難生活一日目。

(へ~そうなんですか~さいなんですな~)


「うん、寒い!そして、カイさんが帰ってこない!」


俺はビーチ作ったプチ拠点(プチじゃない)の氷の塔の内側でカイさんの帰りを待っていた。


南の空には薄灰色の雲が浮かび北風かと思うほど冷たく強い風が吹き付けていた。


「この風のなか海を泳ぐのは危ないよな…」


「そうだな」


脇には前鰭で大量の魚の山を抱え込む涼がいて返事を返してくれている。


「俺が一時的に隣の島までの海を止めて迎えに言った方が良いかな?」


「かもな、まあ流石にカイもこの海を泳いで戻っては来ないと思うが…」


「・・・やっぱ見てくるわ、飛ばすけど、いいな?」


「飛ばす?この風の中飛んでくつもりなのか?」


「んなバカなことするわけないだろ?フウカさんならまだしも俺なんかの飛行技術じゃ煽られて違うとこ行っちゃうよ」


俺は刀を槍に変化させる。


『水よ汝は流れ、我が荷をひたすら前へと進め、彼方の者へ届ける橋、荒れ狂う海の上、吹き付ける風の中を切り裂き進め!ストリーム』そら行ってこい!」


俺は槍を魔法の水の流れに載せて飛ばす。


「お主、あの槍が外れたらどうするつもりじゃ?」


「そんときは再召喚だな、というか今から俺が拾いに行くから気にするな」


俺は意識を集中して自分をあの刀の内の疑似空間に引き込み、深い蒼の中に沈んだ。


▼△▼△▼△▼△


時は遡ること数十分前


「ホントに目印あるんだよね?」


「あると思いますけどね」


ライトグリーンの髪の少年は堂々たる佇まいで舵を握り、魔導高速帆船を操縦していた。


「どう、あった?」


「バッチリ見えました、二時の方角に氷の巨人!重雪…アトラス並のサイズになってますね~」


「もしかして目印ってアレぇっ!戦うのは勘弁だよ?」


「大丈夫ですよ。ソウジ君の使い魔ですから」


「じゃあ行くよ?動力用意!」


「アイアイサー!『風よ、汝は力、汝は追い風なり、汝、我らに風の加護を、そして我らに前へ進む活力を、何より我らがマストに強風を! 全速ー前☆進!』


「うわ、待っ…てか何そのノリだけみたいな魔法っ」


魔法が発動して船の背後に薄緑の魔法陣が浮かぶ。

そして、強風が叩きつけられる。

マストがミシミシと悲鳴を上げ、船は水面を跳ねるように滑っていく。


「わぁーっ!!船が空を飛んでるぅ!?」


ノアさんは必死になって舵にしがみついているが、慣性の法則的にも、魔法的にも、落ちることはあり得ない。


同じ速さで進むのに落ちるわけが…


と考え事をしていたらいつの間にか私は空中に取り残されてました。


「あー、そっかそっか…ノアさんは飛べないんでしたね」


私はそう納得しつつ、自分も今は翼を使っていないことを思い出す。


「コレは私落ちるのかな?落ちない気がするけどな~」


まあ行けそうな気がしたから余裕を持って翼を広げ、海面に降り立つ。


「なんかの仙人だか達人だかは波間に揺れる一本の木っ端の上に立てるとか、水面を走れるだとか言うよね。私も今そんな感じなのかな?」


私は高く上がった波を踏んで、勢いをつけて先へと猛スピードで滑っていく船に向かって飛ぶ、そして追い付く。


「ノアさん、何やってるんですか。ちゃんと制御しないと前の島に突っ込みますよ?ほら、ブレーキ!」


「帆船にブレーキなんてないよ!!取りかじ一杯ぃぃ!!」


ノアさんは舵を力一杯グルグル回すがその程度で止まれるような速度ではなく船はグルグル回りながら跳ねた。


何がどうなれば船がこんな風に空を飛ぶのかさっぱりわからないが、現実に起こってしまった事は仕方がないので、私は空中に放り出されたノアさんを確保して岩礁に叩きつけられてバラバラに沈む魔導高速帆船を見送った。


「海路に速度制限儲けた方が良いですね」


「ホントだよ!!死ぬかと思ったんだからね!あんな変な魔法を唱えるから…フウカちゃんは船はもう禁止だよ!!危うくチビる所だったんだから!ホントに…ホント…怖かったぁ…」


腕の中でへなへな脱力していくノアさんはなんとも幼く見えて正直可愛い過ぎて抱き締めたくなりますね。

まあ、抱き締めてるんですけどね…


私はノアさんを抱えたまま上昇して崖を登り、島に降り立つ。


なんと言うか、変な池です。

ドーナツ状の池がいくつもあります。


「何でしょうねコレ」


池はそこまで深くはなく泥水と藻がたまっていて、できれば入りたくない類いだ。


「コレは賢樹の跡だね…安心して?全部枯れ落ちてるから害はないよ」


「賢樹?」


「そう、果物を取りに来た獲物を鋭い棘と鞭のようにしなる蔦と痺れ毒で肥やしにしたり苗床にしたりするこの堀も獲物を弱らせ、獲物を逃がさない為の罠だよ」


「賢い樹なんですね」


私達は賢樹の跡の間を通って先へ進む。


「コレは…シロヅカ?」


土がついて汚れていたが間違いなくシロヅカが地面に刺さっていた。


「カイ!カイに何かあったんだ急いで探さなきゃ」


「そうですね、ミーナも居るはずだからよっぽど大丈夫だと思いますけどね」


「み、ミーナって誰?」


「ミーナはミーナですよ?」


私は後が面白そうだから黙っておくことにした。


◆◇◆◇◆◇


ノア:「レディーに向かって少年とはなんて言い種だぁ!」


作者:「いや?別に俺はどっちかって言うとボーイッシュな方が楽だしいいかなって思うよ?ねぇ!レン君?」


レン:「僕?まぁ、レディーを名乗りたいならとりあえず洗剤のCMで聞きそうな『ゼッペキーン!』をなんとかした方が良いと思うよ?」


ジン:「ゼッペキーンって正しくはテッペキーン!だろ?」


レン:「ジン君、それじゃまるで胸筋ガチムチみたいでレディーに対して失礼でしょ?」


作者:「そーだそーだ!(まあ、筋肉はないよりかはあった方がいいと思うけどさ」


ノア:「それもそうなのかな?」


ジン:「おい、待て?お前、どこを読んで参考にした!」


ノア:「筋トレ頑張ってみようかな…」


◆◇◆◇◆◇

▼△▼△▼△▼△


でその頃カイの方はというと…


小島の真ん中で死んだフリをしていた。


事の顛末をザックリと説明すると…池を見つけついでに果実を見つけ、空腹を極めていたカイはそれが賢樹だと気付いた物の、突撃して果実は入手したものの、蔦の一撃を諸に食らってノックアウト!


って所です。


蔦で弾かれた時にシロヅカは弾き飛ばされて林の向こうへ行ってしまった。


果実は対岸に転がっているが、丸腰で池を超えるのはまずもって不可能。


(さて、どうしようか。ミーナ、助けに来るかな?来て欲しいような来て欲しくないような…)


カイは念のため奥の手として魔力を体の下で溜めて要るが、それを使ってもシロヅカがない今は不利になるだけだとわかりきっていて状況が変わるのを待っていた。


「見つけた!カイー無事ー?じゃなさそうフウカちゃん!」


「んー、厭らしい樹ですね。あの距離じゃカイさんにも攻撃の余波が飛ぶかもしれません、はっきり言って危険です」


私達が攻めあぐねていると、爆発音が響きカイの体が放物線を描く


「カイさん!?」


「フウカちゃん!今!!」


「そうでした」


池から焦げ茶の触手、いや根っこが突き出て杭の柵のようになった。


その向こうでは棘のついた蔦が蠢いて、黄色い花粉がばらまかれている。


「激おこって感じ…どうします?このまま帰りますか?」


森の方をみればそっちも黄色い花粉が濃く漂っていた。


「森も支配下みたいだね」


「アレを殺せば止まると思いますか?」


「止まるのかもね」


「じゃあ、消し飛ばしてから考えよっかな」


私は手に魔力を集中させて緑色の魔法陣を作る。


「えーっと…切断、腐食、風化…池も含めて消し飛ばせるぐらいの範囲に押さえて地面を深くぶち抜く感じで…」


緑色の魔法陣が空気を吸い込み、徐々に高密度の緑色の球体に変化するのも確認しつつ、私は更に神経を集中して魔法を練り上げていく。


「こんな感じかな?」


球体は柵を吸い込む力で抉り取り、空いた穴から樹に向かって行く。


そして、樹の幹に埋まった所で止まる。


「あれ?止まっちゃった?」


「もう、フウカちゃん、確りしてよ…」


そして何秒かの間の後に球が爆ぜる。


溜め込んでた空気とか木片とか土とかを全部解放して、圧倒的な質量の解放は樹の上部下部を共に粉微塵に吹き飛ばし、中心から池の縁までの土壌を丸く削り取るのには十分だった。


触れば崩れてしまう砂の塊とも言えないような塵が降ってくる。


すっかり生気が失せて葉の落ちた林を確認して、私は林を抜ける事にする。


「さぁ、ミーナを回収して帰りましょうか」


「あ、ミーナ忘れてた!」


「あの、さっきからミーナって誰?」


ノアさんだけが状況を飲み込めないまま、私達は枯れ葉を踏みしめて林を抜けた。


▼△▼△▼△▼△


ミーナの方はと言うと…


「わぁぁぁあぁぁぁ!ぶつかるぶつかる!!」


ガツンっ!


島の少し手前の岩に突き刺さった。


「なんとかついた…」


「もうダメかと思ったぞ」


ミーナと涼はやっとの事で岩にへばりついていた。


「さて、ここからどうしようか…もっかい槍投げるか?」


「お主、言いにくいんだが…カイの向かった島はアッチの島だ」


涼は九つの首で持って左の方の遠方に見える島を指差す。


「は、はぁ!?それってつまり無駄足じゃん…」


「だ・か・ら、外れたらどうするんだと言ったんだ」


「まあ、もういいか…拠点に帰って待ってよ…」


「槍投げが投げ槍になったな」


「うるさいよ!」


『探しましたよ』


空を見れば白い4メートルちょいの巨鳥が嵐の風の中をなんでもないように飛んでいた。


「リン、ありがと」


「いえいえ、お礼には及びませんよ。それと今日は鯨肉でステーキがいいです」


「うん、リンちゃんはフウカさんに似てきたね」


「いえ、まだまだですよ」 


いや、血は繋がってないはずなのになんでこんなに似てきてるんだろ…


ミーナは刀を腰に戻して、リンの脚に捕まって拠点へと戻った。


▼△▼△▼△▼△


「どうも初めまして今日、カイ君と一緒に遭難しちゃったミーナでーす。よろしくお願いします。ノア君」


リンに連れられて帰ってきたミーナはノアさんを見るなり駆け寄ってって全力JKモードで挨拶、終わりに頭をポンポンした。


「ミーナちゃんね、僕はコレでも一応女の子なんだよね…訂正してくれるかな?」


「そっかそっか、ノア君は女の子だったのか~でも、第二次性徴来るまでは男の子も女の子も男の娘もさして変わんないからね~見分けつかなくてごめんね?ノアちゃん」


ミーナは再び頭を撫で撫で…


「それで?どうしてこうなったのか説明してもらいましょうか?」


ノアはかなりお怒りだ。


「えーカイくぅん、手伝って?」


「ん?あ、はい」


「そもそも貴女、カイとどういう関係何ですか!」


「え?私はそうだな~友達以上恋人未満のいけない関係だよ」


一体どんな想像をしたのかノアの顔が赤くなる。


「だってね?人工呼吸してもらったし?」


「カイ、したの!?」


「してないですよ!?」


「まあまあ、人工呼吸ぐらいで大袈裟な…」


「必死に呼び掛けてくれましたよ?」


「それは…した。いやでもそのぐらい別に良いでしょ!?」


「カイ君、すごい優しくてね」


「カイ、女の子だからって誰彼構わず優しくしたらダメだった何度も言ってるでしょ!」


「…すいません」


「カイ君は悪くありません。甘えた私が悪いんです。私はカイ君みたいな女の子に優しい人は好きだよ?」


カイのミーナを見る目が段々変わってきている。

何て言うか女神でも見てるような目をしてる。

アレ?カイさん、若干攻略されてきてない?

それはたぶんマズイよね?


「ミーナ、そろそろ種明かししたら?十分遊んだでしょ?」


「て言いますけどフウカさん、したくてもできないからこの格好で居るんですよ?」


「別に口頭で良いじゃないですか」


「それもそうなんですけど…」


「ダメー、ミーナさんは今夜はリンの占有なのー」


え?


「ミーナさん?コレはまだお話を聞かなきゃいけませんね」


「え?待ってリンちゃん。それは晩御飯の話だよね!?」


リンは首を傾げてニコニコ笑っている。


「リンちゃん!?」


「さて、説明してもらおうかな?ミーナたゃん?」


「ちゃんと、わかるようにお願いしますね」


ただ静かに笑みを浮かべるリンちゃんはフウカさんと言うよりケイトさんに似ているような気がしました。

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