遭難ナウ
作者:「今回は更新が遅れて申し訳ありませんでした」
レン:「何がどうしてこうなったのかな?僕の目を見て読者の皆さんに事情を説明してごらん?」
作者:「いや、読者の皆さんの方見て事情を説明するよ。単純な話、ネタが思い付かなかったんです。困ったことに鯨食べたことないのに鯨肉の題材にしちゃったし、日常編のやることも思い付かないし、みんな単独行動だからセリフで字数稼げないしで、こういう回はキャラも作者も大変なんです」
ジン:「お前、鯨食べたことないのに鯨書こうとしてたのか!?」
作者:「一生に一度は食べてみたいところ。と言うことで来週は今週より楽になるはずなので時間通りの更新を目指して頑張ります」
「鯨ってどんな味なんでしょうね!哺乳類だから牛寄りかな?でも海生哺乳類だから脂肪が厚いとしたら豚寄りなのかな?蛇や蛙は鶏肉っぽいらしいし鳥かもしれないな~」
フウカは道を占領してることを横に置いたまま鯨の味に思いを馳せている。
「うん、楽しみです!早いとこカイさん捕まえて捌いて貰ってソウジ君に保存加工して貰わないとですね」
ギルドの前の道に開けた理由は単純にそこが若干広くて人が少なかったからだ。
トランクにしまうにしても一回地面に置きたいとエルが言うので仕方なくというやつだ。
鯨も衰弱してはいるがまだ生きている。
弱々しく尻尾を振り、地面を叩く。
しかし陸に揚げられた鯨は無力だった。
そよ巨大なヒレでもその体を持ち上げることは能わず、その巨大な尾をいくら振ったところでその巨体が前に進むことは微塵もなかった。
「ふー、疲れた…まさか鮮度を保つために生きたまま半日も持って飛ぶことになるとは…」
「まあ、エルさんなら余裕ですよね?」
私は地面に下りて体を伸ばして丸くなるエルさんを見て言う
「ま、まあな。我は大空の支配者だからな!わははは…」
「ですよね~」
私は念のためノアさんを呼びに行くと翔ていったリンを見送り、地面でトランクを開ける。
「うーん、ちょっとぐらいなら生でも大丈夫かな?」
「止めといた方が身のためだぞ、質の悪い寄生虫がいないとも限らん。大型生物の基本だ」
「エルさん達はどうやって食べるんですか?」
「うむ、我らは主に燻製だな。元々山岳地帯に住む我々に取って温泉や火口は神聖なものだが、同時に生活の要なんじゃ。幸い等分に別けるのには困らんから、それを小さな噴火口の溶岩に大量の木をくべて炊いた煙で燻製にするんだ」
「へー、体格も相まってダイナミックな燻製ですね」
「ただ、いつも鯨が取れるとは限らんからな?普段は猪とか魔物とか…象なんかを食べたりなする」
「壱なる門では食料は少なそうですけどどうやって調達してるんですか?」
「我らは他の世界への悪影響を懸念されて閉じ込められたんじゃ、我にとって封印が解けた今あの場から抜け出して必要な物を狩る程度造作もない事だ」
「なるほど…」
そんな話をしているとバタバタとノアさんがギルドから出てきた。
「フウカちゃーん?それは何かな?」
中で何があったのかライトグリーンの髪はかなり乱れていて服も若干乱れている。
「これは鯨ですよ?今回の成果です。で、ちょっとこれをトランクにしまうので場所を借りますね。あと、カイさんとソウジ君知りませんか?酷いもんですよ?漁の途中で二人してさっさと引き返しちゃうんですから」
「それはこっちのセリフだよ!君たちはもう少し自分達の立場とか探すこっちの身も考えてよ!もう!セレナはうるさいし」
「もしかしてカイさんたち、戻ってないんですか?」
「そうだよ!だから僕は書類と圧力の板挟みにされてるんだよ~」
ノアさんは乱れた頭を掻き毟って、ギルドの入り口から距離を取る。
「マスター…シャツを引き裂くなんて酷いじゃないですか~」
セレナさんは外套の前を固く閉ざして出てきた。
「それで手も足もでないでしょ!ほら、セレナは書類!僕は年の功と権力でカイを探してくるから」
「そうですか、頑張ってください。あ、見つかったら家まで来るように言っておいて貰えます?鯨肉のお裾分けがあるので」
「君も一緒に来るの!」
私はノアさんにコートの裾を引っ張られて連行されることになった。
自分より何回りも年上でも流石に自分より背の小さい子を引き倒すのは忍びなかったためおとなしく引っ張られる事にした。
そして程なく鯨をトランクにしまい終えたエルとリンが追ってくる。
「あ、ノアさん、ちょっと電話なので少し待ってもらって良いですか?」
私はそう言いながらスマートフォンを耳に当てる。
『もしもし?フウカさん?俺ですソウジです』
「大丈夫、画面に通知出てますから」
『それもそうですね!で突然なんですけど、遭難したので迎えに来てもらっても良いですか?』
「そうなんですか~それは困っちゃいますね~」
『いや、ホントに冗談じゃなくて!』
「はい、おかげで私はノアさんに捕まって小型高速艇で捜索に付き合わされる事になりましたとも」
『じゃあ、後は任せても大丈夫ですか?』
「なんか目印とかありませんか?」
『海が見えます』
「はい、そうですか。では何か遠くからでも見えるもので分かりやすい目印を用意しておいて下さい」
私はさっさと非生産的な会話を打ち切るべくスマホを耳もとから離した。
「さて、どうやって探したもんかな。エルさん、ソウジ君の神具の気配って辿れますか?」
「んー、ざっくりした距離と方角ならなんとなくな?」
「じゃあ、その手で行きましょうか」
私は杖を片手にノアさんが手配した高速艇に乗り込んだ。
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で!俺は何をしているかと言うと…
「何か目印ねぇ…浜にSOSって書いても海から探しに来るんじゃ見つからないだろうな…なー涼なんか解りやすくて目立つ物無いかな?」
「我も程々巨体で目立つ方だと思うが、遭難中の目印としては弱いしな…お主が氷の魔法で何か塔でも作ったら良いんじゃないか?」
「それもそうか!じゃあ俺は目印作るから、涼は海行ってさ?なんか食料調達してきてくれ!」
「お主のトランクの中に入ってる食料で十分じゃないか?」
「まあまあ、南の島で取れ立ての魚で美味な料理を野外で食べる。良いと思わないか?」
「思う。行ってくる、留守は任せたぞー」
涼は足早、いや鰭早に海に入っていき、そこからはよりいっそう早く沖へ出ていった。
「じゃあ俺は?俺?じゃないかこう言うときはやっぱり私だな!…目印作るか!重雪、手伝ってくれ」
私はトランクから引っ掴んで取り出した重雪に巨大化するように言う
重雪はポージングと共に大きくなって行きあっという間に身長50mの巨人になる。
「そう言えばお前結構目立つタイプだったな…じゃあしばらくそのまま適当に過ごしててくれ」
俺は早くも自分のやることを見失ってしまった。
「うーん、拠点でも作るか」
周りを見渡す。
見渡す限り砂と岩とハマエンドウしかない島だ、木材には期待できない。
「ふむ、木材は向こうから持ってくるか…ついでに他に必要な物も向こうから持ってくれば良いかな?」
俺は早速継なる門を取り出し開き、向こうの小屋に飛ぶ。
いつも通りゴチャついた森の小屋だ。
森が近いから木材には事欠かない。
それにこっちの世界ではそう言ったものをこさえるのはそんなに難しい事じゃない。
まあ、それに沿ったスキルを取得していればだけどさ。
でも、プレイヤーには不死の特権があるからレベル上げにもスキル稼ぎにも有利だ。
と言うことで俺は採取系スキルは色々取ってるから、こうして刀を振るだけで木材が入手できて、ウインドウのなかで少し操作するだけで木材の加工もできる。
さ、必要な物は揃った。
後は人手が欲しいか…
こっちからも少し配下を連れてくかな!
「銀次郎ー銀次郎ーギーンジロー」
森からヒョッコリ銀色の全身鎧が出てくる。
配下の魔物の一体、銀次郎だ。
「向こうで拠点作りを手伝ってくれ」
無言でグーサインを示す。
「お前にしても重雪にしても、無言って言うのはちょっと味気ないよな…」
銀次郎は肩を竦める。
「また気が向いたら声帯用意するわ」
俺は再び継なる門で移動する。
やることは割りと山積みかもしれない。
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で、一方でカイの方はと言うと隣の島で水を探して彷徨っていた。
「木が生えてるから水源があると思うんだけどな~」
隣の島は木が鬱蒼と生い茂っていて地面も若干しっとりしているから水脈か池かがあるんじゃないかと踏んで森のなかを探索している。
そしてガサガサという葉の擦れる音と共に木の影からゴブリンが出てくる。
「ゴブリンが生きられるってことはつまり、飲み水があるわけだ」
カイは青い魔力の刃を伸ばしたシロヅカで出てきた血色の悪いソレを頭から叩き切る。
「さてと、ついでに言うと陸が近いかもな。魔物発生のメカニズムは解明されてないけど、火のない所に煙は立たない。ゴブリンのこれない所にゴブリンは湧かないんだよな」
カイは森の探索を続ける。
「うーん、そう言えば朝からなにも食べてないんだよな…腹へった」
まあ、腹へったと言ってもそうそう食料と巡り会えるほど世の中甘くなく、鬱蒼と茂る森はどこまでも深緑で果実とかキノコとかそう言う恵みの類いは全く見つからない。
これだけ常緑広葉樹があるんだから少しぐらい食べられる果実があっても良いと思うんだけどな…
しかし、茂みから出てくるのはゴブリンばかりだ。
「ゴブリンの肉が食えたら世界の食糧難は全部解消するんだけどな~」
カイはシロヅカを振るってゴブリンを次々に肉塊に変える
「おっ、花だ!」
それは六枚の花びらをつけた赤い花だ。
流石のカイも赤い花をその場で取って食いはしないが、花があるなら即ち実が出来ていてもおかしくない。
「おっしゃ、どうせ指針になる物もないんだ花のある方を探すか!」
カイは花がより多く咲く方へと進んでいく。
花の数は次第に増えていく。
「んー、実がない。時期が早いのか?」
カイは必死に探して歩いた。
しかし花はあれども実は見つからずに森の外の光が漏れてくるほど浅いところに来たようだ。
「無駄足だったか?まあ、そもそもダメ元だしな」
カイはそのままズンズン進んで森を抜ける。
そして、程々大きな池とその中央の小島に生えた木に赤い果実がなっているのを見つけるのでした。




