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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
南北東で戦だそうです。
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鯨捕りが…

「あ、お久しぶりです。って程でもないですね。カイさん」


「だっ…誰?」


復興途中のエネシスの港に集まった、フウカとソウジとカイ…


カイの第一声はその一言だった。


「えー、忘れちゃったの?わ・た・し!だよ?」


ソウジは全力で持って可愛い系JK、雲竜寺 霞を演じる。


「ほ、ホントに申し訳ありません。覚えがなくて…」


「あんまりからかうと可哀想ですよ?」


「それもそうですね…涼、状況説明!」


「我が主は竜使いが荒い!」


ソウジの腰の刀が光り、涼が飛び出してくる。


「まあ、見ての通り色々あって女になったがソウジだ。特別女扱いはしなくていいから適当に合わせてやってくれ」


「あ、あぁ…えっと、ソウジ君…でいいのかな?」


「まあ、なんでも良いですよ。ソウジでも霞でも…あ、アオイちゃんだけは止してくださいよ?知り合いと名前が被るので」


「じゃあアオちゃん?ちゃんって感じじゃないか…アオさん?違うな…」


「面倒なのでとりあえずミーナって呼んどきましょう」


「み、ミーナ?」


「水無月だからミーナ安直ですが結構しっくり来ます」


「じゃあミーナと言うことで、鯨捕りでしたっけ?鯨を狩るのは初めてですが、頑張りましょう!」


「因みに鯨は魔物に入るんですか?それとも動物ですか?」


「神獣です。と言ってもそう言う伝承もあると言うだけで区分的には殆ど魔物と同じです。強大な魔力で海を操り、大波を作ります」


「へ、へぇ…涼、鯨って強いのか?」


「ん?まあそもそもが巨体で皮下脂肪も厚いからな、並みの人間じゃ歯が立たんかもな。でも、ここにはフウカさんが居るじゃろ?過去に鯨に勝ち越した我、鯨を巣に持ち帰って食べるとされる鳥、アトラスを粉微塵にしたフウカさん。はっ、お前の出番はないだろうなw」


「いや、俺だって斬撃飛ばしたり海固めたりして戦えるって」


「平泳ぎの息継ぎができないのにか?」


「それはまた別の話で…と言うか契約にその辺引っ張られたりしないのかよ…」


「んー、まあ波がなければ息継ぎができる程度にはなるな。あと水中で不自由なく目を開けられるようになる!」


「ショボ…」


「ショボとはなんだ!そもそもお前の方がショボいのになんだその言い種は!」


「俺と契約してそっちは時間が操れるようになってるのに俺は水中で不自由なく目を開けられるとか…ねぇ?フウカさん?」


「私、実は術が使えるようになりました!」


「えっと、魔法じゃなくてですか?」


「はい、主に身体強化の術ですね。視力、聴力、空間把握能力と筋力の向上が感覚で行えます。あとは暗視の術ですね」


「な、なんか凄い恩恵得てそうだけど?」


涼は九つの首を傾げる。


「お主も努力すれば術は使えるようになるぞ」


「まあ、内容見てから考えるわ。じゃあ、行こうか!夕方までには帰ってくるから…向こうで狩れる時間はそんなに長くないけど頑張ろっか」


で、巨大化した涼に乗る俺とカイ、エルとリンと編隊飛行のフウカさんの二手に別れて空と海から海生哺乳類を捜索する事になり、出港から早くも一時間。


冬の海風と水飛沫が顔に当たってめっちゃ寒い。


暖流は暖かいんじゃなかったのか?


◆◇◆◇◆◇


作者:「え?なに言ってるの?海は海だよ?そんなお湯みたいに暖かい訳がないじゃん。海底火山の付近じゃあるまし」


レン:「僕が熱湯の海流創ったげよっか?」


ジン:「まあ、冬でも氷点下にはならない程度、だいたい10~20度ぐらいだからな風に当たりながら被ったら当然冷えるわな」


◆◇◆◇◆◇


「暖流は当然、暖かい。お陰でこの辺は雪が積もらない」


「あ…そうですか」


「海が荒れてきたこの先に鯨がいるかもしれない。ミーナは大丈夫か?」


「なんとか…でも寒い。おかしい、こんなに寒いはずがないんだけど…」


俺はコートを着た上でぶっちゃけ寒くて仕方なかった。


「まあ、その格好じゃね…」


そして残念な事に俺の持っている女物のボトムスはだいたいミニスカートだった。


「この際だ男物でもいいか…」


俺は男物のズボンを適当にトランクから引摺り出してミニスカートの上から履いてベルトを絞める。


「もしかしてアレかな?エアコンの風で寒く感じる女性アルアルかな…女性の方が寒さを感じやすいって言うし…」


「そうなんですか?家の姉さんは冬でも問答無用で釣りとか素潜りしてましたよ?」


「冒険者の面々は筋肉量が多いから例外、でも女の体の方が男より脂肪が多くて断熱効果高いから冷えるのに時間は掛かるのかもな…」


そんな会話をしている内に海はドンドン荒れて行き、空も黒い雲が蓋をする。


そして時折光る天上と轟く雷鳴、皮膚を蜂の巣にするような勢いで打ち付ける豪雨。


いつの間にか嵐の中に迷いこんでしまったらしい。


涼も停滞するのに精一杯で波間で揺れている。


「涼さん、大丈夫か!?溺れてないよな?」


「バカ言え、我が水場で溺れるなどあり得ん…」


「うぇぇ…俺ちょっともうムリ…」


「お主!?背中で吐くのは止してくれぇ」


いつの間にかフウカさんたちは見えなくなっていて、俺は涼の尻尾の方まで這ってって、荒れ狂う波間に黄土色をぶちまけた。


そして間もなく


「おいおいおい!アレマズイヤツだろ!」


「デカイ波が来るぞ!掴まっとれよ~」


「うぇ?」


尻尾の方に来ていた俺はツルツルした鱗の涼の背中に掴める物を探したが見当たらず諦めて尻尾にしがみついたが、ここにサーファーが居たら「100年に一度のビッグウェーブ」と形容しそうな波の前には匙でしかなく、まんま富嶽三十八景な波に涼もろともに呑み込まれて…


▼△▼△▼△▼△


俺は夢を見ていた俺はどっかの遊園地みたいな所の波のできるプールで必死に平泳ぎしている。

でも一向に前に進まず、プールのはずなのに底が見えなくてドンドン沈んでくんだ。


でも、途中で誰かの手が俺を掴んで海面まで引っ張り上げるんだ。


「…ーナ!ミーナ!起きてください!」


(ミーナって誰だよ…あぁ、ミーナは俺か)


「声聞こえてる?俺の事わかりますかぁ?聞こえてたら右手挙げて」


「んっーどれだけ寝てた?」


俺は脳ミソをフル回転させる前に伸びをして軽くストレッチして体を解す。


よく生きてた物だ、このクソ寒い海で溺れて無人島に流れ着いて、着のみ着のまま助かってる。奇跡だな


「うん、無事っぽそうだ。ここはまあ、見ての通り無人島かな」


「なんだろうじゃっかん酸っぱい臭いがする気がする」


「まあまあ、それは海で洗えば取れるから良いとして…どうやって帰ろうか。溺れた時に意識とんで帰り道わかんなくなっちゃってさ」


「ガチな遭難…まあ、食料はあるし…でも水がないか…」


空は見事に晴れていて、若干空気が冷たいが我慢できない程じゃない。

風はほぼなし、他にも島っぽいのが幾つかある。


「どうしようか…とりあえず水探しか?」


「なかったよ。海水がたまった池はあったけどこの島は殆ど海水みたい、表面の草とかも砂漠とかで見かけるのに似てるし、少ない水でも生きられるような草って感じ?」


「なるほどな~そう言えば涼は?」


「吐いたら腹へったって魚食べに行ったよ」


「溺れてんじゃねぇか…」


「いや、それは違うよ涼さんが居なかったら俺らは助かってない訳だし?」


「もしかして涼がここまで引っ張り上げてくれたのか…」


「まあ、そんな所だよ」


カイは手に持った白い柄から魔力の剣を作り銛にする。


なにその便利武器~って思ったがとりあえずお口チャック


「はぁ、とりあえず俺はこの臭いを落として、着替えて、フウカさんに電話して迎えに来てもらうか…」


「あー、例の魔法道具ですね。じゃあ俺は近くの島に水がないか見に行ってきますね」


カイはそう言うとカイは海に入っていき、恐らく最寄りの島まで1kmはあるだろう間を泳いでいってしまった。


「ボート持ってきてるんだけどな…」


俺はカイを見送って、以前使った簡易のシャワールームをトランクから引っ張り出す。


「あー、夏だったら別に全裸でもいいんだけどな~」


着ていた物、海水に浸かった物を魔法で作った水の桶の中に放り込み、自分もシャワーで塩分をまとめて洗い流す。


「はぁ、飲めないのがたまに傷だよな…」


いや、正確には飲めないことはない。

飲むだけなら飲める。

ただ飲んだあと体調崩すのがわかっている。

だからこの世界の人々は例え魔法で水が作れても、井戸を掘り、水嚢に水を入れて出かける。


体調を崩すのは魔力濃度が高いからだとか、組成が若干異なるからだとか、考えられるけどハッキリした事は言えない。

恐らく両方だろうなんだけどさ…


「今度から水もトランクに居れとかなきゃな~」


俺は軽く体を拭いてから替えの服を着る。


コートだけは一着しかないから他の服と一緒に干しておく。


「髪も軽く縛っとくか邪魔だし」


適当にまとめて、俺が向こうにいるときに流行ったくるりんぱ?とか言うそれして、適当に二つに割って、触角と合わせてロープみたいによじって、丸けていつの間にか追加されてたヘアピンで止めた。


ヘアアレンジはあんまし研究してないからレパートリーは殆どない。


一番得意で見た目映えるのがこれだっただけだ。


「うーん、電話するか…」


俺はコートのポケットに入れてたのでガッツリ水没してて、動くことを祈るばかりなスマホを手に取った。


▼△▼△▼△▼△


一方でエネシスではギルドマスターの部屋が騒がしかった。


と言うかノアさんが喚いていた。


「良いから、君たちは僕の代わりに書類を片付けといてよ!僕はカイを探しに行かなきゃいけないの!!」


ノアの手にはギルド所有の小型高速艇の貸与に関する書類が握られており、職権を使ってカイを探しに行こうとしているのは見え見えだった。


一方でセレナはノアを抱えて執務机に戻し書類を取り上げる。


「捜索隊は私達の方で編成して出しますから、マスターはご自分のお仕事をなさってください」


「でもアリシア領主からの依頼もあるしぃ、僕が直々に行くべきだと思うんだよ。そう、カイには小言の一つも言ってやらないと」


「アリシア領主って言うかアリシアの領主の娘のケイト様からの圧力ですから、屈しないで下さい」


「いや、それにミゼリアにもフウカちゃんが重要機密を持ってるから他国にせしめられる前に助けてくるように言われてるしぃ!」


ノアは背後の窓を開け放ち、机の引き出しから新たに書類を引っ張り出して窓枠に足を掛ける


「大丈夫ですよ。フウカさんは竜殺しの英雄ですよ、そこらの一般兵や海兵隊の一個や二個には屈しませんから!」


ノアは空を見て窓から飛び出るのを躊躇した。


なんか前にもあったような光景だが、空からゆっくりと巨大な海産物が降りてきていて、もっと大きな物が町に影を落としていた。

作者:「鯨ってどんな味なんだろ…」


レン:「食べたことないのに鯨を題材にしたの!?」


ジン:「アホだな~」

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