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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
南北東で戦だそうです。
202/260

こっちは天才?

「さっ、フウカ君はそこら辺においといて!回すよ~」


レンはガラポンの取っ手を掴み左に勢いよく回して…勢いよく右に回す。


「あ…」


そして出てきた玉は勢い良く飛んで…


そろそろ自分の番が来ないかとそわそわしながらガラポンを見に来たソウジの眉間を―──穿つ!


「あはは、ごめんごめん。これじゃ玉じゃなくて弾だね~」


「いってぇな、頭割れるかと思っただろ」


「玉は無傷だね」


地面に転がった玉は傷一つついてなかった。


「当たり前だ!俺が作ったんだぞ?」


「そっかそっか、まあらそうかっかせず…ポケットティッシュあげるからさ」


「単なるハズレの賞品じゃないか!」


地面に転がってる玉は白かった。


▼△▼△▼△▼△


「で?結局次は誰なんですか?」


ユリはガラポン周りの諸々の所に行った。


「いや、それがですね…」


ソウジの持つ玉には名前が刻まれていた。


「カルミ、ソウジ…またカルミ!?」


『えぇ!?また私ぃー!!』


遠くでぐったり倒れこんでたカルミが飛び起きた。


「しかも、よりによって相手は俺ですよ。ちょっと可哀想になりませんか?」


ソウジは哀れむような目でカルミを見る。


「でも、まあなくはない展開かもだし…いい経験になるかもね。連続で強敵と戦うことになるとかね」


ユリの発言に対してレンは…


「あー、姉弟子ってこんな感じか…夢がないよね?」


「うん…姉弟子に~為だと言われて~やるものの~スパルタ過ぎて~ついていけない~って感じ?」


「短歌って言うより川柳だね」


「確かに!季語入ってないしね!」


レンとリンが口々に言う。


「まあ、やりますか…」


ソウジは壁に立て掛けてあった刀をいつの間にか手にしている。


「えー、君は鬼だね!息絶え絶えの女の子それも年下相手に彼!刀使うんだって!」


レンが喚くがソウジは無視する


「涼、出てこい。杖と短剣は置いてく、涼持っとけ」


ソウジはコートの中から短剣と杖を引摺り出して湧いて出た爬虫類にそれを放る。


「お主…手加減しろよ?」


涼は九つの頭の二つで杖と短剣を咥えて残り七つで喋る。


「するする、解放も開封も使うつもりがないからお前を引き剥がしたんだし、魔法も使わないつもりだから杖も渡したんだよ水晶級は全部トランクの中な?」


「純粋な剣技だけって言うけど…君の刀は支給品の頃からチート装備だよ?」


制作者が何かぬかしている。


「いや峰しか使わねぇよ!」


「ホントかなぁ?」


次の瞬間には刀がレンの首から寸での所で鎌の柄と交わっている。


「君の相手は僕じゃないでしょ?別に僕は構わないけどさ」


「チッ、だったら黙っとけ」


「おー、怖い怖い…漏らしちゃいそうだわ~」


ソウジは刀を鞘に戻す。


「なんか、空気悪くなったけど…楽しもうか!」


そして次の瞬間には広場の真ん中に移動していた。


「・・・はい!よろしくお願いします!!」


カルミは今回も大きな声で挨拶。


「じゃあ、とりあえず小手調べ…」


ソウジは一気に距離を詰め


「一式一連菊一文字」


横に一閃。


グラディウスを薙いだ峰は重厚な音を響かせる。


「速いっ!?」


「ただの抜き打ちですよ。何合か交えてみますか…」


そう言った直後、ソウジは斬れば致命傷になる所を狙って刀を振るう。


それらはさっきほどの速度はなく、カルミのグラディウスによって防がれる。


首を狙えば防ぎ、胴、胸、腕…ありとあらゆる箇所を狙う剣閃に対して、光るグラディウスの輝きが対抗する。


そして、反撃の狼煙の代わりとばかりに白く輝いたグラディウスから魔力の斬撃が打ち出され、いなされて空に消える。


それを期にカルミは距離を取る。


「はぁ、はぁ、まだまだ!」


カルミは肩で息をしながらもグラディウスを構えている。


「うーん、だいたいわかった。流石はツバキさんの所の新人って感じ。よく鍛えられてる、並みの冒険者相手ならそこそこ戦えそうだし…もう少し本気を出してもいいかな?」


カルミの肩が跳ねるのが見てとれ、それを確認してからソウジは構えを変える。


正眼から霞に構え直す。


『あっ!?その構えはまさか、曼珠沙華』


「一式三巛 泳鯉突撃」


突きから放たれる魔力は三つに分裂して複雑な形を取る、そう鯉の形を。


カルミは鯉にグラディウスを振り下ろすが、鯉は体を捩って逃げ、頭突き。


「いたっ、痛いから、何この魚!魔力で生み出された虚像にしては変!」


カルミは頭突きした直後の鯉を柄で殴って砕いた。


「ソウジさんは…」


既に姿がなかった。


『一式三十六撃 ハミングバーヅ』


呟く声が、四方を建物に囲まれた広場で反響し、カルミの視界の端に白いコートが翻る。


カルミは反射的にコートに向かって斬撃を叩きつけていた。


そこに肉ではなく魔力のハチドリが詰まっているのに気づいたのはグラディウスを振り下ろした後だった。


「搦め手を使ってすいません。しかし、あなたの反応速度は脅威です。より過激な技を使わずに勝利するにはこうでもするしかなかったので」


カルミの首にそっと刀の峰が触れる。


グラディウスが叩き落としたコートの下から魔力の鳥が溢れだしソウジとカルミの周りを暫く回って消えてった。


「やっぱり強いや。魔法と刀縛って殺しはご法度、戦術の幅が狭いのなんの…」


「あの、さっきの魚とか鳥とか教えてください!」


「あー、あの技?原理は簡単だよ。作りたい形を確りイメージして剣を振るだけ。俺は固定の型があって、イメージが型に染み付いてるから自然とその型を使っただけで実際はどんな振り方でもできるよ。大事なのはイメージ、明確に詳細にそれを思い浮かべることが大事」


ソウジは喋りながら軽く刀を振る。

うっすらと蒼く光る刀の軌跡が崩れて蝶となって羽ばたく。


「ホラホラ、それ行け揚羽蝶」


「凄いキレイ…」


蒼い揚羽蝶はヒラヒラと辺りを彷徨うと霞んで消えていく。


「すぐ習得できるよ。俺でもちょっとした閃きですぐに完成したし」


ソウジは事もなげに喋っているが、周りの特に魔法職の向ける目は限りなく驚愕、ちょっとすれば奇異の目だった。


▼△▼△▼△▼△


模擬戦は順調、時々ハズレクジで進んでいき、進むにつれてオーディエンスも増えていく。

単純に戦闘の参考に眺める者、邪な思いから眺める者、目の保養等だ。

一部では賭けを行っている者も見受けられた。

あまり、良い気はしないけどお金の為に模擬戦してる訳じゃないから気にしない。


「はあ、人が増えてきましたね」


私は槍で飛んできた火の魔法を切り伏せる。

カルムは杖を掲げて更なる魔法を放つ。


『風よ汝彼の者を切り裂け ウインドスラッシュ』


「せいっ!」


しかし、どんな魔法も魔力を宿した槍で凪ぎ払って構造をバラバラにしていく。


「ていっ!」


槍から放たれた魔力の刃がカルムの杖を穿ち、弾き飛ばす。


「ぬあぁっ!杖がぁ!」


そして槍がカルムの肩に触れる。


「運がありませんでしたね。魔法職は使える魔法の数がそのまま強さになります。今よりも早く、矢継ぎ早に魔法を撃ち込めるようになればもっと強くなれますよ」


「はい、ありがとうございます。今度、魔法教えて下さぃ…」


「うーん、まあ応相談って事で」


「ありがとうございます!」


順調に進んでいた。


オーディエンスの方はと言うと…


『やっぱり姫のパーティーは精鋭揃いだよな!』

『お陰で賭けにならないんだが?』

『瞬撃同士のがみたいんだけどな…華の方はツバキ姉が程々強い程度だし』

『あのおばさん地味に実力者でしょ』


盛り上がっていた。


「なんかね…こうもパターン的だと詰まんないよね?」


今の所

カルミ-アデル、ケイト-ツバキ、カルム-ユリ、フウカ-カルミ、ソウジ-カルミ、ケイト-カルム、ツバキ-ユリ、ソウジ-アデル、アデル-ユリ、フウカ-カルムの系十試合が終わって時刻は正午と言ったところ。


瞬撃の隼の面々が出た試合はソウジ君がアデルさんに僅かに負け越したのを除けば圧勝と言える。

レンの作った体の性能はどうも異常なレベルでハイスペックみたいで、ベテラン冒険者と呼ばれるツバキさんやアデルさんと良い勝負を見せた。


レンはガラポン横でぼやいている。オーディエンスはこんなに近くに居る神に不信感を抱かないのか、熱狂は高まるばかり。


「はぁ、縁結んでみようか…」


レンはゴニョゴニョ言って謎のお札をガラポンに張り付ける。


「僕の加護の宿ったお札を使って強制的に面白そうな組み合わせを引き出すよ!所謂確定ガチャだね!」


どのみち回さなきゃならないからか誰も止めない。

ソウジ君に至っては飽きてきたのかカルミに刀を振らせて、それを避けて遊んでいる。


「いざドリームマッチ!」


レンの引き出したそれはカルミ-カルムだった。


「姉弟対決だー!」


観衆が沸き上がる。


それを横目にケイトは…


「もうアレはほっといても熱狂するから、気にしない方が良いわよ?」


私に後ろから抱きついて肩の上から顔を出している。

いわゆる、なんだろ…あすなろハグ?なのかな?


「そう、なのかな?」


私は私の膝の上でもぞもぞ動く毛玉の頭を撫でる。


「うーん、まあケイトさんが言うならそう言うものなんじゃないかな?リンは正直気持ちいいからなんでもいい」


やっぱりこれだけ毛玉だと痒いんだろうな~


「今度ブラッシングしよっか」


「うん!」


うん、やっぱり可愛い。

将来的にはエルさんぐらいの大きさになるとは到底思えない…あぁ、今となってはサイズは自在だったか


「お、始まるわよ!」


「姉弟対決…どうなんでしょうね」


「カルミの方はこの数時間でかなり強くなってるから期待できるわよ」


私は視線を広場中央の二人に移す。


カルミの手にはやはりグラディウス。


カルムの周りには相変わらず青い魔法陣、少し違ったのは手に水の剣を持っている点ぐらいか。


「カルム、行くよ!」


「姉さん、今日は手加減しないから!」


カルミが先に踏み込む、一歩で詰める距離もさっきより長くなっている。

グラディウスから放たれた斬撃はカルムの剣を狙う。


カルムの方も魔法陣を一つ剣に変えて打ち出し、斬撃を相殺する。


そしてそれを隠れ蓑にして突っ込むカルミの剣とカルムの剣が交わり、そして止まる。


「え、凍ってる」


「僕もいつまでも同じじゃないってこと!」


カルムは距離を取りつつ新たに剣を呼び出して飛ばす。


「お願い!」


カルミが無理矢理作った魔力の斬撃は崩れて五匹ほどの金魚となり剣の一本一本を防ぎ、共に消滅する。


カルミは剣を地面に叩きつけて氷の剣を取り除く。


「イチシキ一閃 金魚の舞」


カルミは魔力を宿した剣を水平に半月を書くように振り抜き、無数の金魚を生み出す。


それはカルミの周りで躍り狂う。


カルムの方もまた新たに剣を召喚し、撃ち合う。

そして、剣は魔法の金魚に防がれ、魔法の金魚もまた剣に防がれる。


カルミが一気に距離をつめ、もう何度目かわからないけどカルムの剣が凍って、グラディウスを絡めとる。


「それ行け揚羽蝶!」


交わったグラディウスから放たれた魔力の揚羽蝶がカルムの視界を隠し、氷の剣を砕いた。


そのままカルミの剣がカルムを捉えた。


それを確認した観衆が泣き笑いする…あんたらの試合じゃないだろうに…


「カルミちゃん、ソウジ君の技を使いこなしてましたね」


「やっぱり上達が早いのが彼女の強みよ。あの性格だからこそのそれなんだと思うわ」


「そうですね。あの直向きさは凄いですよね」


私は膝の上で丸くなっている毛玉の背を撫でる。


「お母さん…お腹減った」


リンは、立ち上がって人に変身する。


「じゃあ、ソウジ君呼んできてお昼にしようか」


「はーい」


リンは軽い足取りで広場を抜けていく、やっぱり可愛いな。


私はケイトの腕のなかで気持ちいい暖かさを満喫しながら、駆けていったリンを見る。

ソウジ君はトランクを開けて中を漁り、レンが一緒になって覗き込んでいる。

絶対面倒ごとが起こるなと言う確信を小脇に抱えて私は日の高く登った空を見た。

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