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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
南北東で戦だそうです。
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答弁とその後

作者:「諸事情がございまして…もしかすると暫く更新が不安定、最悪の場合は凍結、打ち切りといった可能性が出てしまっています」

レン:「なんかあったの?」

作者:「超私的な事だから今はまだ言えませんが、予めお詫び申し上げます」

フウカさんの目が一瞬虚ろに変わった後、雰囲気が全く違う物になった。


「仕方ないわね、フウカちゃんに代わって私が色々答えるわ。それでいいんだよね?手帳のソウジ君?」


「手帳?はわかんないけどまあそれで良いですよ」


俺はそう答えた。


「で、あなたはいったい誰なの?」


ケイトさんは無視して続ける


「私はアイーシャ。フウカちゃんの体の元の持ち主って言っておこうかな」


「元の持ち主?」


ケイトさんは更に追求する。


「そうね、なんで忘れてるのかはわかんないけど私は記憶をなくし、代わりにフウカという別人格が私の体に宿った。でそこからは知っての通りだと思うわよ?」


俺はさりげなく右手でokとサインを送る。


「なら、ある意味ではフウカさんの記憶が戻ってきてるって解釈でいいですか?」


手を挙げたのはアリアさん


「まあ、そう言う解釈もできるのかな?」


いや、それは否だ。

そもそもフウカさんには元の記憶なんて存在しない。

あるのはアイーシャさんと他二人だけだ。


「じゃあ、アイーシャさんは記憶をなくす前は何をされてたんですか?」


「研究者よ?魂と記憶と意思の力の研究を東の方でしていたわ」


「研究者だったからそんなに魔法に詳しいんですね!」


うーん、惜しい!

それもあるけどそもそもね?


「じゃあ、なんでこっちに向かってたのかとか解るの?」


「え~と、研究の一環でダルカス共和国の学術都市セレスに向かう予定だったのは覚えてる。けどまあ、こうなっちゃったからそれはなしね」


うんうん、筋書き通り


でそろそろお前何者だ?ってなってきましたか?

お答えしよう!俺はソウジです!

ソウジはソウジでも未来から来た色々訳知りのソウジです。


この時間のオリジナルソウジは、眠らせて門に放り込んである。


◆◇◆◇◆◇

作者:「わわわわ!こんな急展開して良いのかな?」


レン:「僕に聞かないでよ、僕は知らないよ!」


ジン:「まあ、ソウジならあり得そうだしいいんじゃないか?」


作者:「まあ、いっか」


◇◆◇◆◇◆


で、必要だからこの場を設けるようにケイトさんを誘導する為にアイーシャさんの出現を調整して、この場で身内での衆知を徹底する。


それもこれも手帳に書いてある通り。


「じゃあまあ、これからはアイーシャが出てても驚かないようにって事でいい?」


「まあ、出てる事はそんなに多くないと思うけど…皆、よろしくね!」


あー、見てるだけで頭が痛くなる。

あの夫にしてこの妻だ。

楽天的にも程がある。


脳裏で夫の方が小躍りしている。


あはははは~、だって面白そうだったんだもん♪それに僕ってやっぱり偉いから!ある程度の事は顔パスでおkだよ!


まあ、これもこれから必要になるプロセスの一つだ、甘んじて受け入れよう。


△▼△▼△▼△▼


一方でフウカの方は…


「前に集中し過ぎて脇が甘いよ!」


瑠美の薙刀は前から侵入してきて、氷槍を交わして脇を突き刺そうと伸びる。


私はなんとか下がる。


「下がってばっかじゃ勝ち目はないよ!」


瑠美の踏み込みに音やモーションはなくあるのは視線と体重移動の後の急加速だけだった。通常の魔法による強化なしの踏み込みで見れば私の知る限り最速だと思う。


「下がるしかないんですよ!」


私は彼女の突きを一歩下がることで回避する。

下手に紙一重で交わせば強烈な薙ぎで脇を抉られる。

打ち合えば棒術の応用の殴り付けや薙刀で槍を絡めとる等という荒業が飛んでくる。


更に彼女は身のこなしについてはケイト並みかそれ以上の物を持っている。

言ってしまえば、体操選手が槍術や棒術などの武術を使ってくる感じだ。


「なー、なんで魔法使わないんだ?」


「使って良いんですか?槍の稽古だから使っちゃダメなんだとばかり」


「良いに決まってるだろ?お前が覚えるのは実戦向けの槍術なんだから、使える物はなんでも使えよ」


「じゃあ、遠慮なく…」


魔法を使っていいならやりようはある。

さっそく前にかなり使ってた魔法、加速を即席で発動させて思考速度と行動速度にアシストを掛ける。


即席でそこまで魔力を込めて無いことからそこまでの効果はないが、瑠美の槍捌きをじっくり観察するには十分だった。


それに槍は二流でも、魔法には自信がある。


右手で持った氷槍は打ち合った瞬間に容易く絡め取られ、宙を舞う。


しかし、私には腕が二本ある。


瞬時に左手に新たな氷槍を作り出し、瑠美の脇腹を穿つ。


が攻撃は瑠美が槍に合わせて半身捻った事で衝撃が無効化される。


半身捻ってからの横薙ぎを屈んで回避しつつ左手の槍を手放して右手に新たに棒を作り出す。


それでもって瑠美の鳩尾を穿つ。


この手合わせが始まってから初めて瑠美に攻撃が通った。


瑠美は後ろに転がり。


何ごともなかったように立ち上がる。


「やっとそれっぽくなってきたね、動きが全然良くなってるよ」


瑠美の歩みは無音で、まるで滑るようだ。


「でもね、如何せん魔法に頼り過ぎるんだよね」


瑠美は薙刀を捨てて二振りの氷槍を拾う。


「ちょっと重いけど、まあ使えなくもないかな?」


瑠美は前傾を取り、一気に肉迫してくる


その速度は加速でアシストを掛けた視覚で見ても速い。


予備動作からまず左手の切り上げだろう。

次に右の槍で突いてくるだろう半身捻って回避…


しかし、瑠美の一手目は予想を超えていた。


左手の槍を上に放り、右手の槍を両手に持って渾身の突きを放ってくる。


背後で金属の突き立つような音が響き、私の回避は何かに阻害された。


背中に棒状の感触がある、槍だ。


「くっ」


なんとか突きを槍でいなす


しかし突きの威力はまるで自動車とか新幹線とかを相手にしてるかのようだった。


いや、違う。


気迫が違った。


ここは精神世界、実世界の肉体ではなく意思の強さがそのまま反映されてるんだ。


彼女の強さは積み上げてきた実積からくる揺るぎない自信だ。


「ひひ、まだまだ終わってくれないでよね?やっと楽しくなってきたんだからさ!」


瑠美は獰猛な笑みを浮かべ、特徴的な八重歯を覗かせる。


槍を強引に180°返して、勢いを左足で完全に相殺して、その余剰分の勢いで横薙ぎの一撃を叩き付けてくる。


打ち付けられた衝撃で瑠美の握る氷の槍は半ばで折れる。

それでも瑠美は瞬時に折れた穂先の方を掴み、短槍として扱い始める。


怒濤の連撃は的確に槍を避けて振るわれる。


それをなんとか私は槍で止め、いなし、回避して捌く。


「わわわわ!」


「そんな頼りない声出しながらも全部処理してるじゃん」


「もう!」


私は藤色の魔法陣を展開して盾にする。


「へー!これがお得意の空間魔術なのかー、ホントに硬いんだね~」


瑠美は一旦距離を取り、槍を捨てる。


「じゃあ次は…これだね」


地面が歪んで細長く伸びて、木刀になる。


「彼、ソウジ君だっけ?彼も強いけど私もそこそこやるわよ?」


瑠美は堂にいった雰囲気で木刀を正眼に構える。


彼女の踏み込みの速度は槍の時で見えている。


今度は確りと見てとれるモーションで踏み込む、柔らかな地面が大きく歪んで一気に来る。


見えなかった。


というか見たら既に木刀と槍が打ち合っていた。


「くっ、流石は私の記憶を持ってるだけあるね」


「買い被りすぎですよ、見えてないんですからね」


木刀と槍では決定的なリーチの差がある。


私が木刀を半歩下がって回避しても、槍ならなんとか横薙ぎに一撃を入れれるのだ。


そう考えて実践に移す。


「リーチがあるから勝てるなんて考え方は甘いよ!」


瑠美は私が下がるより速く肉迫してくる。


そして脇腹に強い痛みと衝撃が走って、私は右側に転がる。


「空手とか柔道とかカポエラとかムエタイと習ってるから、蹴撃もお手の物さ」


「ぐっ、武器だけが攻撃手段じゃないって事ですか…」


「そう言うこと、それといつまでも私に対して魔法を使うのを躊躇ってる甘さもダメ」


「甘さ?」


「あなた、魔法を使ったら勝負にならないって思って、わざと対処できないような魔法は控えてるでしょ?そう言う手加減って私に対して失礼に当たると思わない?」


「でも、そんな勝ち方をしても意味はないです。私は負けて学ぶ必要があるんです」


「素の武術が下手だから?これ以上魔法が成長しないから?そういう凝り固まった考え方は私は嫌いよ。やるんなら徹底的に何がなんでも勝ちたい、でもはなから負けたい人に勝っても面白くもなんともないし。どうせなら私を何がなんでも倒すぐらいの気概じゃないとね」


「そうですか、では本気を出させて貰いましょうか」


翼が展開して背中に浮力を感じる。

地面が盛り上って、杖が現れる。

それは前の支給品の杖だった。


「なんだかんだで愛着があるんですよ」


杖に魔法で空気の刃が形作られて、即席で槍のようになる。


「うん、様になってるよ。こういう熱い展開は好きだよ」


瑠美の手に見覚えのある槍、というかもろ支給品の槍が現れる。


「ふふふ、この手に馴染む感じさすが神だよね~でも、どうやらここまでらしい。起きる時間みたいだから、続きは今日の夜とかね?」


「え、ちょっ」


言い終える前に私は夢から現実に引き戻され、目を開けるとマジマジと覗き込む顔があった。


「え、アリアさん?近いです…」


「あ、ごめんなさい」


どうもこっちは上手く収めてくれたみたいだ。


「で、知りたかった事は聞けましたか?」


面々の顔は浮かないが、それぞれに頷く。


「まあ、大方は聞けたわ。より不安になる内容だったけどね」


「そうですか、まあ今は新しい依頼に専念するのみですよ!」


私はあえて明るく振る舞って不安を払拭したかったのだが、逆に突っ込んでくる声がある。


「新しい依頼?あの私、受け付けした覚えがないんですけど…」


「あのえーっと冒険者としてじゃない感じの依頼で直接の指名依頼でしたので…」


「フウカさん、この際だから言っておきますけど」


「はい、なんでしょうか」


「依頼はちゃんとギルドを通して頂かないと困ります!」


「いやでも今回のはある種の徴兵みたいな物で、領主からの直接なので」


「例え領主でもギルドとの協定で冒険者との間で賃金と物資が動く契約はギルドを仲介するって事になってますので!」


「まあまあ、どうしてもって言うならミゼリアさんに直接問い合わせて下さい」


「私は研究者としての腕を見込まれてとある物の開発に噛ませて貰ってるだけなので」


「はい、こっちで問い合わせさせて貰いますね」


アリアさんはにこやかに言う


「まあ、研究じゃ自分は手伝えそうにないので頑張ってください」


カイさんは一歩下がる。


「まあ、朝話にあったし当然俺もそれは参加させて貰いますよ?」


代わりにソウジが一歩前に出る。


この二人似てるようで実はそんなに似ていないのだ。

片や海の男でもう片方は超汎用オタクだ。

前世の価値観で言ったら体育会系と陰キャラだ。

似るわけがない。

カイさんは割りと周りに女性が多いが、ソウジ君は周りに人がいない。

カイさんは海のエキスパートだが、ソウジ君は陸海空の戦闘のプロだ。

ソウジ君は割りと発明家気質だがカイさんは割りと堅実な常識人だ。


「って事は私は留守番?」


ケイトは割りとフィジカルに考えるタイプだし立場的にも下手に領主に近づきたくないのも解るから無理強いはしない。


「あ、ケイトさん。良いお仕事ありますよ!新人が新しく入ったパーティーの新人指導のお手伝いで一緒に仕事を受けてくれるベテランを探してたんですよ」


ここまでくるとアリアさんの商魂が逞しすぎて尊敬に値すると思う。


私は少しため息をつきふと自分の口角が上がっている事に気がついた。

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