勤労の結果
作者:「ふー、一年以上もかかった四章がやっと終わります。四章だけで50話書いてるんだよね」
レン:「やっと終わるの?」
作者:「すみません盛りました。もう二三話続きます」
「へー、ここがENE○Sかー」
即行で山から降りてきたソウジとケイトはエネシスの町中をエルの先導で移動していた。
『お主ENE○Sではない、エネシスだ』
「ENE○Sは異界のガソリンスタンドだな」
「そっかそっか、なんか口煩いのが増えちゃったな…ってかエルさんENE○S知ってるんだ…」
「娘の知識の中にあった。色々とセロ指定が付きそうな内容だったが…ワシは18などどれ程前かもわからんし良いだろ」
『この変態鳥が、契約者の記憶を無断で覗くとは我でさえ見るときは一声かけるというのに』
「涼、止めろと言ったはずだ」
この二匹、やっぱり相当馬が合わない。
「お前ら、話は合うのに仲悪いな…」
『これでも我慢しとるだろ!』
「ワシは別に気にしとらんけどな」
エルはホバリングしながら前向きに飛び、後ろ向きに飛びと器用な身のこなしを披露している。
そして沈黙を保っていたケイトがため息をつく。
「ソウジ君、ちょっと散歩してきて?私はエルと先を急ぐから」
ケイトとエルは飛んでいってしまった。
「あ、はい、そうします。重雪、ケイトさんと行け。適当に時間たったら俺を迎えに来てくれ」
重雪は小さいながら敬礼すると、エルを追って走っていった。
「さて!今からどうしよっかな♪」
『お主、急に生き生きし始めたな』
「とりあえず色々見てみようか」
ソウジは石畳の坂道を港に向かって下っていった。
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一部始終を見終えた私はまた白い空間に居た。
「そう、コレが二つのお話の終わりで」
「貴女のお話の始まり」
私の前には先程トラックに跳ねられた筈の二人が居る。
確か、ポニーテールの方が瑠美でショートボブの方が泗水 夢唯だ。
「えーっと、パ○コ食べたくなったのは?」
「あたし」
瑠美が手をあげる。
「じゃあこの記憶は瑠美さんの物ですか…なら、たまたま買い出しを頼まれたのは夢唯さんですか…」
「そう、でもどうして貴女は私達の記憶を持ってるのに解らないんですか?」
「それはたぶん、断片的だからかと…恐らく私の中に知識の塊として残されたんでしょうね。それにアイーシャさんによればまだアクセス制限が残ってるとか…」
「ふーん、まあだからこそこうして私達が残れてるんだろうけどさ」
瑠美は白い空間の所々霧の晴れた床を跳び回っている。
「私達は死んで、魂の輪廻により貴女が生まれた。それは別に構わない、けどどうせなら私達をちゃんと終わらせて欲しかった。中途半端に消えてないからこうして何度も何度も私達は死ぬ。苦痛の中で崩壊と再生を繰り返さなきゃならない」
「夢唯、ストップ。それをフウカのせいにするのはお門違いでしょ。フウカはただ生まれただけなんだからさ、それに元はと言えば私達の不注意なわけだし…」
「瑠美がそう言うなら今はそうしておく事にするけど」
夢唯が続きを口にしようとするのを瑠美が止める
「ほら、起きる時間みたいだよ?ほら、早く早く、フウカにはやることがまだ沢山あるんでしょ?」
私の意識は薄れていき、瞼を上げるとそこはアリアさん家の借りてる部屋だった。
窓の外は既に暗くなって、東の空が白んでいる。
「私、どれだけ眠って…」
「あ、起きた?おはようフウカ」
ベッドの端でさりげなく眠っていた影が起き上がる。
「え?け、ケイト?なんでここに?」
「なんでって仕事片付いたから合流したのよ?それよりフウカ、また無理したってアリアから聞いたわ」
「いや、それは出来ることをしてただけです」
ケイトはため息をつく
「お説教はまた朝になってからにしてあげる。だから今は安心して休みなさい?」
「ケイト、ただいま」
「違うでしょ?おかえりでしょ」
約二週間ぶりに触れたケイトの肌は少し荒れていて、ちょっぴり汗と香水の匂いがして、とっても優しかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
作者:「百合とは良いものですな!」
レン:「そうだね、仲睦まじくていいね。和む」
夢唯:「ちょっと妬いちゃいます」
レン:「え、誰?」
瑠美:「いや、そっちこそ誰?」
レン:「え?僕はレン、こっちは作者」
瑠美:「あたしが瑠美でこっちが夢唯」
レン:「ねぇ、君?作者君?君、最近百合不足で欲求不満だった口だね?それでこんな無計画に新キャラ出したんだね?」
作者:「いや、なわけ~これは計画的に執り行われた犯行であって、そんな突発的衝動で発作的に起こった物じゃないよ~」
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で、完全に日が登り空が高く青くなる頃
「二日よ?二日!エルに呼ばれて急いで来てみれば、リンが甲斐甲斐しく世話してるし、アリアとカイはフウカが受け持ってた分の作業の処理に追われてるしで大変だったんだからね?できそうな仕事の大部分をソウジ君が受け持ってくれたから影響は最小限で済んだけど、こういう事になるから一人に過重な仕事を押し付けちゃダメなのよ?一人に何かあっても修正が効くように仕事を分配するのは管理職の基本よ」
ケイトの前には私とミゼリアさんと各部署のリーダーと何故かソウジ君が正座している。
「ねぇ、なんでソウジ君まで正座してるんですか?」
「うーん、なんとなくですね」
「だから、私はリーダー達に適切と思われる形で仕事を割り振ったんですよ?なのにそこの各部署の管理職がここぞとばかりにフウカちゃんに頼るから!」
「いや、それは横暴ですよ!?実際に作業を割り振る権限は私どもにあるのですから!」
「そうですよ、言うなれば涼しい顔でサクサク仕事をこなすフウカさんに非があるのではないですか?」
「いや、それこの場で言いますか?」
「勤勉で作業が行き届いていて、人当たりもいいからついつい頼ってしまったんですよ!それはミゼリア様にもご理解頂けましょう」
「いや、お詫びするべきは私の方ですよ。私が力不足なばっかりに皆さんにご迷惑をおかけしてしまいました」
「いえいえ、本来よりも一週間程早く作業が進んでいます。ほんの数日の休息は全く問題にもなりませんから気にせんんといてください」
「フウカさんに謝られると我々管理職の立つ瀬がないんですよ」
「そこ!見苦しい責任の擦り合いをしない!労働者に甘えるなど管理職には言語道断!フウカもフウカよ?やたらと依頼主を甘やかす癖直しなさい?」
「いやでもお客様は神様、仏様、お客様ですよ?私達冒険者もあくまでギルドや個人の依頼主が居て初めて仕事として成り立つんですから依頼主を大事にするのは当然では?」
「大事にするのと甘やかすのは違うの!」
「そうですよ、依頼主を甘やかしたならその分の元を搾取しないとダメですよこっちもビジネスなんですから」
「ビジネス…ちゃんと元は取ったつもりなんですが…」
「やり方が甘いんですよ」
「いや、兄ちゃんはエグいからできれば来ないで欲しい…」
「あれ、チミ。こんなところで何をしているのかな?設計書ができたならすぐ持ってこようよ」
『ひぃぃぃっ!今書いてるので許してください!』
通りかかった青年は逃げるように走り去っていった。
「あれ?あの人あんなに痩せてましたっけ?」
「ああ、何故か兄ちゃんが手を入れた箇所の作業速度は格段に上がるが同時に作業員の消耗が激しくてな。あれも二日前まではもっとポッチャリしてたんだがな」
「あー、かわいそうに…」
反省会は非効率的という結論に至り中止となった。
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復興作業が始まって約二週間、町は簡易ながらも建物のの修繕を終え、平穏を取り戻しつつあった。
そして、ギルドから連絡用の手紙鳥が来たのはそろそろエネシス滞在も終えようと思っていた時だった。
「以外と早かったですね」
私は手紙を開いて並んだ数字を眺めるだけで笑みが溢れる。
「フウカさん、ホント何やったらそんな数の0が並ぶほどの金貨をほんの数日で稼げるんですか…」
ケイトはミゼリアさんの息子さんとお茶だそうで、今は私とソウジ君だけがアリアさん家で留守番もとい書類整理に勤しんでいた。
「フウカさん、なんか俺良いように使われてる気がするんですけど、気のせいですか?」
「あ、そこは心配ありませんよ。ちゃんとミゼリアさんから報酬に上乗せして貰えるように契約してるので」
「そういえばそっちもありましたね」
「さて、杖の代金を支払って戻る準備しますよ」
で、ソウジ君を伴ってギルドを訪れるとカウンターに並ぶより早く声をかけられてノアの執務室に通される。
「あははは…持ってけ泥ボー!((ノ∀`)・゜・。 アヒャヒャヒャヒャ」
ノアさんは発狂していた。
「これまた、何がどうなったらこうなるんでしょうね?」
「たぶん仕事のしすぎですよ」
「あフウカちゃん、来てたんだ。来てるんなら声かけてよ」
「恐れ多くてそんな気安く声かけられませんよ(今の惨状見たら)」
「余裕で持ってる筈なのに本部が渋るから予定より時間かかっちゃったけどちゃんと金貨50万枚届いたよ。三回数えさせたから、たぶん大丈夫」
それは小さめの木箱で置いてあった。
中には袋に詰まった金貨がどっさり入っている。
「えへへ、さすがの私もにんまりしちゃいます」
「フウカさん、お金好きですもんね」
「いや、別にお金が好きとかそんな俗物的な事は考えてませんよ?でもここに黄金がパンパンに詰まってるって考えると手元にユキチさんがいっぱい居るみたいで幸せになるじゃないですか」
「まあ、確かに?あ、そういえばノアさんは何故にあんな事に?」
「それがさー、僕が流した海龍が今になって利権問題になったんだよ。それも本部と各国研究機関の間で取り合いになっちゃって。お陰で僕の功績はパー、口論してる間に海龍の肉が腐って責任問題になるし、僕は手を退いた後だってのに何だかんだ僕が管理責任問われるし…もう踏んだり蹴ったりだよ」
「それはまた…」
「ギルドは復興と通常業務の板挟みで大忙しだし…ギルドマスターにも休暇があってしかるべきだと僕は思うんだよね!」
「はー、それは難しいんじゃないですか?」
「誰か僕の代役ができる人が居ればいいんだけどね…ねぇ?ソウジ君?」
「え、俺ですか?うーん、アリアさんならできるんじゃないですか?セレナさんとか優秀ですよね」
「そうだね、セレナにギルマスの業務教え込むのがいいかな」
ノアは急ぎ机に向かいスケジュールの調整を始めたので、木箱をトランクにしまい終えた私達はギルドを後にした。