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暗闇のダンジョン

俺はあのあとなんとかケイトさん達とに合流した。


そのまま階段を登って極寒から脱出、こちらも真っ暗だが寒くはない森の層に戻ってきた。


「やっぱり真っ暗ですね…」


「何かの気配もしますね、注意して進みましょう。レリック」


「了解、先に掃討しちまいやしょう」


レリックを中心に霧が立ち込め始め、辺りの視界は更に悪くなる。


「お前のそれかなり暗殺向きな能力だよな…視界も制限して、同時に正確な索敵もできるとか強すぎだろ…」


「人間です。男が4、女が2、待ち伏せしてるつもりか?身なりからして盗賊ですね。ソウジ殿、確りついてきて下さいね」


「おっけ、サクッと始末しようか」


ソウジはコートの内にくくりつけてある短剣を引き抜いた。


俺はレリックの直ぐ後ろを走る


俺はレリックの指差す方に歩き、そこに居た男の首を背後から切り裂いた。


よく切れる短剣だから頸椎までスッパリ


「おやすみ」


「次行きますよ」


「案内頼む」


俺はレリックの案内で茂みの下に隠れていた女の髪を掴み上げる。


「ヒッ何!?イタイッ止め」


ふーん、暗闇でよく見えないけどそんなに好みの顔じゃないな。


「さようなら」


首を刀で一閃して頭をそこら辺に放る


女は僅かに声にならない悲鳴を遺した。


俺もだいぶ殺しが慣れてきた。

慣れればどうってことない。


「アンナ!どうした!!」


「おっとアンナさんって言うんでしたか…まあ、もう違いますが」


俺は声のした方へ気配を殺して向かって袈裟斬りにした。


「ん?手応えが違ったな」


ズズ…ガサーン


どうやら木を斬ったらしい。


「っらぁ!」


背中に鈍い痛みを覚える。


何かで殴られたような感じだ。


「なっ剣が刺さらない!?」


「はい、残念でしたー」


後ろに振り抜いた刀は何か硬くて柔軟性のある物を斬った。


手にドロドロとした何かがついた。

背中に生暖かい液体が掛かった事から人を斬ったんだろうな…


「また洗濯か…」


俺はドロドロの手をコートの裾で拭った。


「レリック、次は?」


「こっちだ」


「ふぅ、あと三人か…」


「ん?魔物が六、入ってきた…四足歩行…狼だ!」


「距離は?」


「10時の方向、霧のギリギリの辺りだ。っ!盗賊が一人やられた」


「ふむ、他二人はどっちだ?」


「九時に一人、二時に一人…狼が九時に向かいます」


「じゃあ先に二時だな、狼の相手はその後だ。涼、暗視スコープになれ」


『無理じゃな。我が形を変えられるのは、刀、短剣、直剣、大剣、斧、鎚、銃、槍、連接剣の九種の武器のみだ。眼鏡やゴーグルには対応しておらん』


「じゃあ、銃のスコープに暗視機能つけろ」


『ううむ、やってはみるが動く保証は無いでな?第七頭を解放しろ』


「第七頭解放」


刀はその刀身を肥大させて全く違う形に変容していく。


『どうじゃ?』


それは蒼い装飾の施された白いマスケット銃だった。


「なあ、スコープ付けろって言ったろ?」


『我はスコープ付きの銃なんぞ見たことがない』


「それを早く言えよ、うーんお前俺の記憶とか覗けるか?」


『主はまた面倒な術を要求するな…』


「できないのか?」


『ホントに良いんだな?』


「いいからさっさとしろ」


ん?なんだろうな、ふわふわする。

これが記憶を弄られる感覚か。


『うむ…とりあえずわかった…でも、余計な記憶まで覗いてしまった…』


「気にするな、過ぎた事だ」


マスケット銃は少しずつその身を絞っていき、その装飾は広がり色を黒々と変えて行き、あっという間にミリタリー感満載なアサルトライフルに変化する。


「そうそうこれこれ。うん、見えるし、後は俺の技術でどうにかするわ。にしても気が利くな、サイレンサーも付けてくれたのか」


『覗いちゃマズそうなものも見たからな…』


「そんじゃあ、サクッとやるか。レリック、霧の遮光機能を抑えれるか?」


「ある程度ならどうにかなる、やるだけやってみる、索敵能力が低下するがいいな?」


「言うまでもない」


俺はスコープを覗くが多少の光もないために殆ど見えない。

霧の効果もあるか…


「霧を僅かに光らせられるか?少しで良い」


「注文が多いな…」


「すまない、サクッと終わらせる」


霧が少し明るく薄くなり、近くならある程度周りが見渡せる様になった。

だいたい5メートル先の木の幹がぼんやり影が見える程度。

全然、見えて無いと思うかもしれないがさっきより断然マシだ。


改めてスコープを覗くと十分使える感じだ。


おお、九時の方向のやつが幹から飛び出したのが見えた。


「お?見えた、死ね」


フシュッ


サイレンサーを通って吐き出された弾丸は一秒と経たずにその女の肩に孔を穿ち鮮血を流れさせた。


「外した…まあ、残りは狼に任せよう。レリック二時の方に案内してくれ」


「いそいで行くぞ」


「よし」


俺はレリックの後についてスコープを覗きながらなるべく速く進む。


「見えた!」


吐き出された弾丸は今度こそ、盗賊の側頭部に埋まり、赤い花を咲かせる。


「ヘッドショット!」


「なあ、その武器はなんなんだ?」


「ん?ああ、これは銃って言ってな鉛玉を高速で射出する武器だ。殺傷性が高いから注意がいる。次は狼だな」


「お?狼がケイトさんたちの方に向かうぞ、急げ!」


「おっけ、ここからさほど離れてはいないだろ?」


「ああ、後ろから奇襲しよう」


「了解、後ろに回り込むついてこいよ?」


俺はレリックについて森を駆ける。

ホントにこいつは有能だ。

なんで冒険者で稼げなかったのか不思議なぐらいだ。

まあ、恐らく頭が回らないから利用されるだけ利用されたんだろうが。


「もうすぐ到着だ、準備しとけよ?」


「っああ、すぐ撃てる」


俺は、コッキングレバーを引いて銃を構えた。


「よし、見えた。弾丸をたんまり振る舞ってやるよ」


俺は銃を構え直して、鉛玉と硝煙をい惜しみ無く振る舞った。


▲▽▲▽▲▽▲▽


一方、フウカはミゼリア、ノア、アリア、カイの討伐作戦の裏側を知っている面々と領主の館の応接室で会していた。


「とりあえず、皆さんお疲れ様でした。特にフウカさん、あなたは本来ここにいなくても良いんですからね。このためにわざわざ新しい武器を開発して下さったそうで」


「まあ、仕事ですからね。私なんかよりもノアさんの方が頑張ってましたよ?ね?」


「うーん、確かに僕も頑張りはしたけどあんな形で努力の結晶を一蹴されるとね…」


「いや、ノアさんの広域支援魔法凄かったですよ?」


「でも、あんまり効果に繋がらなかったからさ…」


「アリアもよくあの烏合の衆を指揮してくれました。あなたがいなければ今回の手柄の調整は不可能でした」


「そんな勿体ないお言葉、恐縮です」


「とりあえず、このあとの事を話しましょうか。私の仕事は外に置いてある龍をノアさんに引き渡したら終了です。当然ですがその後の事は一切関与しません」


「うん、アレを運び出す為の馬車はもう手配したから直に来る筈だよ?ただ、このお祭り騒ぎだからね。フウカちゃんの報酬は後日届いたら連絡するね。アリアへの報酬は戻ってから僕から直接渡すから、後で執務室に来てね?カイの報酬もその時ね?」


「そう言えば、ノアさんの報酬はどこから支払われるんですか?」


「僕?僕は本部から報酬が出てるよ?あと、ね~ミゼリア?」


「ええ、町の方から謝礼が出ますよ。フウカさんにも」


「えーっと…確かにわからない事でも無いのですが、今回私はギルドから十二分な報酬を頂いてます。確かに半分ぐらいは配っちゃいましたけど、それでも十二分ですよ」


「本来、参加者への報酬は町が払うべきなんです。なので最低限、フウカさんが支払った金額の埋め合わせはさせていただきます。そのぐらいはしないと町の外聞がよろしくないので」


「そういうことですか…ではなにもいいません」


「そうしてください、でも金貨で渡してもかさばりますよね?ですので、相応額の品とかでも良いですか?」


「それだけの枚数の金貨ですからね。用意するのも大変でしょうし、それでも良いですよ?」


「良かった~ダメって言われたら、半年ぐらい逗留してもらうことになるところでした」


「半年もですか?」


「そのぐらいかかりますよ。五十万枚もの金貨ですから運ぶだけでかなり大変なので…」


ほんとに紙幣が欲しい所ですね…


「では報酬には期待させてもらいますね」


「あまり期待されても内容は差ほど変わりませんからね?」


「はい、大丈夫ですよ」


ノアさんは窓に腰かけて言う


「うん、馬車が来たみたいだ。フウカちゃんは詰め込みをお願いしても?」


「はい、では私は失礼します」


フウカは部屋から出ていった。


「ふう…さてと事後処理がまだあるんですよね」


「まあ、それは僕もだし。とりあえず今は一息ついても良いと僕は思うね」


「当面の間は危険もないでしょうし」


「あ、その事だけど…数日の間は警戒を解かない方が良いかもしれない」


面々の視線を一手に引き受けてカイはゆっくりと口を開いた。


▲▽▲▽▲▽▲▽


一方でフウカは下で龍を操作していた。


「でも大きいですね。これを氷漬けにするのは骨が折れますね」


今は、馬車を繰ってきた術者と話をしている。


「手伝いましょうか?」


「いえ、結構です。フウカ様のお手を煩わせたとギルマスに知れたら私が言及されますので」


男性術者はテキパキと荷詰めの準備を進めていき、詠唱を開始する。


『我、欲するは凍結、彼の遺物を我が魔力でもって内包し、その朽ち逝く定めを遅らせよ 冷凍保存』


数秒とお経たずに空間魔法の内側は青い光と凍りついた水に満たされて、龍が文字通り氷に包まれていた。


「おお、さすがですね」


「いえ、フウカ様には敵いませんよ。とても優れた術者だと聞き及んでいます。申し訳ありません、自己紹介がまだでした。べリオ・エネシスと申します。ギルドマスター補佐官をしております」


「フウカです」


「知ってます」


「えっとそれはギルドの登録情報でですか?」


「それもありますが、私はあなたの事をある集会で聞き及びました。魔法研究者の定例会なのですが、その時は消滅したアトラスの一件の実態の考察でした」


「そこで名前が挙がっていたと…」


私は龍を馬車の荷台に載せて、空間魔法を解除する。


「ええ、ギルドの方にも報告された一件でしたので調べるのは難しくありませんでした」


「それで貴方はどうするんですか?」


「どうもしませんよ。観察して研究するだけです、私はただのしがない魔法研究者ですから」


「えっと…頑張って下さい」


「今、対応に困りましたね?」


「あはは…はい」


「よく、言われます」


べリオは笑いながらそう言うと御者台に登って馬車を走らせて行った。


「うん、変な人ですね」


私もその場を後にする。

とりあえずリン達と合流して、折角のお祭りを満喫しなくちゃ損です。


ケイト達は今頃何をしてるんだろうか…

後で電話してみるのもありか。

私はお祭り騒ぎの町に向かって歩き始めた。

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