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海龍討伐ボランティア 後編

作者:「時間が無くて今回短いですがご容赦を…」

足場に新たに空間の切れ目で作られた柱が立てられる。


それは龍の体に沿って立てられて檻のように龍の移動を制限する。


「おー、凄いね~魔術無効術式を使える相手を拘束しちゃった」


ノアさんは魔方陣を回している。


「ノアさんの魔法にも期待してますよ」


「プレッシャー掛かるな~でも期待していいよ~僕頑張ったからね!」


うん、なんだろう…ノアさんが例の神に似て見えてきた。


ノアさんは黒い輝きを放つ魔方陣を掲げる。


「範囲内の魔力電導率を高めて、あの魔術無効術式の魔力に干渉して魔力電導率上昇に書き換えてイニシアチブを剥奪します」


「こっちは準備出来たので、やって下さい」


私の周りには幾つもの爆弾が空間魔法の篭の中に押し込められ浮いている。


「魔法攻撃職の皆さん、準備は良いですか?私の魔法が発動したらすぐに詠唱に入ってください!」


甲板に集められた魔法が使える人達が各々の杖を振って応える。


「じゃあ行きますよ!」


ノアさんは指を鳴らす。


それと同時に複数の属性の魔法が混ざりあって黒々とした輝きを放っていた魔方陣が弾けて、空へと軌跡を残す。

直後、円形に鮮やかな輝きのオーロラが現れ、海龍の周りで黒いスパークが空気と一緒に魔術無効術式の膜を切り裂く。


「へ~魔術無効術式って膜状なんですね~」


私は空かさず空間魔法で龍の体内と思われる座標と手元の魔方陣を繋げる。


そこに火の付いた爆弾が幾つも放り込まれて、蓋が綴じる。


何の衝撃も音もなかったが、空間の穴を塞ぐように置かれた藤色の魔方陣に血が滴った事で少なくともダメージが通ったことは解った。


「じゃあとりあえずポイポイしちゃいましょうか」


私の頭上を色取り取りの輝きを纏った魔法が怒濤の勢いで龍に殺到する。


それを尻目に私はとりあえず爆弾をまた三個火をつけて放り込んだ。


「うんうん、これなら魔法だけで押しきれるかな~」


私は更に爆弾を放り込む。


その間も魔法の嵐は逃げられない龍を集中的に襲う。


『小娘!!汚いぞ!!勝負は正々堂々が基本だろ!!』


龍がなんか言っている。


「アハハハハ、面白いこと言いますね!私、勝負だなんて一言も言ってませんよ!コレは勝負じゃなくてただの殺し合いですよ?」


龍は暴れるが、空間魔法の拘束を打ち破れない。


『我はまんまと嵌められた訳か…』


私は魔方陣の中に話しかける。


「私があなたと正々堂々勝負する理由ないですし」


そして火をつけた爆弾を幾つも放りこみ、蓋をする。


爆弾は今頃、海龍の肉をその結晶と鉄で引き裂き、その体液を毒液で侵食しているだろう。


「フウカちゃん伏せて!」


「へ?」


私の顔の横を水球が掠めた。


『ならば、我ももう手は抜かない…全力で仕留めてくれる!!』


龍は次々と水球を作り出して撃ち出す。


「フウカちゃん、あの龍と知り合い?」


「ちょっと事情があるだけですよ。まだ喋れませんけどね。まあ、これ以上茶番をやっても良いこと無さそうですし…そろそろ終わらせて良いですか?」


「まあ、参加の証明には十分な程度に攻撃したし…いいよ。あとは好きにして」


「はい、じゃあ許可も降りたので始めますよ!グレイさん!」


「はーい、手筈通りで良いんですね?」


「お願いします。こちらで龍は惹き付けて置きます。リンと一緒に龍の周りのスペースを開けてください」


グレイは脇目も振らずに上昇していく。


『あれは残滓か』


「よくわかりましたね。でもあなたが知ったところでなんの役にも立たないでしょうけどね」


龍はドンドン水球を飛ばす。


それを全て空間魔法で迎撃する。


「その能力は制限させて貰いましょうか。私のはノアさんのソレとは毛色が違いますけどね」


私は以前壱なる門に入るときに使った魔法を稼働させる。


昨日、足場を作った時に予め足場に仕込んで置いたのだ。


そしてその効果はすぐに現れる。


空気中の魔力が凝縮して足場を薄紫の結晶が覆い、薄紫の霧が漂い始める。


黒いスパークもオーロラも水球も膜も消滅する。


ついでに足下でガチャガチャやってた人達の中でも何人か倒れた人が居るみたいだ。


まあ、気にしない。


「さっ、そろそろ終わらせましょう。このあとも予定が詰まっているので」


なかなかにひどい話だ。

予定が詰まっているからさっさと死ね

相手の命を奪う理由としては最低の部類に入るだろう。


しかし、言い放った本人は気にした様子もない。


『皆さん下がって下さーい』


『死にたくなければ下がりなさい』


グレイとリンはそう言いながら、風圧で足下の人々を強引に吹き飛ばしている。


『効かぬ、その程度の風圧で我は殺られはせぬ』


「なぜ、私が直接手を下さないか解りますか?」


『下さい?下せないの間違いだろ?』


「答えは無傷の方が高く売れるからです、私がやると粉微塵になってしまいますからね、それで以前アトラスを買い叩かれてますので。エルさん!」


『待ちくたびれたぞ!』


上空で不可視待機していた巨鳥はやっと姿を現し、その巨体は引力より速く降下してきて、力任せに、だがそれでいて正確無比に龍の頭をその爪で鷲掴みにして、そのままの勢いで薄く結晶化した足場にその頭部を叩きつける。


そして龍に遺言を遺させる間もなく強引に羽ばたいて、その場でガッチリ拘束された龍から頭部を千切り取る。


『取ったどー!』


「トッター、でもリンはかわいそうだと思うな…お魚さん、まだお刺身になりたくなかったと思う」


「リン、自然とは時に無情なモノなのですよ」


「ふぅ、これで一段落ですね。ノアさーん、撤収作業始めてくださーい」


ノアさんは杖を振ってくれている。


地面で呆気に取られていた人達も直ぐに立上がり、撤収の準備を始める。


その足取りは非常に重たく、その顔は無事に帰れる事実とは裏腹に非常に暗かった。


「まあ、しょうがないですね。そういう作戦でしたし…」


私も撤収の準備を始める。


私はこの死体を持ち帰る義務がある。


私は龍の体と頭を空間魔法の箱に押し込めて上昇する。


『ホント、ペテン師ね』


「誰っ!?」


誰かの声がした。

だが、周りにそれらしき人はいない。


『主?どうした?早く行かねば予定が詰まっとるんだろ?』


「そうですね、先を急ぎましょう」


私は足場から全員が退避したのを確認して空間の切れ目を元に戻して、町に向かった。


▲▽▲▽▲▽▲▽


で、その頃ソウジ達は光源を失って極寒に支配された雪原の層を進んでいた。


幸いな事にコアが失われた事で吹雪は一切無くなったが、唯一の暖であった疑似日光も失われて、雪が氷に転じ始めていた。


「足下が凍る前に急ぎましょう」


エレナが魔法で雪を除去しながら進んでくれているが、この層は広い。

階段までまだ掛かるだろう。


そして殆ど何の目印もない雪原の為、半ば遭難していた。


「コレ、ヤバくないですか?」


「はい、階段の方角も解りませんし。こんな状態の層を横に何度も往復する余裕はありません」


「ですよね…俺の時間停止でも利用する物資の量は変わりませんし…」


「飛んで探せないのか?」


俺は気を紛らわせるためにレリックの呑気な質問に応えることにする。


「知っての通りここの天井は光源だった結晶が飛び出していてかなり危険だ、それにこの暗闇に寒さだ。俺だけならたぶん飛んで階段を見つけられるだろうが…そのあと皆の所に戻れる確証がない」


「じゃあ、この前の光る氷の薔薇の魔法を階段に撃ち込んできて?光が見えたら光魔法の信号弾を何発か打ち上げるから」


「しょうがないですね…」


「なあ、その前にアイツらどうにかしようぜ」


レリックが指差す先には照明魔法の光を反射してキラキラと光る人影が幾つもある。

この層で人型の魔物はそう多くない。

アンデッド系、妖精系、そして盗賊。


しかしそのずんぐりしたフォルムは見覚えがあり、この層で一度出くわしている。


「あのずんぐりした雪だるまは…」


「嫌な予感…」


「天然ゴーレムです!しかも群れ!!一体お持ち帰りします!!」


エレナは本を開き、黒い塊を取り出して地面に叩きつける。


そこから土がボコボコと盛り上がって人型を成していく。


「土男一号行けー」


立ち上がった土人形は勇み足で歩んで行き、雪だるまに掴みかかる。


「先ずは倒して、それからコアを剥離です」


「行くぞ、涼」


俺は刀を抜いて駆け出していた。


正直な話試し斬りがしたくてしょうがなかったんだ。


なのにここまでの道のりでは魔物は出てこなかった。


そこで回ってきた今回のコレ、正直打ってつけだ。


「斬る!」


なんでも斬れるのは前からだから気にしてない。

問題は特殊機能の有無だ。


「涼、なんか特殊な事出来るか?」


『うむ、特殊な事か…主、二刀流が出来るか?』


「出来るならさっさと増えろよ!天雨丸もなんで教えてくれなかったんだよ…意地悪いなー」


『なら、第二頭解放と言え』


「第二頭解放」


言葉に反応して刀に青い筋が走る。


それは柄を伝って俺の腕に伸びて、背中を通って左手に移り、光でもう一振りの刀となる。


「へー、いいじゃん。じゃあ前に作った試作品はお払い箱だな…二式 霞み斬り」


ただ闇雲に一瞬で相手が細切れになるように斬り付ける。


斬り刻まれた雪だるまはバラバラになって雪原に散る。


「うん、手に馴染むな」


『第一から第九まである色々試して見ると良い。それと次に第二頭解封を試してみろ』


「解封?なんか違うのか?」


『相手を喰らって魔力とかなんだりかんだりを吸う能力だ』


「なんかそんなの別作品で見た気がするんだが…」


『気にするな』


「とりあえず使ってみるが、ダメっぽかったらすぐ止めるからな?第二頭解封」


刀身が変化して九頭竜を模した形を取る。


「食らえ!」


ガブシ


俺はそれで近場のゴーレムを食らった。


そのゴーレムは途端にただの雪のようになって崩れ始めた。


「へー、使えるな」


『どうだ使えるだろ?』


「このまま平らげてやる」


俺は土男の奮闘を尻目にゴーレムを無差別に食らい始めた。


それから約五分、俺は食らい続けて戦闘は終了した。

レン:「一人称しか似てないでしょ!?」


作者:「しゃべり方も似てる気がするけど?」


レン:「いや、でも性別違うし。何より僕のが身長高いし!」


作者:「いや、文だからね…」


レン:「全然似てないよ!!」



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