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いざ、最下層でゴーレム壊さん

作者:「もう少しケルビン側やります」

レン:「うーん、もう結構長いこと第四章やってる気がするのは僕だけ?」

作者:「そうだよ?」

で翌朝?かな?


休憩を終えて朝と思われる時間に四人は階段を下る準備を整えた。


そして、満を持して階段を下る。


その階段は今までの階段と違って固そうな岩盤をそのまま削って作られたような無骨と言うか荒々しいと言うかはっきり言って雑な作りだった。


「あー、岩盤雑いし、なんか湿っぽいし、階段傾斜キツイしなんなんでしょうね」


「おまけに凄く長いわ」


「今に転落する人が出ますよ」


ズシャッ


「なあっ!」


滑ったのは俺だった。


段差の高い階段で尻餅を着く


そして落ちて、着いて、落ちて、着いて、落ちて…永遠と…


「落ちてたまるか!尾骶骨が割れる!」


俺はなんとか一段で踏みとどまった。


「危ないですよ?」


エレナが手を貸してくれた。

本来は逆であるべきなんだろうな…


「飛んだ方が速いかもね」


ケイトさんは水晶球を転がしながら言う


「ホントそれです」


エレナも同意なのか


「なら飛んだら良いんじゃ?」


そして不用意に発言するレリック


こいつはなんも考えてないな


「じゃあ一気に下りますか」


「じゃあ私とレリックはトランクの中で待ってるから、二人で頑張って下りてね?」


ケイトさんは俺からトランクをむしりとって開ける


「えっ、俺まで道連れですか!?」


「ホラ、レリック入って」


ケイトさんはレリックをトランクの中に押し込む


『って広!』


「じゃあ、あとよろしくね?」


ケイトさんはトランクの蓋を閉めていった。


「じゃあ、行きましょうか」


俺は翼を展開する。


「ここ数日の練習の成果をお見せしますよ」


エレナの背に風が集まって翼が形成されていく。


俺はトランクを持って下り始める。


ホバリングしながら、少しずつ下降する。


なにせ螺旋階段で凄く狭いのだ。


フウカさんならこのぐらいやってのけるだろうが俺にはそこまでの技術はない。


「ソウジ君、もう少し速度出ませんか?」


「あー、めんどくさくなりました!なんで飛んでるのに階段下ってるんだろう。下がってください!」


刀を抜き放ち魔力を流す。


薄暗い階段の内側が刀が放つ蒼い光で満たされる。


『汝、この壁はまだ斬れなさそうだ、もっと下に行ってからにした方が良いだろう』


「誰が壁を破るって言ったよ?俺は階段を壊すんだよ」


蒼い光は更に強くなっていき、徐々に白に近づいていく。


「一式発展 蒼刃割地」


俺は全力で螺旋階段に斬撃を叩き付ける。


魔力で構成された刃はあっさりと岩で形作られた階段を切断して、螺旋階段の支柱を削り、壁を破っただろう。


まあ、俺に見えるのはすぐ足元までだからなんとも言いがたいが…結果的に階段が壊れれば良いからグダグダ言うのはやめよう。


俺は更に斬撃を叩きつける。

今度は向きと角度を変えて。


叩きつけられた斬撃はなんの抵抗もなく階段の下へと沈んでいった。


そしてもう一撃叩き込むと何かが落下した音がした。


階段が小刻みに振動していることから見ても崩壊が始まったのだろう。


あっという間に壁に大きな亀裂が走った。

そして床が抜ける、と言うか床をわざと踏み抜いたんだけどさ。


それを起点に支柱となっていた部分の崩壊が始まって、床板をなしていた岩が落下する。


「わわわわっソウジ君!階段を壊すなんて、あなた何考えてるんですか!」


「手を、一気に下りますよ」


俺はエレナの手を確りと掴んで床板が崩れて、所々凸凹した縦穴を降りていく。


『そろそろ良いだろ、壁から出るぞ』


「エレナ」


「はい、ちゃんと居ますよ」


『壁は私が壊そう、汝は飛び出す準備をしたまえ』


いつでも飛び出せるようにエレナを脇に寄せる


「いきますよ、打ち破れ天雨丸!」


『御意』


俺は天雨丸から伝わる衝動に沿って壁を斬る。


三角に大きく斬りつけられた壁は容易くその部分を切り抜かれて、外の景色を覗かせた。


俺はその穴の縁を蹴って外へ飛び出す、一刻も早く階段から離れるために


外にはかなり不思議な光景が広がっていた。

部屋?空洞?まあこの階の真ん中には大きな地底湖が広がっている。

その真ん中には小島のような物があり、ちょっとした祭壇みたいなのがある。

ソウジから見て奥には遺跡群のような物が広がっており、祭壇の場所まで橋と遺跡が立ち並んでいる。

まるで自然と人工物を強引に混ぜたようだ。


で地底湖には大きな影が泳いでいて、遺跡群には腕を叩きつけて地面を隆起させるゴーレム的なやつがいて、互いに攻撃しあっている。


ゴーレムは岩を投げつけ地震を起こしてなんとか、地底湖の怪物に攻撃しようとしているようだが地底湖の怪物は知らん顔で泳ぎ続ける。

時おり岩が掠めると地底湖の怪物は尻尾で水飛沫(絶対そんなんじゃ済まない)をゴーレムに浴びせている。


「ソウジ君、なんで二体もボスが出ているんでしょうか」


「ボス二体ぐらいならさほど気にする事ではありませんが、どう見ても仲間割れしてますよ?こういうことはこっちのダンジョンでは日常茶飯事なんですか?」


「いいえ、ほとんどボスが一体しか湧かないので仲間割れが起きる環境が整う事が少ないんですよ」


「まあ、いいや。あの小島の祭壇が気になりますね、とりあえずあの無差別攻撃ゴーレムを黙らせましょう」


「ソウジ君、言い辛いんですが放してもらえますか?」


「あ、つい癖で抱えちゃってましたね」


「咄嗟に人を抱える癖ってどんな癖ですか」


「まあ、そういうことなんで。サクッとゴーレムをやりますよ」


俺は着陸してから、トランクを開けた。


「終わった?」


「階段が終わっただけです」


「なんだ、ボスも攻略してくれれば良かったのに」


「まずはゴーレムを殺ります、地底湖の方は後です。エレナ、

あのゴーレムの核の位置わかる?」


「近づいてみないとわかんないけど、たぶんわかる」


「なら、先ずは俺がエレナを連れて偵察してその後で四人で突撃します」


「でも、あのゴーレム見た感じロック系のエンシェントゴーレムよ?解るの?」


「魔力の流れを見れば一目瞭然です」


「じゃあ、後は何とかしてあの体を解体すればいいと」


「ケイトさんには撹乱をお願いしたいので、レリック。お前があのゴーレムからコアを引き抜け」


「えっ!?俺?俺、そんな強力な魔法は使えないしコアの取り出し方なんて知りませんよ?」


「この短剣で指示された場所を抉ればいい。お前に全てが掛かってるからな?」


「まあ、その短剣をソウジ君が貸すならなんとかなるかもね」


「こんな短剣で大丈夫なんですか?もっと刃渡りが長い方がいいんじゃ」


「問題ない、短い方が小回りが効くから回避が楽になるはずだ。それに別にあのゴーレムを真っ二つにしろとは言わないからさ」


「そうよ、あなたがあんなのの一撃貰ったら粉微塵になっちゃうわよ?」


「ひっ…」


「わかったら回避に専念することね」


そして作戦決行。


俺はさっきと同じくエレナを抱えて飛んでいる。


たださっきと違うのはエレナの背には翼がないことだろう。


「見えました、左足の足首です!」


『了解よ、先ずは邪魔な手を切り落としちゃうわね』


俺のトランクの中に入っていたシミターを持ったケイトさんは上空からの強襲でいきなりゴーレムの右腕を切り落とした。


「さっすがは神武器ね、スラスラ切れるわ」


いや、ケイトさんの戦闘センスが凄すぎて何も言えないんだけど?


なんで、自由落下に追加で加速した状態の落下運動でそんなに正確に相手の肩の継ぎ目を切断できるのだろうか…

答えは人間離れした瞬間記憶能力と動体視力と空間把握能力が物を言ってるだけなのだが、それでもそんなことをやってのけるケイトさんにはつくづく驚かされる。


ケイトさんは飛び回ってゴーレムの攻撃を一手に引き受ける。


「来たれ業炎、汝が供物は其処の腕、汝が贄は我が魔力、汝が燃やすは彼の人形!」


エレナの召喚の詠唱が終了して、切り落とされたゴーレムの腕は蠢き、その姿を変えていく。


ゴーレムの右腕は大きさをそのままに巨大な蜥蜴となる。


「往け、サラマンダー」


だがその蜥蜴はサラマンダーと言うよりウーパールーパーに近かった。


「確かにサラマンダーだけれども、詠唱間違ってませんか?」


しかしただ大きいだけのウーパールーパーだと思ったのも束の間、ウーパールーパーが火を吹いたのだ。


遺跡群はあっという間に、降り積もった砂埃が焼ける臭いに包まれて戦場らしい戦場に豹変した。


「ソウジ君、私はしばらく戦闘に参加できなさそうなのでその辺で降ろして下さい」


「すいませんが、そんな時間は無さそうです。ちょっとだけ揺れますが我慢して下さいね」


なにせ、既にレリックが左足に張り付いているのだ。


そして霧を左足に纏わりつかせている。


恐らく、コアの場所を探り当てるつもりなのだろう。


俺は、少しだけお手伝いをすることにした。


それは左足に介入する事ではなく、左腕を切り捨てることだ。


俺はエレナを抱えたまま、右手に刀を持ってゴーレムの懐に潜り込み、宙返りの勢いを利用して頭上にあるゴーレムの腕を斬り飛ばした。


「わー、目が回りました…」


激昂したゴーレムは顔に魔力が凝縮していく。


「なにか来ます!避けてください!!」


刹那、ゴーレムの顔から放たれた光線はゴーレムの足元の霧を撃ち抜いた。


何をすることもできなかった、ただ誓う事しか…


「れ、レリック?」


エレナが蚊の泣くような声で呟く


俺は首を横に振って、次の戦いのために気合いを入れ直す。


「狼狽えるな!今は目の前の的に集中しろ」


エレナは黙る、物わかりの悪い人ではない。

きっと、今の一言で理解してくれた筈だ。


「あの頭を封じます!ケイトさん、援護を!」


「もうやってるわ!」


ケイトさんの手の上にはいつの間にか光の球がのっている。

ライトスフィアって言ったっけっか?


光の玉は正確無比に頭部の光線の発射口を穿つ


俺はこの機を逃さない!


再び魔力が凝縮する


「殺らせるかぁ!!」


同時だった


エレナの魔法陣が発射を阻害して、俺の刀がゴーレムの首の隙間に滑り込んだのが


そしてその次の瞬間には未だに足元に残っていた霧の中から雄叫びが轟く


「とったぞぉーー!!」


「レリック!?」


「はい、レリックですが?」


エレナは俺の腕を振りほどいて飛び降りる。


「もう死んじゃったかと思った…」


「へ?俺、死んだんですか?」


「いや、死んでないぞ?俺が助けたからな、な?俺?」


霧が晴れるとそこには鏡のように磨きあげられた氷の盾を持ったソウジが居る。


「当たり前だ、まあ俺は過去の誓いを果たしに来たまでだ。後は自力で頑張れよ」


もう一人のソウジは銀色の光と共に消える。


「やっぱりね、ソウジ君が助けられる仲間を見捨てる筈がないと思ったわ」


「見捨てませんよ、こいつには今日、明日、明後日と馬車馬の如く働いてもらうので」


「でもソウジ君さっき助からないって…」


「?そんなこと言いましたか?」


「だって、首振って」


「首を振っただけです」


「なんて紛らわしい…」


「あはは、よく言われます」


「ソウジ君、そういう所アイツにそっくりよ?」


「それ凄く嫌ですね、気を付けます。さ、二匹目を黙らせますか」


「ふーん、妙な戦法を取ってると思ったらそういう事ね」


「別に、大した理由ではありませんよ?単に二匹居たから力を温存しただけです。それ二匹目の方が手こずりそうなので」


「ふーん、そんな相手なんだ」


「まあ、ゴーレムと違って今度の相手は水中に居るタイプのやつですからね」


エレナの補足説明があると楽だな…


「今回の相手はもしかしたら俺に用があるやつかも知れないので、ケイトさん達は先に祭壇を調べてもらってていいですか?」


「まあ、いいわよ?こう見えても私はソウジ君のことは信用してるのよ?」


「わかってますよ、信用してなかったらこんなことに付き合ってませんよ」


「でも、無茶はダメだからね?絶対、依頼を終えてフウカと合流するの。私たちはやっぱり三人揃って初めて瞬撃の隼だと思うからさ」


「そんな、まるで俺が確実に死ぬみたいな言いぶりですね。大丈夫です、この戦いで勝つことはさっきの俺が証明しました。絶対勝ちます、むしろどうやったら負けるのかわからないぐらいですから」


「なんか、ケイトさんがソウジ君のお母さんみたいなんだけど…」


「うん、凄く甲斐甲斐しいですね」


四人は湖の真ん中の小島へと向かう橋を歩み始めた。

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