地下の雪原、海の龍
作者:「GWだー!!」
レン:「君、その作品好きだよね?」
作者:「ゴールデンウィークもガンダムも大好きだー」
ジン:「ついに壊れたな」
レン:「作者は初期不良だから産まれたときから壊れてるんだよ」
スプリガンを放置して、階段を下ること一時間
◇◆◇◆◇◆◇◆
ソウ:「いくらなんでも階段長すぎだろ」
作者:「よく考えて見たら?」
レン:「なんか天井」
ジン:「高くないか?」
ソウ:「高すぎなんだよ!限度があるだろ」
レン:「僕は知っている」
ソウ:「いや高すぎるって話をしている訳であって、別に特別狭い場所が好きな訳じゃないぞ」
レン:「裏切りが僕の名前を知っていることを」
作者:「懐かしいネタを引っ張ってきたね」
ジン:「引っ張ってきたのはお前だろ」
作者:「果たして元ネタを知ってる人が何人居るやら…」
◇◆◇◆◇◆◇◆
で、なんとか無機質な階段を抜けるとそこは雪国だった。
「雪国だったっていうか雪山って感じ」
「かなり吹雪いてますね」
「また、足止めね」
「はあ、これじゃもしもお父さんが下ってたとしても足跡は残ってなさそうですね」
「まあ、しょうがないでしょ。おとなしく吹雪が止むのを待ちましょ」
「そうですね。階段は壁があって風景が見えませんでしたが、この吹雪だったら壁があるだけでも多少ましですからね」
「ソウジ君知ってた?ダンジョンの壁は外の変化を遮断してるのよ」
「そうなんですか、ならよりいいですね」
「知らなかったんですね」
「まあまあ、これでまた一つ学んだってことで」
で何だかんだで吹雪が止んだのは日がかなり傾いた頃だ。
「止んだは良いけど、ここから更に気温が下がってくる時間だけどどうしようかしら」
「これ以上ここで足止めを食うのは癪ですが、背に腹は変えられませんね」
「じゃあ、このまま夜が明けるまでと言うことですね」
そうして夜明けを待つ間に俺はゲームしたりなんだりした訳で、夜が明けたのを目視ではなく時計で確認した俺たちは階段から出た。
当然のことながら外は一面の銀世界。
この量の水を何処から用意したのか気になる所だが、それを言うと俺の魔法も突っ込まれるからやめる。
「じゃあ、張り切って行きましょ」
「ケイトさん、アリシアって雪降るんですか?」
「あんまり降らないかな。薄く積もりはするけどそこまでじゃないし」
「やっぱりですか、なんかケイトさんが嬉しそうだと思って」
「別に雪が嬉しいなんて子供じゃあるまいし」
『わー、スゴい積もってるー』
『エレナ嬢!?危ないですよ、雪の中から魔物とか出て来たらどうするんですか!』
「レリックもすっかり馴染んだし」
「エレナに懐いてるけどね」
いい年したオッサンに懐くと言う表現は相応しく無いと思うが、そういうことは封殺する
「まあ、それならそれでいいんでしょうね」
「そうよ、ああいうのは当人の意向が第一なのよ」
「元貴族のケイトさんがそれ言うんですか?」
「元貴族だからこそ言うの」
「そういう物ですか?」
「そういう物なのよ」
『きゃっ』
『エレナ嬢!?』
『なにこれ可愛い、持って帰って…』
「なんか見つけましたか?」
「エレナ嬢、流石にそれを持って帰るのはどうかと…」
エレナが抱えていたのは、エレナと同じぐらいの大きさの雪だるまだった。
「第一持って上がれないと思うんだけど」
「この子は自分で歩くから大丈夫ですよ。まさかダンジョンがゴーレムを作るなんて」
ゴーレムってなんだっけ…
夜中に動き出して、目が光り、音楽室によくいるのはバッハの肖像画か。
えーっと体の殆どが無機物で出来てて、魔力で動く人形
あー、脳裏で銀次郎が親指を立ててる気がする。
「これはスノーゴーレムと言いまして、読んで字のごとく雪でできたゴーレムです。天然物は珍しいんですよ?」
「ゴーレムに天然とか人工とかあるんですか?」
「ありますよ、ダンジョンとかで自然に発生したのは天然ゴーレム、人間が人工的に核を作って作り出したものは人工ゴーレムとなります」
「人工と天然で違いが出るのか?」
「人工は人が作るので初期不良が多いですね。あと結構維持費がかかりますね。パーツ毎に職人が作るのでそれの修理とか買い換えにお金がかかりますね」
「ふーん、天然は?」
「テイムするまでが大変です。やっぱり天然物は希少ですし見つけても攻撃してくる場合が殆どですね。上手く主人を書き換えられれば、維持費は主人の魔力だけで済む元気なゴーレムを手に入れられますよ」
「その書き換えってどうやるんですか?」
「えーっとですね。本にはそのゴーレムによるって書いてあるんですけど、その先は書かれてないんですよ。その程度の知識もないのにゴーレムを持つなって事だと思いますが、歯がゆいですね」
「そうなんですか、残念です」
二体目が欲しいなんて口が割けても言えないな。
「だから持って帰って調べようかと」
急にゴーレムの眼が光って、エレナに飛びかかった。
「きゃっ」
「エレナ嬢!」
とっさにレリックが飛び出したが間に合わない。
エレナはゴーレムのアッパーカットを受けて宙に舞った。
◇◆◇◆◇◆◇◆
レン:「なんでアッパーカット?」
作者:「コークスクリューブローとかだとマズイっしょ?」
ジン:「女の子を殴った時点でアウトじゃないか?」
レン:「それも一理ある」
作者:「この場合悪いのはゴーレムだね、やっちゃえ量産型!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
俺はゴーレムの腕を切り飛ばした。
なかなかの一撃だったと自負している。
「もう、どうなっても知らないから」
エレナは徐に常に持っている本を開いた。
魔法解くときにも使ってた本。
なにか特別なものなのだろうか…
『来たれ神雷、汝が依り代は其奴、汝が為の供物も其奴、汝が主はこの私 !』
言葉でいい表せない音と共に光と膨大なエネルギーが出現した。
光と音が収まるとそこには既にスノーゴーレムは居らず、代わりに
「キリンだ」
キリンって言っても鱗のある馬じゃなくて、脚が長くて首が長いタイプのやつ。
「普通神雷って言ったら鱗のある方のキリンじゃないですか?」
「え?キリンは首が長いやつですよ?」
「え?朱雀門とか白虎門とか言うのに、麒麟は居ないの?」
「だからキリンでしょ?」
「いや、そっちじゃなくて…」
ソウジは十数分に渡って熱心に麒麟について伝えようとしたがその苦労の甲斐もなく、結局麒麟はキリンだと押し通されてしまった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
一方でエネシスはと言うと…
「え!ノアさんそんなに長寿さんなんですか!?」
「本人曰くまだ若いらしいから、本人にご長寿とか言わないでくださいよ?」
「言いません言いません」
「じゃあ今日はさっそくシーサーペント狩りますか」
「カイさんはついてくるだけでも大丈夫ですよ?」
「一応仕事ですし働きますよ。監視って言うのはたぶん警護も含まれるので」
「じゃあ、さっそく行きましょうか。夕方には戻りますので」
「じゃあ、姉さん家のことよろしく」
「え、今から行くの!?」
「はい、早い方が良いでしょうから」
私たちはアリアさんをその場に置いて海に来た。
「でも今からだとあんまり狩れなさそうですね」
「いや、十分狩れますよ。海面から探すより海中から探した方が絶対楽ですし」
「因みにフウカさんは泳げるんですか?」
「記憶なくしてからは泳いだ事はないのでわかりませんが泳ぎ方は知っています」
「不安ですね」
「そうですか?私はそんなに気になりませんが」
「じゃあさっそく着替えて来るので、ちょっと待っててください」
私はサッとトランクを港の石畳の上で開いて、中に入る。
「覗いても良いですけど、後でアリアさんに報告しますからね?」
「覗きませんよ、こんな道端でこんな浅いスーツケースを覗き込むなんて不自然過ぎてできませんよ」
で私は改めて着替える。
着替えると言っても、水着着て、髪縛って、靴を履き替えるだけだ。
もちろん上からコートは羽織る。
でトランクから出る。
「ふう、カイさんも着替えますか?」
「俺はいいです、いつも半裸で潜ってるので」
「じゃあ、とりあえず沖まで行きましょうか」
「そうですね」
ということで沖合い30kmです。
どうやって来たのかと言うと、パッと空間魔法の箱で来ました。
来る間に、カイさんに『目立っちゃいますよ!』とか『こんな公衆の面前で使ったらまずいですよ!』とか言われたけど、私は気にしてないから問題なし。
「じゃあ、さっそく潜りますよ。潜航しますので風景の急な変化にご注意ください」
私はさっそく箱を海に沈めていく。
「これ、凄いですよね…」
「普段から使ってるので、私は特に気にしたことはありませんが便利だとは思いますよ」
「でも、見当たりませんね」
「呼んで見ましょう」
私は手の中で魔力を練り上げて、魔法を組み上げる。
練り上げたのは水の魔法だ。
水と風を圧縮して撃ち出して、水中に轟音を響かせようという目的のために即席で組み上げた。
感覚で新しい魔法を使うのははじめてだけどなんとかなるだろう。
「はい、危ないので下がってください。あ、下がりすぎてもダメですよ?この壁は一方通行なので出たら戻れませんからね」
「大丈夫ですよ」
私の手から水の球体が弾丸となって飛び出して、目の前の藤色の壁を超えて独特の光を発しながら水中を進んでいく。
で、海底に衝突して爆発して砂を巻き上げた。
藤色の壁(魔法陣)は外からの影響を一切遮断するから轟音は聞こえないがどうやら効果はあったらしい
「来ましたね」
「大丈夫ですよ、容易い相手です」
シーサーペントはぐんぐん距離を詰めてくる。
「フウカさん?そろそろ迎撃したらどうですか?」
「大丈夫ですよー、この壁は冗談ではなく絶対的な防御力を誇るので」
シーサーペントとの距離、残り15m
「フウカさん、迎撃しましょうよ」
「傷つけると商品価値が下がります」
残り5m
「そろそろ頃合いですね」
カイさんはクロヅカに似た白い剣柄を持っている
例のシロヅカだろう。
「さて、やりましょうか」
私は手の上に浮かんでいる魔法陣を回している。
残り2m
私は魔法陣を飛ばす。
魔法陣は箱を飲み込もうと大きく広げられた大蛇の口に飛んでいって、大蛇の上顎を真っ二つにした。
制御を失った体はそのままの勢いで箱に激突した。
だが箱はびくともしない。
私は死体を別の箱に納める。
「こんな感じで狩ってきますね。とりあえずもう2、3匹は欲しい所ですね」
「じゃあさっそく次を探しましょうか」
そしてそこからが長かった。
私たちはシーサーペントを探し、引き付けて殺害、回収を繰り返す。
サーチ アンド デストロイ
では少し足りない。
「アンド ハーベスト」と付け加えるべきだ。
ということで日が傾いて、海面が黄色く光だす頃になっても私たちは海底を彷徨っていた。
「フウカさん、いい加減戻りませんかぁ?」
「8匹ですか、まあまあの成果ですしそろそろ戻りましょうか」
「やっと終わりましたね」
「そんなにキツいですか?」
「やっぱりずっと海の中に居るのは精神衛生上よくないですよ」
「そうですか?私はさして気になりませんけど」
「フウカさんって一日中同じ部屋に居ても気にならないタイプですか?」
「そうですね、必要があるから外に出てますが、必要がないなら出ないかもしれませんね」
「親父と話が合う訳ですね…!2時の方向蒼い龍です!」
「!?お金ちゃん!!」
「フウカさん、幾らなんでもお金ちゃんはどうかと思いますよ」
「私のお財布の贄になってください!」
私は魔法陣を幾つも飛ばす。
が、それはひらりひらりと躱されて海の向こうへ飛んでいった。
更に飛ばす、幾つかの魔法陣が龍の鱗に当たって砕ける。
「そんなっ!空間魔法を砕いた!?」
「これはまずいですね。フウカさん浮上しますよ」
蒼い龍は何かを吐き出した。
蒼い光の灯る塊だ。
それが藤色の魔法陣に当たる。
ドンッピシィッ
「魔法陣にひびが入るなんて…」
「あの龍、魔力を弄れるのか。ますます部が悪いな。フウカさん!緊急浮上です」
「そうですね」
私は箱を空に浮上させた。
海から蒼い光の灯る水の砲弾が飛んでくるその一つがひび割れた藤色の魔法陣に当たって藤色の魔法陣を砕いた。
そして砲弾は止んだ。
「アレが例の蒼い龍…」
「ですね。まさか今日の今日で遭うとは思ってませんでしたが」
「でも、魔法が聞きませんでした。それも空間魔法です。そこらの魔法とは訳が違うのですが…」
「その辺も調べる必要がありますね。戻ってギルドに報告しましょう」
「ですね、意外と悠長にしている暇はなさそうです」
私達は黄昏の海を北に向かって進み始めた。